24 入学
無事入学が決まり、もう一度学長室に私だけ改めて呼ばれた。
「失礼します!」
「シャルルね、入って。」
入ると学長はとても沈んでいた。
別人みたいに覇気がなくなっている。
「まぁ、あなたにも悪いことをしたと思うわ。その点について謝れと副学長にはこっぴどく言われたの。ごめんなさい。」
「いえいえ、いいんです!頭をあげてください!悪いのは範囲を考えなかった私なんで・・・」
「その・・・別にこの学校に入るのに試験なんてないのよ。」
「えっ!?そうなんですか!?」
「あっいや試験自体はあるのよ。一般の新入生向けには。でも紹介状を送った人たちはみんな特待生。有名貴族の出や、いずれかの才能が特別に高い人に送っているから、特待生に入学試験はないわ。」
「はー・・・そうなんですか。」
「トルクール家は代々、高い魔法の才能を引き継いでいるから、私から声をかけさせてもらったの。それに顔なじみのバートの頼みでもあったしね。それでちょっと実力を確かめようと思っただけなのよ・・・」
なるほど・・・
特にこの試験は入学に影響はなかったと・・・
まぁ、学長も反省してるし、楽しかったし、おあいこってことでいっか。
「いや、別にいいんです。私も楽しかったですし。」
「そうよね!!わたしもとても楽しかった!まだまだ本気はあんなもんじゃないわよ?」
「えっ!?本気出してたんじゃなかったんですか!?」
「あなたもでしょう?おあいこよ。」
「いや、私は・・・」
「そんな謙遜しなくていいの。あんな大規模魔法使って倒れないってことはまだまだ余裕があったんでしょ?普通の人だったら限界を超えてオード病になってるわ。それにしても底が知れない子ね・・・末恐ろしいわ・・・」
「はぁ・・・」
確かにまだまだ魔素量に余裕はあったけど、なんというか決め手となる必殺技はなかった。
自分の戦いのスタイルもあまりよく決まってないし・・・
本気で戦っていたし、余裕もなかった。
あのまま戦っていたら、間違いなく負けていたのは私の方だった。
「コホン。話が逸れたわね。シャルル・トルクール。あなたの入学を正式に認可します。おめでとう。」
「はい!ありがとうございます。」
「ついてはこれから始まる入学式に参加してもらいます。これから5年間、自己の研鑽にに励むもよし、友を作るもよしです。有意義な5年を過ごしてください。」
「はい。」
「入学式は大講堂で行います。レオンさんとアイリスさんを連れてそちらへ向かってください。」
「わかりました。」
「それではお行きなさい。」
私はレオンとアイリスのいる医務室へ向かった。
扉を開けるとアイリスが抱き着いてきた。
「ルル~!!」
「わっ!どうしたのアイリス?」
「私を治してくれたんでしょう?」
「うん。」
「お礼が言いたかったの!いつもありがとう。ルル。」
「いや、いいのに。当然でしょ?友達なんだから。」
「やっぱ、ルルはすごいよ!私が倒れた後、学長と戦ったんだって?聞いたよ。なんかね、ルルがいれば不可能はない!みたいな気持ちなの。最近。」
「そうなの?私にもできないことはあるよ?」
「でもね、なんかルルがいてくれるだけで心強いんだ。私、とても嬉しいの。今こうして、この3人でいれることが。私たちずっと友達だよ!」
「うん!私もアイリスにいっぱい感謝してるんだから!いつもありがとう!」
「ほら!レオンもなんかルルにいうことあるでしょ。」
「うっせえ。友情ごっこなんかしてられっか。シャルルのせいでな、俺は男としてのプライドがズタボロだ!」
「そんな言い方無いでしょう。いつも私たちを助けてくれたのはルルじゃない!お礼の一つも言えないの?」
「だからだ!見てろよ、シャルル!絶対この5年間でお前を超えて見せる!!」
「はいはい。わかった、わかった。あ、そうそう、これから入学式があるから2人も大講堂ってところに集まれだってさ。」
「じゃあ、一緒に行こう!ルル!レオン!」
「俺は後で行くから先いってろ。」
「また拗ねて・・・もう知らない!ルル行こう!」
「うん!ちゃんと出席してよね。レオン。」
「うっせーな。わかったよ。さっさと行け。」
私はアイリスと大講堂に向かった。
大講堂は人であふれていた。
うわ、すごい人。毎年こんなに入学するもんなんだろうか。
私とアイリスが入ると扉の開いた音につられて多くの人の目線が私たちに集中する。
「おい、あの・・・」
「そうだぜ、たぶんな・・・」
「やっぱり・・・」
なんか私たちについて話している気がする。
視線も妙に集まってるような・・・
すると、突然大講堂の扉が閉められ、明かりが消えた。
バッとステージを照明が照らす。
「これから入学式を執り行います。学長、よろしくお願いします。」
「私は学長のセルトだ。よろしく頼む。さて、まずは特待生の紹介といこう。まず初めに、バーティミアス家次期当主、ベルク・バーティミアス。第二にトルクール家長女、シャルル・トルクール。第三にシュトラスマン家次期当主、ダルタ・シュトラスマン。最後に、キラ・ジョーカー。以上だ。
これからこの者たちを4つのクラスに一人ずつ入れる。各クラス、力はほぼ平等になるように作っておいた。寮生活になるというのは知っているだろうが、クラス内の同性の者と一緒の部屋になると思っていてくれ。ただし、授業は別だ。特待生を除く他の新入生にはテストを受けてもらい、実力が同じくらいの者と一緒に授業を受けてもらう。教官も実力に合わせて授業をする。といった感じだ。寮での生活や、授業内容などはその担当の教官に聞いてくれ。私からの話は以上だ。これからの5年間一緒に学ぶ者たちだ。仲良く有意義に生活してくれたまえ。健闘を祈る。」
あれ!?レオンとアイリスは特待生じゃないの!?
しかも特待生って4人しかいないの!?
女1人とかじゃないよね・・・
アイリスと同じクラスじゃなかったらどうしよう・・・
あぁーもう不安しかない・・・
「それではみなさんクラスは校門に貼り付けてあります。それを見る際、近くにある受付から、寮の案内、特待生以外の方はテストの場所と日時が書いた紙をもらってください。以上で入学式を閉式いたします。解散!」
「アイリス、どうする?」
「ルルと同じクラスがいいな・・・とりあえず校門までいこっか。」
「アイリスは特待生じゃないの知ってたの?」
「ううん。知らなかった・・・だけど同時にね私じゃ無理だなってのも思ったの。私はまだ何も誇れるものがない。最底辺の授業クラスからスタートになると思う。でも待っててね。ルル。私きっとルルに背中を任せてもらえるくらい強くなるから!さぁ!行きましょう!」
私たちは校門へと向かった。




