電波悪い奴
「あー、もう8月も終わったなー。今年の夏は特に暑かったわ。さて、部屋の片付けでもするか。」
男は部屋の片付けを始めた。さっきまで男の友達が遊びに来ていたので部屋は散らかっていた。
男はしばらくの間部屋を片付けていた。するとある物を見つけた。
「…あれ?これ、あいつのカバンちゃうか?……うわ、あいつカバン忘れていきおった。うわ、しかも財布入ってるし。とりあえず電話しとくか。」
プルルル、プルルル
「……あ、もしもし?今どこにいるん?」
「………あ……………………」
「あれ、もしもーし。」
「………あ……………………」
「なんや、電波悪いんか?もしもーし。聞こえてる?」
「………あ……………………」
「アカン、電波悪すぎて会話出来へん。すまんもう一回かけ直すわー。」
「…おっかしいな。俺の家そんな電波悪くないんやけど。さっきあいつと遊んでた時も電波悪くなかったしな…」
しばらくして、男はまた電話をかけた。
「あーもしもし?さっきはすまんな。何か電波悪いみたいや。」
「………あ……………………」
「えぇ、またか…何でこんな急に電波悪くなるねん。」
「………あ……………………」
「なあ、さっきから何言うてるん?何か同じこと言ってないか?」
「………あ……………………」
「あ?うーん、電波悪いから聞き取れそうで聞き取れない…」
「………あ……………ろ…」
「あっ、増えた。ろ?」
「………あ…た………ろ…」
「また増えた。あたろ?何言うてるんやこいつ…」
「………あ…た……しろ…」
「あた…しろ?何かどんどん増えてるぞ。」
「………あ…たの…しろ…」
「………あ…たのうしろ…」
「あなたのうしろ」
「え?うしろ?」
男が振り返るとそこにはカバンから無数の白い手が!!!!
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「………ていう話をさー、今度の飲み会の時にしようと思ってるんだけど。どう?電話越しだけど意見聞かせてや。…………って電波悪くて切れてる!?あークソ!時間無駄にした!」