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導かれた世界  作者: 透水ミート
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はじまり2

家から図書館まではニキロくらいの距離だ。住宅街を抜け、見上げるほどの高台の頂上に図書館はある。

住宅街は石で作られた建物が建ち並ぶ。一軒一軒の隙間がなく、大きな岩を削り、穴をあけ、外観を芸術的に削っただけの、中近東にある遺跡のような作りだ。

地球から移住した人々はその穴蔵を住居とかまえ、円満な家庭を築いていた。

区切りのない穴蔵は住む人それぞれの個性が際立っていた。祖先が日本人ならお寺風に、ドイツ人ならクラシックなお城風に、インド人ならタージ・マハル風に岩を削り、さぞ豪邸のような外観を催していた。それぞれの家の家紋のような先祖代々伝えられてるもののを門構えにしてるようにみえる。

その住宅街の一番奥の大きな樹木の建物、もちろん岩を削ったものだが、そこが長老の家だ。長老は火星の50ブロックそれぞれ一人いるようになっている。僕は41ブロックだが、長老には会ったこともないし、みたこともない。本当に存在しているのもわからないが、何人もの人が長老の家に入っていくところをみたことがある。存在しているのは確かだ。

僕はそんな長老には興味も持たず、一番奥の長老の家を通りすぎ、高台の頂上へ続く一直線に伸びる階段をかけ上った。重力のせいもあり、いつものように五段飛ばしで階段をはねのぼり、あっという間に頂上にたどり着いた。目の前には山の頂上の岩をくりぬき戦時中の地下基地のような原始的な洞窟が口を開けていた。 それこそが図書館だ。

図書館の前でカリンがたっていた。 どうやら俺を待っていたようだ。

「うぃーす。」

俺は軽快にカリンに声をかけた。

「私ね。面白いものみつけたの。」

「さっき聞いたよ。それどこ?」

「ついてきて。」

カリンは俺を先導するように図書館に入っていった。大きな洞窟のさきには何千冊の本が火星では珍しい木製の本棚に隙間なく並び、それが壁一面に中心を囲うように円じょうに広がっていた。

「こっちよ。」

カリンはその中の一つの本棚の一番下の本を全部どけた。

そこには人一人が通れるくらいの穴が空いており、カリンは這いつくばるように穴に入り始めた。

「こっちこっち。」

器用にするするとカリンは穴に吸い込まれていく。俺もまた頭から見よう見まねで恐る恐る中を覗いた。

穴の中は地下行きの階段になっており、どこかにつながっているようだ。

「ねぇ。カリン。ここ大丈夫?怒られない?」

「大丈夫よ。昨日私、一番下まで一人で降りてったもん。一番下に人いたよ。」

「怒られなかった?」

「平気よ。友達つれてまたきなさいって言われたし。」

俺達は地下の階段を下り始めた。地下の階段は地上の重力に反して体が重く、足と階段が密着してるようなかんじがし、一歩一歩を踏み出すのが辛く感じる。階段はすこしずつ両側が狭くなり、一段一段が高くなりつつ下るのも困難に感じた。

「カリン。まだー?」

俺は苦痛の顔でカリンに聞いた。

「もうすこしよ。ほらあそこ。」

階段のしたのほうに草原のような緑色の空間があり、その端に椅子に座った老人がいた。

カリンは最後の力を振り絞るように老人めがけてかけ下りた。

「こんにちは。ダムスさん。また来ちゃいました。あれが気になっちゃって。」

カリンは言った。

「カリンちゃんとタケシ君だね。」

老人はカリンとやっとたどり着いたとばかりに息をきらしてる僕をみながら言った。

「あれダムスさんタケシしってるの?」

カリンは驚いたように尋ねた。

「私は何でも知ってるよ。君達二人が今日ここにくることもね。」

「ねぇ。ダムスさん昨日見せてくれた機械みせてほしいんだけど。」

老人は口元に軽く笑みを浮かべ話した。

「今日はね。君達二人がその機械に乗り込み、私の古い友人に会ってきてもらいたいんだ。」

俺達は老人の意味不明な頼みごとが理解できなかった。

「どういうこと?」

「昨日カリンちゃんにみせた機械はね、西暦2500年くらいに作られたタイムマシーンという機械なんだ。それはね。 過去の世界に行くことができるすばらしい乗り物だ。未来の世界にはいけないがね。君達はそれに乗り、過去の地球に行って私の古い友人にあってほしい。」

カリンの冒険心に火がついたように。

「行きたい。行きたい。」

僕は横からそれを遮るように。

「まてまてまて。ちょっとお尋ねしますが、時間をさかのぼり過去にいく事は本当に可能なのですか?それと、なんで僕達なんですか?」

僕は半信半疑で老人に尋ねた。

「可能だ。私もまた過去からきた人間だ。私は今日君達がここにくる事を知っていたんだよ。」

老人は答えた。

僕は知りたい質問の答えではないことに歯がゆさを感じ再度質問を反復した。

「なぜ僕達なのですか?」

老人は答えた。

「それは運命だからだ。」

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