7 神との邂逅
そこは真っ白い部屋だった。
瀬奈は意識が朦朧としていたものの、自分に意識があることに気付き、辺りを見回す。
辺り一面が白い。どこまでも続く広い白い部屋。
そこに一人の少女がたっていた。
「あなたは誰?」
その一人の少女に向かって問いかける。
いや、実際には少女ではない。
少女の顔は見えない。
ぼんやりと髪の長い少女のような人影に話しかけている。
少女は口を開けた。
「私はこの世界を司る神ミィス。あなたはこの異世界に入り込んだ異分子。そして、不当な手段を使い、この世界の体を得ようとする者。よって、排除するに適当な存在と判断。よって、排除する。」
えっ、排除?私、ここで死ぬの?
そのミィスという神様は何もないところから、実体のある白い大鎌を創り出す。
そして私の首筋に大鎌の刃を突きつける。
ここまでか・・・。
瀬奈は意識を閉じる。
・・・・・・・・・・・・・
ん?死なない?
瀬奈は目を開ける。
するとその少女は実体を現していた。
純白のワンピースに、髪はすべて白髪のロングヘア。
その可愛くもあり、神々しくもある姿が目の前にあった。
そしてその少女は怒っていた。
頬を膨らましながら。ていうか、すごく可愛い。
「なんで!なんで抵抗しないの!トトを説き伏せて、禁呪まで使わせて転生させてもらって、異世界から来たというイワクつきの代物がこんな程度なの!?
つまんないつまんないつまんない!」
「あの~私はどうすれば・・・」
「もういいわ、あなたつまんないし!禁呪使ったんだから罰として死んでもらうわ!」
「待って!私、死ぬわけにはいかないの!トトとの約束もあるし、佑真とも・・・、とにかくまだ私は死ねないの!」
「あなた、禁呪を使ったのよ?この世界の禁忌を!私はこの世界の神として、そんな存在は許せない!たとえ、あのトトが誓いを裏切ってまで生かそうとした者であっても、あなたのような異世界から来た異分子をこの世界に置いとく訳にはいかない!」
「じゃあ、佑真は?佑真はどうなったの?」
「彼はもうすでに意識がなかったから元の記憶を封印して違う魂としてこの世界に誕生させたわ。異世界の知識などをこの世界に持ってこられると困るのよ!あなたのようにそのまま記憶も封印しないで誕生させることはできないわ!」
「じゃあ、神様!私と契約してください!私はトトとの約束を守らなければいけないんです。私はこの世界のために動きます。異世界の知識をこの世界の人達が知っている以上にこの世界の人に言いません。もし、この世界の人々に伝わったり、言ったりしてしまったら私を殺してかまいません。」
「だめよ!もし彼の記憶の封印が解けてしまった場合、私から彼に直接干渉することはできない。彼とあなたが異世界のことを話してしまう危険があるわ。」
「それも私が責任を負います!彼が幸せに生きられるのであれば、私が瀬奈だとわからなくてもいい。私が瀬奈だとわからなければ、トトに言われた通りこの世界に異世界の知識や生活などを話せる人などいないし、信じる人はいないでしょう。」
「うーーーん。」
神様は考える。瞬時に自分の下に白い椅子を出現させ、考える人のポーズで。
それもまたかわいい。なんでこんな神様は可愛いんだろう。
触りたい・・・・
「よし、じゃあ、瀬奈、私の足を舐めなさい!」
えっ?足を舐める?
「それが出来たらこの世界に存在することを許すわ!ただし、この世界のために生きること、異世界のことは他言しないこと!そして彼の生まれ変わりにあなたの正体を悟られないこと!いいわね?」
なんで足を舐めることも条件に入っているんだろう?
ていうか神様、凄い笑顔・・・この子Sなのかな・・・
でも生き残るためにはしょうがないのか・・・やりたくない・・・
瀬奈は屈辱感を伴いながらも、その少女の前に跪く。
そして、椅子に座っている彼女の足を取り、足の下を近づける。
終始神様は笑顔。凄いニヤニヤしてる。
そして、意を決して舐めようとすると、蹴ってきた。
ふっ飛ばされた。
そして見えない壁に当たり、衝撃が体を突き抜ける。
「何ほんとに舐めようとしてんのよ!だから、抵抗しなさいってば!この世界で生きていけないわよ!・・・ふん!」
なにこの神様、すっごいイライラする。
なんで私ふっ飛ばされなきゃいけないの!!?
「もう、わかったわよ!さっさと行きなさい!あなたの体に契約の紋章を残しておくわ!契約を破ったら、あなたは死ぬからね!」
そういうと、神様の後ろに白いドアが出現する。
「あと、私にあったことはこの世界のやつには言わないように!それも契約内容のひとつとしておくわ!あと・・・私のことをミィス様と呼ぶことを特別に許してあげるわ!感謝しなさい!敬いなさい!跪きなさい!」
なんでこんな偉そうに上から言ってくるんだろう。こんなこと言わなければすぐにでもなでなでしたいくらい可愛い美少女なのに・・・
私は神様を通り過ぎ、ドアノブに手をかける。
「じゃあ、ミィス様!ありがとうございました!」
「わかったわよ!さっさといきなさい!」
振り返ってあいさつすると、ミィス様は椅子の上に立ち膝になって半分ほど顔を出してこっちを見ていた。
私はドアの中に入る。
世界は暗転した。
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意識は3歳の時にはっきりした。
人間は3、4歳くらいまでの意識は全くないと言われている。
地球では幼児期健忘と言われ、3、4歳までの記憶は都合の悪い記憶として消し去られるというのが通説らしい。
とはいえ、私もおしめを変えたりしてもらう記憶が残っているのは嫌なので都合がよかったけれども。
私の家は貴族の家だった。トトが死んでしまう子供に転生させると言っていたけれど、もし、これが奴隷とか魔族に生まれたらどうしようと密かに思っていたので、本当によかった。
私の家は貴族と呼ばれてはいるものの、権力争いをするうちに、ライバルの貴族に負け、辺境に飛ばされたらしい。そして、今、このユーロン大陸の東側、小王国から村をもらい、そこを治める貴族として生活している。
私には兄が一人いた。日本では兄弟の中では一番上だったので新鮮だった。これが結構頼りになる兄で結構べたべたさせてもらっている。ブラコンではない程度に・・・
この村で、私の異世界生活が幕を開ける!




