2 初めての冒険
「で、これからどうする?」
状況は何も変わっていない。
むしろ悪化したといっていい。なにしろ、全力で逃げる途中、惣菜の入ったコンビニのビニール袋も落としてきたし、ヘンゼルとグレーテル的なメロンパンを細かくちぎって自分たちが歩いてきた道に落とすという作業をしてきたというのに、すべて無駄になった。
だったらメロンパン食べとけばよっかたなあ、と思う。今更だが思う。メロンパン食べたかったのに・・・・
「とりあえず、崖から移動したほうがいいんじゃない?逃げられないし・・・・っていうかここどこなの!? 何!? さっきの変な動物は!?」
「んん、一言でいうと、ズバリ、魔獣だね!」
「なんでそんな嬉しそうなのよ!」
「だとしたら、ここは異世界!こんな楽しいことないよ?魔法とかできちゃうかもよ!」
「魔法かぁ・・・使えるんだったら使ってみたいな・・・じゃなくて、ここ日本じゃないの?どうやって戻るの?これからどうなるの!?」
「そんなん知るかぁぁぁ!少なくとも今考えることじゃない!まずは身の安全を確保したらだ!」
「まぁ・・・そうだけど・・・・」
「とりあえず・・・ファイァァァァァァァアーーーーボォォォォウル!」
「えぇ!?身の安全じゃなかったの!?」
佑真は、頭の中で火の玉を想像し、それを手のひらから放出する!、イメージをしたらしい。
何も起きなかったけどwww
「おい、笑うな!俺だって恥ずかしいんだ!」
「だったら、そんな格好つけて叫ばなくてもいいのにww」
どうやら魔法とやらは使えないらしい。
その後、私も同じようなことを小声でやったことは秘密だ。
「だめかぁーー。魔法が使えたらさっきのやつだって一発なんだけどな~」
「そういえば、今思い出したんだけどさ・・・」
「何を?」
「武田先輩・・・・」
「あっ・・・」
佑真は今思い出したようだ。
私よりも思い出すの後ってどういうことなの・・・
「武田先輩探すか・・・」
そのあとは逃げてきた道をまた引き返した。
そしてまた何回か同じ魔獣が出てきて、また崖へ全力疾走!
一向にもと来た場所へ帰れなかった。
魔獣をさらに3体ほど崖から落とした後、猛烈に眠気が襲ってきた。
「佑真・・眠い・・・」
「眠いのか・・。わかった、俺が見ててやるからそこで寝てろ。」
森の中で寝るのは初めてだったが、眠気に勝てるはずもなく、すぐ眠りに落ちた。
瀬奈が寝ちまった。あいつ、疲れすぎだろ。まだそんな走ってないのに。
佑真は毎日の運動として、朝10km走っていた。だがこういう形で役に立った。とは佑真は思ってない。
さて、これからどうするか。まず武田先輩を探す。
次に食料と水の確保。さらに、森に入ると襲ってくるあの魔獣の撃退方法。あと寝床の確保といったところか。
さすがにこの樹海っぽい森で何か月も過ごすわけにはいかないが、拠点は大切だ。この崖でいいだろう。あの魔獣も崖までは出てこない。と思う。
とはいえ瀬奈が寝てしまった今できることは限られる。
大体こういう時ラッキースケベを狙って近づいたりするのだが、俺はまず、そんなことより何か使えるものを周りで探した。そこらの主人公とはわけが違う。
とりあえずそこにあるでかい岩を削って武器にするのはどうだろうか。
硬さを確認する。これくらいだったら十分に殺傷能力のある武器が作れる。
だがこのままでは大きすぎる。削らなければいけない。
するとさらに奥に巨大な岩があった。岩に岩をぶつければ、削れる!
岩を持って思いっきり遠心力を使ってぶつける。
岩はいい感じに粉々になった。さらに巨大な岩に打ち付け、形を整える。先がとがった打製石器の出来上がりだ。
そしてその打製石器のナイフで木の枝をを切る。長細くかたちを整えて、余った枝を削り、紐を作る。ナイフを細長い枝に括り付ければ槍の完成だ。
槍とナイフを二つずつ作った。どれくらい経っただろうか。
瀬奈はまだ起きない。
ふと崖の下が気になった。
覗いてみると、下にも森があった。
この森はどれだけ広いのだろうか。
次に火を起こそうとした。マッチもライターもないので、こすり合わせて火を起こす。
瀬奈と小学生の時家族ぐるみでキャンプに行った以来だ。ただ一回起こしたことがあるだけあって、火はすぐに着いた。
何本か切っておいた枝を薪にして、炎を作る。そこで、瀬奈が起きた。
「佑真、おはよう~」
「おぉ、よく眠れたか?」
「んん。寝る前よりはすっきりしたかな。」
「そっか。ならいいんだけど。そうそう。瀬奈の武器を用意したぞ!槍とナイフだ!」
「えっ!武器!?私、戦うの!?」
「いざという時のためだよ。持っておいて損はないだろ。」
「まぁ、そうね。一応ね、一応。」
「これから武田先輩の探索と、水と食料の確保に向かおう!それで、たぶん中に入るとまたあいつが襲ってくる。大体ああいう魔獣は角が弱点なんだ。それをこの槍で俺が狙うから、瀬奈はできるだけ邪魔にならないような場所にいてくれ。」
「うん。わかった!」
なにか佑真がたくましくなっている気がする。いやいや、そう思っていて先回騙されたのだった。今回は騙されないよう見張っとかないと。
「じゃあ早速行くぞ!」
わたしたちは火を消して、歩き始めた。
さっそく、あの魔獣が現れた。一体この森に何体いるのだろうか・・・
まだ気づいてない様子だが時間の問題だ。さっと近くの茂みで待ち伏せる。そして茂みの目の前まで奴が来た。
佑真は持っていた槍で角を思いっきり叩き折ろうとした。
しかし、折れなかった。半ばまでしか槍が通らなかった。さっきの魔獣が暴れまわる。すぐに佑真と瀬奈は全力でダッシュした。だがその魔獣は追いかけてこなかった。
「追いかけてこないな・・・」
「追いかけてこないね・・・」
来たほうを戻るとその魔獣は色が変わっていた。
青色から黒色に変わっていたのだ。
角には佑真がつけた傷とその傷にめり込んだ槍ががそのまま残っている。
もう一回思いっきり、角をにある槍に力を加えれば切断できそうだった。
もう一回気配を消してからの佑真の不意打ち。
勢いをつけ角を刺さっている槍を真下に振り下ろすと、甲高い音が響き、角が折れた。
その瞬間魔獣の雰囲気が変わった。さらに色が変化したのだ。
黒色から青白い何か神々しさを思わせるオーラを発し、純白になった。その瞬間、佑真に向かって雷を放った。
佑真は魔獣の角を折り、すぐ距離を取っていた。
そして、とっさに雰囲気が変わったことを理解しナイフを角のあった場所に投げた。
そのナイフに雷が当たった。一瞬だった。
ナイフが融けて消えて無くなったのだ。
あんなの食らったらひとたまりもなかった。助かったーーー、佑真は自分のとっさの判断を褒めた。
その一撃を放った途端、その魔獣は倒れた。
瀬奈は立ち尽くしていた。一瞬の間に何回かとんでもないことが起きた。
佑真が助かってよかった。今はそう思うだけに止めておこうと思った。
魔獣を倒した。




