5 積み上げた記憶
すいません。説明終わりませんでした。
次回の半ばくらいまでで終わらせられるようにしたいと思います。
「よう、嬢ちゃん。助けに来たぜ。」
彼はそう言った。
いや、正確に言うとそう言ったらしい。
後に、だいぶ後になって瀬奈が聞いた話である。
少なくとも今の瀬奈にとって、彼の第一印象は最悪だった。
瀬奈からしてみれば、また敵が来てしまったのと同意である。
そして、瀬奈は死ぬときは自分も一緒だと思いながら、佑真に覆いかぶさったまま、その彼の方を恨みがましい目でにらみつけたのだった。
彼は右目に眼帯、左目はきれいな青色。中性的な顔立ちで、幼い印象はあるものの、どこからか威厳が感じられる、そんな男性だった。
彼はにらみつけている瀬奈に向かって手のひらを向ける。
瀬奈は死を受け入れ、目を閉じた。
頭を触られた。
「嬢ちゃん、いや、瀬奈といったか、あんたは勘違いしてるぜ。俺はお前を助けに来た。」
彼はそう言ってきた。
そして彼は瀬奈の頭から手を離す。
瀬奈はゆっくりと目を開けると、彼は笑っていた。
「頭の中の記憶を見させてもらった。瀬奈と呼んでいいか?瀬奈は異世界から来たんだな。統一言語が通じないのも頷ける。」
瀬奈は彼が日本語を言っていることに驚いた。
同時に彼に泣きついた。
「お願い!佑真を助けて!佑真を・・・」
「瀬奈、彼、いや佑真はまだ死んでない。だが非常に危ない状況だ。お前も彼と同じように、もうすぐ意識を失う。いいか、俺も時間がない。これから生きていくのに最低限の知識と、解決方法を教える。落ち着いて聞け。」
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これからこの世界のことをできるだけ簡潔に説明する。瀬奈はできるだけ覚えてくれ。
まずこの世界の名前はミィス。
地球という星じゃないんだ。球体でもないしな。まぁ、わかっているとは思うがな。ここで断定しておくぞ。
そしてこのミィスは5つの大陸に分かれている。
まず、ユーロン大陸。
治安は比較的安定している。
小王国がユーロン連邦を作り、各小王国の代表者が議会で法律など物事を決めている。
ユーロンのほぼ中央に連邦を分断するようにウェルボル山脈が存在する。この山脈のおかげでユーロンは緑が多く、作物も育ちやすい。
次に、アブドラ大陸。
こちらも治安は安定している。大陸全土を一つの王国が支配している。
昔は争いの絶えないくらいだったが、今は現在の王が統一し、争い事はほぼ起きなくなった。
続いて、ルビス大陸。
このルビス大陸は昔は魔族が占領していたんだが、約150年前の人魔大戦の終結した時の公約で魔族と人間が共存している。
技術や産業はあまり発展していないものの、森が広がり、自然資源には苦労しない。今はアブドラ王国の支配下に入っているものの、自治は認められていて、それぞれの村で自由に暮らしている。
あとは、ゴルワット大陸。
かつては草原が広がっていたものの、最近の干ばつで砂漠化が進んでいる。
山脈も多い。山の上は小規模種族の住みかとなっている。
かつては帝国だったが、人魔大戦の戦犯として皇帝が退位し、子供が引き継いだが皇家の効力が失われ、軍司令部のほうが力を持ち、力のある者が集まり始めている。
人口が五大陸中最大で、治安の方はいいとは言えないな。
そして最後に、ここ、レボル大陸
ここは、魔族が統治している。人魔大戦の時の魔王、レボルバルトの名前をとってつけられた。面積が五大陸中最大だ。
だが実際統治しているのは東側だけで、西側は魔素が強すぎて、魔族でも入ることはできない。いや、入ることはできるのだが頭がおかしくなるらしい。
よし、これで地理については終わりだ。
次は俺についてだな。
俺はトトという。人間と魔族のハーフだ。父親の魔族は、結構長生きな種族でな、だいたい寿命は300年といったとこだ。父親の血を色濃く受け継いでいるからか、俺も結構長生きできるらしい。今217歳だしな。
俺のことを説明するには、さっきも言ったが、約150年前の人魔大戦を説明する必要がある。
人魔大戦はゴルワットの皇帝ノスト・フィステギアが干ばつのおかげで、国の中で自給自足が出来なくなってきたことにより、領地を広げるためにレボル大陸へ宣戦布告したのがきっかけだった。
ユーロンやアブドラの王国はそれぞれ、経済関係が強かったり、同盟関係を結んでいた大陸の方に味方したことにより、他の大陸でも内乱や紛争が始まった。
これはおとぎ話の話なんだが、昔もこういうことがあったそうだ。その時、賢者と勇者が現れ、戦争を終結に結び付けたという話だ。
俺はその戦争が始まる前、各地を転々としていた。そのおかげで広い友人関係を築くこともできたし、いろいろな技術、魔法、伝承、文化を知った。
さらに俺は物を覚えているのに長けていた。記憶を収納のように必要な時に出し入れできる魔法を手に入れてからさらによくなった。
だから瀬奈の頭の中を覗く、人の記憶を見る魔法で地球を知り、日本語というものや使い方などを一瞬で理解し、使用できる。
それで俺はこの力を使って戦争を終わらそうと考えた。
だが、各地を飛び回ったが、結局戦争を止めるのは難しかった。
ひとつの王国を抑えている間に、違う王国が攻撃が始まり巻き込まれたことだってあった。
俺は絶望した。今の俺はあまりにも無力だった。そんな絶望に打ちひしがれていた俺に神のお告げがあった。お前は賢者の器にふさわしい、と。
何か得体の支得ない力が体の中にあふれて来た。
そして、数々の知識をさらに有効に使い、もてる力のすべてを発揮した。
俺は力をすべて出してもいないのに、自分はもうよくやったと思いたかったんだと思う。そして勝手に絶望した。
それを神は教えてくれた。
そして俺は人間と魔族を和解させた。勇者は現れなかったがな。
それから俺はこの世界では賢者と呼ばれるようになった。
その時の俺は浮かれていた。なぜ勇者が現れないのかを考えるべきだったんだ。
数年後、俺はまた旅に出た。平和になった世界は歩きやすかった。どこを歩いても賢者様、賢者様ともてはやされ、優遇され・・・
人のために出来ることはすべてやった。この世界の科学者が数千人がかりで取り掛かったが、見つけられなかった流行り病の治療法を完成させたり、ぽつぽつ起こる紛争の火種をけしたり、弟子をとって魔法を訓練したり・・・
日々は充実していた。そんなある日、耳にする。
それは大戦後、親しくなった魔王レボルバルトの城へ出かけた時のことだった。
大戦の話をしていて、気づいたのだ。魔族側に操作が加えられて情報が伝えられていたことを。まるで、できるだけ戦争が長引くように。
そのとき悟った。この大戦は誰かに仕組まれたものだった、と。
そして有力な情報を得た。
この魔大陸の西側に出入りしている怪しい輩がいるという情報だった。
そしてこの今いるフレイア樹海に来て、歓迎された。
さっきのベクタンとかいう魔獣を倒し、敵3体を同時に相手取り、この世を破滅させる計画を知った。おしゃべりなやつがいてな。ほいほい教えてくれたよ。
俺の敵は決まった。
アウセクリスだ。




