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「マーロア、ここ、ここ」


 ファルスが手を上げて呼んでいる。


「遅くなった? ごめんね」

「いや、俺も今来たところだよ。それよりここの食事どうする? まだ貴族の食堂行ってみる?」


 まだまだ入寮する人たちが少なく、寮住まいの上級生たちは長期休暇の期間なので実家へ帰る人が殆どのようで食堂に人は少ない。


「そうね、初の記念に貴族食堂へ行ってみましょう? 滅多にこれなさそうだもの」

「普段、平民の食堂で食べるのが前提なんだ。マーロアは貴族だから普段から行けるのに」

「あら、そう言ってしまえばファルスだって従者なのだから一緒に食べられるでしょう?」

「まぁな!」


 私たちはどんなものかと興味本位で貴族食堂へと足を運んだ。


 ……なんというか、華やかだ。


 広さは平民食堂と変わらないのだけれど、テーブル一つとっても装飾がなされている上、貴族専用の食堂は人が少ないのでテーブルにもゆとりがあり、優雅に食事ができそうだ。


「ファルス、綺麗ね。どんな食事が出されているのかしら」

「マーロア、珍しいな。落ち着けって」

「そうねっ。どんな食事なのか楽しみで少しはしゃいでしまったわ」


 私たちは食堂の入り口で食堂の支配人と思われる人にAセットを頼んだ。


 因みにAセットは肉中心の料理でBセットは魚中心の料理Cセットは野菜中心の料理。主菜、副菜、スープとパンやパスタ、デザートが付いている。


 セットの内容は日によって中身が少しずつ替わるらしい。席に着くと食事を運んでセットしてくれる。


 ここはやはり平民との違いよね。


「ファルス、このお肉、魔獣じゃないわ!」

「当たり前だろう。村とは違うんだ。お貴族様は魔獣なんて食べやしないさ」


 私たちは食べながらそんな話をしていると、後ろから声を掛けられた。


「君たち、今魔獣と言ったね。魔獣肉を食べた事があるのかい?」


 振り向くとそこには眼鏡を掛けた背の高い上級生が立っていた。


「はい。私たちはいつも自分たちで狩って食べていました」

「興味深いな。狩りも自ら行うのか」

「ええ。私たちにとって魔獣は生活の糧ですから。ところで貴方は?」

「ああ、これは失礼。私の名はアルノルド・ガウス。錬金科の三年生だ。宜しく」


 私たちは慌ててナイフを置き、礼をする。


「失礼いたしました。私、マーロア・エフセエ。騎士科の一年生です。こっちが従者のファルス、同じく騎士科の一年生です。ガウス様は魔獣に興味があるのですか?」


「アルノルドでいい。俺は錬金科だからよく魔獣の素材を使うんだ。自分でも獲りにいくんだ」

「そうなのですね。私たちは主に食糧やギルドのランク上げで魔獣を狩るくらいです」

「ギルドに入っているのか。ランクは?」

「現在Dランクです。在学中にCランクまで上げる予定です」

「そうか、それは楽しみだな。おっと、食事中にすまない。マーロア嬢、ファルス君また会おう」


 そう言うとアルノルド様はさっさと行ってしまった。


「なんだったのかしら」

「さぁな。ほら冷める前に食べようぜ」


 私たちは子羊のステーキを食べて寮に戻った。明日は鍛錬場に行こうという話になったわ。


 どんな時も鍛錬を忘れてはいけないよね。



 翌朝、私たちは食後に学院の鍛錬場を訪れた。流石毎年王宮騎士を輩出しているだけあって広いし設備はしっかりと整えられている。


「ねぇファルス」

「どうした? マーロア」

「あれって体に付けるおもりじゃない?」

「……そうだな。嫌な予感しかないが」

「あら? そう? あれを付けて生活すればもっと強くなれそうな気がするわ。明日取りにいく予定の防具だって使いこなさないといけないし、ね?」

「貴族令嬢が脳筋発言だ」

「脳筋だなんて。ただなんとなくいつもの鍛錬では強くなるのも限界がありそうだなって思っただけよ? それに用意されているって事はやっている人もいるはずね」


 私は『使用者はここに名前の記入を』と書かれた紙に名前を書いて新品と思われる箱に入った錘入りリストバンドと足首バンドの封を開けてファルスに渡す。


「おいおい、勝手にいいのか?」

「いいわよ。だって学院の使用していいと書かれている紙に書いてあったもの」

「確かに書いてあった気がする。まぁ、いいか」


 ファルスは思い直したようにリストバンドと足首バンドを巻き始めた。私もそれに続く。


 一つ一つはそれほど重くない。慣れたら徐々に重さを追加していけばいいかもしれない。

 そして私たちは走り込みと腹筋などのトレーニングを済ませた後、打ち合いをして午前中の訓練を終了する。


 明日は防具を取りに行く日。どんな物か楽しみだ。ファルスと出掛ける申請して今日は解散となった。


 私は部屋で何をしていたかというと、レヴァイン先生の言いつけ通り、予習、復習をひたすらしていた。せっかく上位成績になったのだから維持していきたいもの。


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