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階下の人々

悶々とルナは、悩んでいた。


もしフェリクスとアネリが恋人だとして、ルナは文句を言える立場ではない。婚約中ならともかく、フェリクスは独身で恋人がいてもちっともいけないことではない。

だけど、少しは自惚れていいならフェリクスとルナは、恋人まであともう一歩。くらいのはずだ


はっきりとした事は何もわからない。

ただフェリクスとアネリが知り合いで、フェリクスが知り合いだと言っていたのに話もしてなかったこと、アネリが綺麗な未亡人だと言うことと、アネリにはパトロンらしき男性がいて、それが若くて見目よい若者。だというだけ…。

しかも最近は来ていないとドナは言っていた。別れたのならどうでもいいじゃないのか、と思いつつも、どうしても気になる。

「どうしよう?…」


ルナはほとんど眠れないまま朝を迎えた。


朝食を終え、コーデリアがガイに服を届けに行くと言うので、ルナは家で過ごすといい、残った。


家族がほとんどいない、とルナはひさしぶりに行動を起こした。


階下は使用人たちの領域だ。まっとうなレディならまずいかないだろうけれど、ルナは親の目を盗んでしょっちゅう行っていた。

いきいきと働く彼らは、ルナには小気味よくて楽しいところだった。

主家が朝食を終えたので、みんな今から朝食を食べているだろう。

階段を降りていくと、キッチンに使用人たちが座り喋りながら食事をしていた。

ルナの姿をみてみんな一斉に立ち上がる。

「ああ、ごめんなさい。そのままでお願い」

ルナが言うと、慣れている彼らはすぐに座り食事を再開した。


「ルナお嬢様ひさしぶりですね、ここにこられるのは」

美しいメイドのダイナが言った。

「ミセス・ファニー、クッキーを作ってもいい?」

ここで次々と出来上がる料理に感激したルナは、ファニーに教えてもらい、クッキーだけは作れるようになっていた。

令嬢は料理はしないのだ。


ファニーはうなずくと、材料を出してくれた。

生地をこねて作っていると、無心になれる。

型を抜いて大量のクッキーをオーブンにいれると、ファニーがお茶を淹れてくれた。


「ねぇ、ダイナ。あのね、知ってる人なのに声をかけないってどう思う?」

「どうしたのですか?それだけじゃわかりませんわ」

ルナが順をおって出来るだけ正確に話すと他の使用人たちもふんふんと聞いていた

「それはつまり、フェリクス卿に愛人がいるとお疑いなんですね?」

ダイナがズバリと言った。

「愛人って…。つまり、そういうこと…?」

「ない、とも言いきれませんわ。だって若い男性なんですもの」

「そうですね、お嬢様。フェリクス卿だって若い男ですから時にはこう、…」

従僕のアンディがいいかけると、バシッと叩いて仲間のコナーが止めた。

「お嬢様に下品な事を言うな!」

「まだ言ってないし!」


「でもフェリクス卿にはそんな噂聞いたこともないですよ?」

若い御者のディランが言った。

「大概、貴族の若様含めて馬車で移動しますからそういう情報は入ってきますけどね?」

「そういうものなの?」

以外と使用人同士というのは繋がりがあるようだ。

そうやって他家の情報は駆け巡ってるのかとルナは感心した。

「メイド仲間にも入ってきていませんわ」

ダイナが言った。


「アントン?」

ルナはアントンに聞いた。

「私にも入ってきていませんね」

アントンも否定した。


「心配なら旦那様に聞いてみてはどうですか?」

アンディが言った。

「まさか!そんな事をしてお父様が、殴り込みに行ったらどうしたらいいのよ?」

ブロンテ家は総じて気性が荒いというか、この間の騒動を見ても家族愛があるゆえに、ステファニーでさえフェリクスに直談判しかねない。

だから、こうして使用人たちに相談してみるという事になっているのだ。

「ああ、それはまずいですね…じゃあ。ご本人に確認してみるとか?」

「うーん?ディランどう思う?愛人がいるの?と聞いて男の人がはい、います。なんて言うかしら?」

「いや、気まずいですね…。確実に言う人の方が少ないでしょうね」


「ねぇ、ルナお嬢様。その夫人が言うには最近別れたらしいのでしょう?それならもうほっとけばいいのではないですか?だって過去の事を言い出しても仕方ありません。すんだことですもの」

「そうですわ、お嬢様。世の中には知らない方が良いこともたくさんあります。フェリクス卿は立派な方に違いありませんし、信じて差し上げるべきですわ」

ビアンカがルナに言った

それも最もだとうなずくと、ちょうどクッキーが焼き上がり、少しだけ食べると

「みんなありがとう。あとはよかったら食べてね」

と言いおいて、ルナは上に戻った。



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