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騒動の1日

「目を覚まして!キース」

その叫びと共にレオノーラが飛び出してきた。

「俺は至って正気だし、思い付きで言っているのでもない!」

キースが叫び返した。

「正気ならなおさらまずい!私は25でレディらしからぬ女で、アークウェイン伯爵にはふさわしくない!」

「誰がそんな事を決める?私の結婚は自分で決める」

「私は結婚する気などさらさらない!」

レオノーラが怒りをむける。


「ここからは出さんぞ!レオノーラ。キース卿にはい、と申し出を受けるんだ!こんな良縁があるなど思いもしなかった!」

アルマンが両手を広げてレオノーラの行く手を阻み、リリアナも横に並び

「レオノーラ、お願いよ。老い先短い私たちを安心させてちょうだい」

「何が老い先短いですか…!」

レオノーラが泣き落としに入ったリリアナを見つめ返した。

「姉上!キース卿は喧嘩もつよい!俺は兄に是非なってほしい!」

ラファエルが並んでキースに加勢した。

睨み付けるレオノーラをみて、

「アントン!剣をもて!」

アルマンが叫び、アントンが走って行って戻る間に、ステファニーも加勢した。

「お姉様!そうよ。順番で言うならお姉様が一番に結婚をしなくてはいけないわ。お姉様が結婚しないならわたくしも結婚しません!」

「レオノーラ、ステファニーもこう言っているし、どうか受けてください。私もそろそろ身を固めたいんです」

アンドリューもステファニーに加勢した。


急ぎ戻ってきたアントンが剣をアルマンに渡すと、

「ええい、レオノーラ。あくまで断って逃げると言うのなら、これで私を刺して行くがいい!」

とレオノーラに剣を渡そうとした。


「お姉様、お願い。もう一度部屋に戻って、キース卿とちゃんと向き直って!」

ルシアンナがはらはらと涙を流して訴えた。

「レオノーラお姉様。どうか落ち着いて、お父様を殺さないで」

ルナも加勢した。

レオノーラが困惑していくのがわかる。


「…キース、はかったな…」

レオノーラが呟いた。

「こうなることを見越して、このタイミングで言ったんだな?」

「まさか?いまがチャンスだと逃す気はなかったけれど、君のご家族に頼んだりはしていない。れっきとした君のご家族の気持ちだよ」

「キースはそういえば思いっきり黒い事を考えつく奴だったね。逃げ場を塞ぐなんて卑怯な…」

「卑怯でもなんでもいい。レオノーラがはいと、私の腕に飛び込んでくれるならね」

にっこりとキースは微笑んだ。


レオノーラは拳を握りしめ、キースをみて、訴える視線を向ける家族を見て

「わかった、後悔しても知らないから。…覚悟を決めて、求婚をうけるよキース」

レオノーラが言った瞬間に、

キースはレオノーラの腕をひき、レオノーラにキスをした!


アルマンとリリアナは喝采をあげて、ステファニーとルシアンナも抱き合って喜び、ルナはアデリンと抱き合って喜んだ。

「アントン!レオノーラの気が変わらないうちに、結婚証明書をとってくるんだ!」

アルマンが叫び

「ラファエル、アークウェイン伯爵家に行って婚約証明書に署名してもらってこい!」

ラファエルとアントンが屋敷から飛び出していった。


呆然としているレオノーラをコーデリアが優しく抱き

「おめでとう、レオノーラ。貴女は不服かも知れないけれど、きっと上手くいくわ」

と囁いていた。

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