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幼馴染は譲れない!  作者: 揚羽 楓
第三章 ギルドスクール編
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31 決闘

 私が控室に入ると扉にロックがかかり、時間になると解除された。


 入り口をくぐると、観客が観客席を埋め尽くしていた。


 なんでギャラリーがこんなに・・・

 まさか、学長これで一儲けをするために念押しを!?


「ダルター!捻り潰しちまえ!!」

「いけー!」


 まぁ特に私がやることは変わらないんだけどね。あの虫を捻りつぶすだけ。


「やっときたか。ずいぶん遅かったな。」

「あら、待たせてしまったようね。ごめんなさい。」


「それではダルタ・シュトラスマンとシャルル・トルクールの決闘を開始する。戦闘不能と判断された場合と降参を示した場合負けとする。それでは・・・はじめ!」


「逃げだすかと思ったが、のこのこ死ににきたか?没落貴族のお嬢様は気楽なもんだなぁ。」

「虫が何をいってもただの戯言。そんなこと言っても結果は変わらないのだからさっさとかかってきて。時間がもったいないから。」

「そうかよ。じゃあ行かせてもらうかなッ!」


『おい、今回はどうする?』

『あんなの楽勝だわ。休んでて大丈夫よ。』

『そうか、でも危なくなったら呼べよ?』

『わかったわ。』


 ダルタは開始地点から走って距離を縮めてくる。

 それに合わせて私も移動しようとする。

 !!!

 足が動かない!腕も首も!糸で固定されてる!?

 ダルタは鞭の聖武器に選ばれた。

 鞭の攻撃が来る!!!

 ダルタは鞭を二振り。攻撃はみえるものの、よけることはできず体にくらってしまう。


「おいおいどうした?そんなとこで固まって。戦意喪失か?」

「あなた、卑怯よ!」

「あ?聞こえないなぁ?どうした?何もせず完敗ですってか?こりゃあ笑えるぜ!」


 嫌らしいことに、この糸は魔素を通さない。さっきから雷をこの糸に流しているものの、まったく伝わらないのが分かる。手も固定されているので、魔術を飛ばそうにも真下の地面に向けて撃っても仕方がない。

 どうすれば・・・


 ダルタの攻撃は緩まない。私の攻撃が来ないのをいいことに鞭を私の体に打ちつける。同時に治癒魔法を行使しているから、体へのダメージはそれなりに回復しているものの、これでは私の魔素が尽きる方が先だ。


 だけど、まだ負けてない!!!


『トト!』

『さっそくお呼びか。こりゃあ派手にやられてんな。どうしたよ。』

『何か見えない糸みたいなもので固定されてるの。何か方法はない?』

『相変わらず人使いが荒いな、ったく。魔術はイメージだっつたろ。別に手から放つ必要はねえ。糸が切れないなら糸を操っている奴に雷をくらわしてやればいい。索敵も問題ねえだろ。』

『なるほど!その手が!!ありがとう。トト。』


 加速!索敵!


 途端にシャルルの見えている光景がまるで止まっているかのように遅くなる。自分が速く動いているからこそ、相手の動きがスローモーションに見えるのだ。

 同時に魔術の進行も加速させ、格段に速くなる。


 見つけた!術者は一人。闘技場の外!周りに人はいない!

 

 マックスボルテージ!!!

 

 そして時間は等倍に戻る。

 

 ドーーーン!


 必然的に光よりも速く動かなければ、雷は避けられない。

 そして当たった後の大きな音と雷のクレーターにより、観客は何事かと外に視線が移る。

 その事実を目の当たりにし観客たちの顔はみるみる青ざめ、先ほどまでダルタを応援していた上流貴族の子息たちが畏怖を抱いた眼でシャルルを見ている。

 おそらく今の攻撃で味方がやられたことを悟ったダルタは大きく舌打ちをし、攻撃を継続するも、動きが封じられていないシャルルの敵ではなかった。


「貴様、何をした!?」


 ダルタはたまらずシャルルに怒鳴りつける。

 

「何ってあなたの卑怯なたくらみごとぶっ潰してやったのよ!服もこんなに破いて!この服高かったのに!!絶対許さないわ。」

「あのアバーテが・・・くそっ!まあいい。やれ。ブロウ。」


 ダルタは鞭を持っていない手を真上から振り下ろす。

 闘技場の壁からナイフを持った伏兵5体が現れる。

 一瞬のうちに距離を縮め、5方向から首を狙って襲い掛かってくる。

 

 まず一人目を体を加速させ、みぞおちを蹴り上げる。

 二人目は体をひねらせ躱し、勢いを殺さず、三人目の方へ投げ飛ばす。

 飛び掛かってきた四人目は重心を低くして躱し、足をつかんで五人目めがけて放る。


 よし、ひとまずは何とか。


「――――本命はこっちだ。」


 低く冷たい声だった。ナイフが後ろから突きつけられる。

 やられた。完全に目に映った数だけを相手にしていた。


「いくらシュトラスマン家子息とはいえ、我々をこんな娘相手に使ってくるとは。落ちたものだ。ただ、今は任務の真っ最中。アバーテを倒したのは見事だった。少々手荒い真似をしてしまうが死にはしない、許せ。最後に何か言っておくことはあるか?」


 声の主は小声で言ってくる。


「おい、待てブロウ。とどめは俺がする。この没落貴族のお嬢様にはしっかり教育しておかねえといけねえからな。」

「いくら子息とはいえ、いい趣味ではなさらぬな。我々まで駆り出しておいてそれはないのではないか?」

「ええい、黙れ!俺がすると言いたらするんだ!黙って従え!二人がかりでも文句はないな!審判!!」

「特に人数の規定は決闘前に成されていないので成立いたします。」

「ほう、審判まで買い取って・・・いいでしょう。今逆らうのは得策ではない。我々も命あっての任務なのでね。」

「それでいいんだ。早く寄越せ!」

「ですが私が放してしまえば、この娘は再び体が自由になりますよ?」


 ここでシャルルが雷を使わなかったのには理由がある。どちらも無防備であるがゆえに簡単に当たるのだが、雷を空から打つためには相当の隙と魔術加速が必要になる。糸使いはまさか外にいる自分があてられるだろうなど夢にも思ってなかったことが幸いし、直撃を浴びせることが出来たが、このブロウという男は隙が無い。会話の最中でも常に重心を低くし、とっさの事態にも対応できるだろう。先ほどの本体の動きは全く気付くことが出来なかったし。加速は、意外とシャルルが使える魔法の中で魔素の消費量が激しく多用することが出来ない。先ほどから立て続けに加速を使ったことにより、残りは少ない。ここで使い果たして仕掛けるという場面ではないとシャルルは判断したのだった。


「それはそうだな。じゃあ、お前はそれを押さえつけていろ。」

「・・・わかりました。」


 どうする?仕掛けるか?すぐ鞭の攻撃が来る。

 どうすれば・・・


「さあたっぷり味わえ。その体になぁ。」


 ダルタは鞭を振るう。


 バシッ!バシィ!!


 だめだ。治癒魔法につぎ込んでいるもののもう少ない…

 もうだめなの…?

 シャルルはとっさに目をつむる。


 


 攻撃はいつまでたっても来なかった。

 目を開ける。


 前には青髪の男が立っていた。

 



「あなたはだれ?」

 

本当はダルタはあまりこんなゲスキャラにする予定はなかったのですが・・・

話の流れ的に・・・


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