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母の苦言

「ルナお嬢様、お起きになってください」

メイド長のビアンカが起こしにやって来た。いつもは目覚めの良いルナだけれど、昨日は遅かったのでゆっくりと寝てしまっていた。

「もう朝食のお時間でございますわ」

室内用のドレスに着替えて、髪もさっと結いルナは階下に降りた。


「おはようルナ。昨日は遅かったのね」

ステファニーがにこやかに言った。

「楽しく過ごしたのね?」

ルシアンナも続けた。

「それはよかったね」

レオノーラも微笑んで言った。今日は休みのようで近衛騎士の制服ではないが、男装だった。


散歩から帰ってきたリリアナが、恐ろしく真面目な顔でルナの前に立った。

「貴女ったら何をしてるの?わかってるの?」

ルナはなんのことかわからずどぎまぎとして

「一体なんのお話なの?お母様」

「なんのお話じゃないわよ。ルナ、貴女シャロット伯爵家の舞踏会でフェリクス卿と3回も踊ったの?」

ルナは肩を竦めて

「たまたまそうなってしまったの。4回は踊っていないわ」

3回まではマナー違反ではないと言われている。

「それに昨日!」

「昨日?」

内心どきりとしながら聞いた。深夜だしはっきりと見ていた人はいないはずだと

「誰に送ってきてもらったの?またフェリクス卿なの?」

「ええ、そうよお母様」

「まあ!やっぱり!」

リリアナは椅子に座り込むと

「もう、噂になってるのよルナ!」

ルナは肩を竦めてリリアナの前に座って謝った

どうやらリリアナは、ルナについての噂を聞いてしまったようだ。

「ごめんなさいお母様。でも何も悪いことなんて…」

「ええ、悪くはないわよ?貴女がフェリクス卿と婚約して結婚までするならね?」

「…そんな…単に親切にしてくださってるだけなのに」

ルナはうつむいた。

「コーデリア叔母様にお目付け役をお願いするわ。まったく、貴女にそんな心配は要らないと思っていたのに」

母の妹のコーデリア・オブライエン夫人は年を経てもなお美しい女性で、姉妹の良き相談相手であった。

お目付け役にしては、あまり厳しすぎないだろうがルナにとってはほっとする相手でまだ良かったと思うのだ。

「どうした?そんなに怒って」

アルマンが入ってきた。

「ルナがフェリクス卿と噂になっているのよ!」

を眼を険しくしてリリアナは言った。

「フェリクス卿なら問題ないではないか。申し分ない相手だし、遊び人との評判もない」

アルマンはゆったりと言い、リリアナを宥めた。

「そんな悠長な事を!もしルナががフェリクス卿と進展しなかったら傷つくのはルナなんですよ?」


「お母様、フェリクス卿にはそれとなく私が話してみましょう」

レオノーラが母の肩を抱いて微笑みを向けた。

「お父様の仰るとおり、彼はちゃんとした貴公子であるしルナを傷つけようとする青年ではありませんよ」

「ああ、レオノーラ。そうしてくれるかしら?」

リリアナはレオノーラを見上げた。


ルナはレオノーラに感謝の眼を向けた。

そういえばレオノーラが辞めるという話はまだ家族の誰からも聞いていない…。きっとそれどころではないのだろうと結論付けて何も言わずにいることにした。




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