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幼馴染は譲れない!  作者: 揚羽 楓
第一章 フレイア樹海編
5/32

4 情報交換

 

 武田先輩が下半身だけになっていた。


 二人は立ち尽くしていた。


 すると近くにある木の上から声が聞こえてきた。


「テフネト~、なんか変なの入ってきたよ~。」

「あら?そうねぇ〜。でも、私の仕事はこれで終わり。結界はできたから後はあなたに任せるわ。」

「うん、わかった~。」


 

 二人は上を見ると、女と男がいた。

 何か話しているが、二人はまったく聞き取れない。


 

 女は枝を支えにしながら軽々と木に飛び移り霧のドームの外側へ消えていった。

 男、いや、男の子は上から降りてきて、瀬奈たちの前に着地した。


 

「◎×◇&%‘@*$#|¥+>?」


 

 男の子の話は聞き取れなかった。どうやら異世界語らしい。


 男の子はふくれっつらだ。私たちが答えないからなのだろうか。


 

 すると男の子は何かに閃いた様子で、縦にした拳を手のひらに、ぽんと置いた。

 そのジェスチャーはどこでも共通なんだ・・・

 男の子はふっと目を閉じ何か光線を私たちのおでこにめがけて、放ってきた。

 一瞬のことで反応さえもできなかった。



『やあやあ、こんにちは~。これで繋がったかな~?君たちの脳に、直接話しかけさせてもらってるよ~。うまく君たちの言語に翻訳できているんじゃないかな~?僕はセト!よろしく~。』


 

 男の子はそう話しかけてきた。

 いや、伝達したというべきか・・・というか、何?脳に直接?どういうことだろう?



『さて、早速君たちに質問してもいいかな~?君たちも僕の質問が終わったら、一個質問していいよ~?これが情報交換ってやつだよね~。なんかわくわくするなぁ~。』


 

 佑真が答えた。



『待ってくれ!俺たちは今混乱している。君の言葉を信用していない訳ではないが、先に質問させてはくれないだろうか。』

『んん~そうだね~。ま、いっか~。君たちからでいいよ~』

『ありがとう。まず君はセトというんだね?そう呼んでもいい?』

『平等っていう言葉はいい言葉だよねぇ~。そう思わない~?君らが僕のことをセトっていうなら君たちの名前も聞いてもいいってことだよね~?』

『ああ、それは構わない。僕は佑真だ。』

『私は瀬奈。』

『ふーん ユーマとセナかぁ~。よろしく~。』

『瀬奈、お前は目をできるだけ開けていろ。二人とも目を瞑ったままだと危ない。』

『わかった。』


 

 かったるい調子の男の子はいまだ目を瞑ったままで、こちらに光線を送り続けている。目を開けたままでも会話は聞こえる。私も目を瞑らないと話が出来ないらしい。

 あと、一緒に入ってきた化け物5体がこちらをにらみつけているような気がする。目はないのだが。



『あぁ、悪かったね~。僕としたことが~。すぐ追っ払うよ~。』



 私の言いたいことがセトに伝わったらしい。

 セトは目を瞑りながら、手のひらを上にあげると魔獣は霧の外に出て行った。

 


『それで、セト、質問なんだが、今僕らの目の前にいる人はどうなってるんだ?なんで上半身がないんだ?』

『あぁ、コイツ~?コイツなら僕は話しかけただけなのに、襲い掛かってくるから真ん中から切ってやったんだ~。久しぶりに人間を切ったよ~。やっぱ楽しいね~。』



 は?コイツ今なんて言いやがった?真ん中から切った?ということはコイツが武田先輩を殺した奴か。許せない・・・


 

 佑真は目を開け、槍を構える。



『あれ~?何~?君も切られたいの?いいよ~僕は今凄く遊びたい気分なんだ~。こいつはすぐ死んじゃったから、君は楽しませてくれるよね~?』

『佑真、やめて!佑真だけは・・・死んでほしくない・・・』




 だけど!、と言おうとしたが瀬奈は目を閉じながら泣いていた

 佑真はそれを見て槍を下ろし、再び目を閉じる。



『あれ~?やらないの~?楽しみにしてたのになぁ~。まぁ、選択は平等であるべきだよねぇ~。戦うのも自由。戦わないのも自由かぁ~。やっぱり、僕は君の意見を平等に尊重するよ~。』


 

 セトは続ける。



『あ、そっか~。次の質問は僕の番だね~。えぇ~っとぉ、イシスのベクタンを倒したのは君たちかい?』

『いしすのべくたん?なんだ、それ?』

『ベクタン127を倒したのは君たちじゃないの~?さっきいた魔獣の一体だよ~。』

『あぁ、それなら、一体だけ倒した。』

『やっぱり君たちかぁ~。ふ~ん。興味をそそるねぇ~。』

『さぁ次は俺らの番だ。お前は一体、何者なんだ?』


 

 佑真がそう言った途端、セトの顔が一瞬ひきつった気がした。



『んん~?僕のことを知らないの~?まぁ、無理もないか~。新参者だしねぇ~。僕はアウセクリス八柱のひとり、セトだよ~。巷では黒い太陽と呼ばれているかな~。それでね~、んん?オシリスのやつ、逃がしたな~。あぁ〜面倒くさい~。ごめんね~。ここで情報交換は終わりのようだね~。でも~僕のほうが答えた質問の数が多いから~君たちに対価を払ってもらうよ~。平等にね〜。』


 

 いきなりどうした?何か起こったのか?

 頭の中でぐるぐる考えていると、瀬奈が耳元で、霧が晴れたよ、と言ってきた。自分も目を開けてみると霧が晴れていた。


 それにしても対価といったか、何か払わなければいけないのだろうか・・・



『じゃあ、これでお別れだね~。霧は晴れてるから帰れるものなら帰っていいよ~。じゃ、平等に対価は頂いていくからね~。あとそこの死体も~。』


 


 セトはそう言って、目を開いて意思伝達の光線をやめた。

 佑真も目を開いた。

 セトは武田先輩の下半身を片方の腕で抱えた。

 そしてセトが近づいてきた。佑真に相対する。

 

 それは一瞬の出来事だった。


 セトに体を触れられた佑真が倒れた。


 するとすぐにセトは木の大きな枝に乗り移り、笑顔でこちらを見ながら枝の上を移動していった。


 


 瀬奈はすぐに佑真に駆け寄った。佑真は白目をむき、口が開いていた。


「佑真!佑真! ねぇ!佑真ってばーーーー!」



 瀬奈は必死に体をゆすりながら呼びかけるが反応はない。

 瀬奈は心臓マッサージに切り替える。


「ねぇ!佑真! 起きて!私をこんな世界に一人にしないで! ねぇ・・・起きてよ・・・佑真ってばぁ・・・」



 瀬奈の目から涙があふれ出て来た。佑真の頬に瀬奈の涙が落ちる。


 瀬奈は心臓マッサージをやめない。


「佑真ぁ…佑真……起きてよぉぉぉぉーー!」


 

 瀬奈は大声で叫んでいた。またセトやベクタンとかいう魔獣が反応してこちらに来るかもしれないのに。


 そんなことはどうでもよかった。

 佑真が助かりさえすれば、何でもよかった。


 

 そしてその思いは伝わった。



 木の上から男が瀬奈の前に飛び降りてきて、着地した。



「よう、嬢ちゃん。助けに来たぜ。」




 彼はそう言った。




次回は半分、説明回になると思われます。

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