ダムス
ダムスは俺の目を見た。
ダムスの目は淀みのない湖の水面のような静けさを感じた。
「安心して。カリンちゃん、タケシ君。私も同行するから。」
ダムスは言った。
そうは言っても僕は信じることができなかった。
「あのー。ダムスさん。そのタイムマーシーンはいったいどこにあるの?それにあなたはいったい何者なの?」
「私は火星の人間ではない。今言えることは君達をここで昨日から待っていたものだ。預言者だ。タイムマーシーンは私達が立っているこの下にある。この下は空洞になっており、大きな部屋になっている。そこに置いてある。」
僕は首をかしげながら、ダムスをみた。
確かに2500年頃、かなりの温暖化が進む地球の危機を回避するために時間の流れをさかのぼり、問題を解決させるという国家プロジェクトがあった。その時に日本のソニーという民間企業がタイムマーシーンR1を開発に成功したとは、何かの本で読んだことがある。
俺は疑いの顔でダムスをみながら言った。
「タイムマーシーンが本当にあるなら、みせてください。」
「よし。わかった。こっちだ。」
ダムスは即答した。
横のカリンは落ち着いてはいられない状態だった。
ダムスはゆっくりと椅子から立ち上がり、座っていた椅子をずらし、その地面に手を押し当てた。
それは目の錯覚か、薄暗い視界の中の意図的なマジックか、俺にはわからないが、ここの部屋全体が下に動き出した。人為的な機械音もせず、静かに下に落ちていくような錯覚に。温度が地球を飛び出して大気圏にはいったかのような蒸し暑さ。数秒後それはダムスが地面から手を離すと止まった。
「ここだ。」
周り一面薄暗い岩だらけの牢獄のような部屋から、広々とした明るい場所になり、周りの岩は綺麗に平行に削られ磨かれたような壁が広々とした部屋を囲んでいる。
その真ん中に異様な存在感をだしながら、大きな機械の固まりが置いてあった。
「これだ。」
ダムスは近寄り、機械の固まりを手でなでた。
部分的に錆び付いた機械は製造の年代を感じさせ
、ハンバーガーを横から垂直に切り、その上に足がついてない大きなちゃぶ台をのっけたような形をしていた。
その大きなちゃぶ台の真ん中に突起物があり、そこにデジタル式のタッチパネルがついていた。多分そこに動作方法を打ち込むのだろう。
「タケシ君。私を信じてこれに乗り込み、私の友人達にあってくれ。」
僕はタイムマーシーンを目の前にし、驚きを隠せず唖然としていた。
「僕は正直あなたの事を信用していませんでした。タイムマーシーンの存在なんてありえない。という思いが先攻してしまって。あなたが何者かは、あえて聞きませんが、過去の世界にいってあなたの友人達に会う目的はなんですか? そこだけ教えてください。」
ダムスは僕の問いに顔中シワだらけにした笑顔で答えた。
「緑多き地球をとりまどすため。」