22 入学試験
3人で門をくぐり門番の人に事情を説明すると学長室に通された。
「失礼します。」
「どうぞ。」
入ると学長は後ろを向いていた。
パイプ椅子?みたいなのをぐるりと回転させ私たちに顔を見せる。
学長はドミノマスクをしていた。
不思議な雰囲気だ。
「ようこそ。アブドラギルドスクールへ!私は学長のク・・・・セルトです。よろしく。」
「私はシャルル・トルクールです。父がお世話になったようで・・・」
「あのバートの・・・しっかりしてらっしゃるわね。大変だったわね。シャルルね?気を落とさないようにするのよ。」
「はい・・・」
「そこのお二人は?」
「「ひゃい!」」
めっちゃ緊張してるし・・・声裏返ってますよお二人さん。
「わ、私はアイリスです。よろしくお願いします。」
「お、俺はレオンです。よろしくお願いします。」
「アイリスとレオンね。これからよろしくね。さて、自己紹介も終わったところで、突然だけど入学試験をするわよ。」
えっ?試験?
「試験の内容は単純明快よ。これから中庭に向かいます。あなたたち3人で私にかかってきて。私が書いた円の外側に私が出たら私の負け。あなたたち3人が全員気絶したら私の勝ち。どう?簡単でしょ?」
いきなり学長と対決!?
どうなってんの!?この学校!
負けたら入れないとかじゃないよね?
これは3人で作戦を立てなきゃ勝てない。
学長は超がつく強さだってのはなんとなく分かるし・・・
「セルト学長!あの少しだけ時間を頂けませんか?作戦をたてさせてください!」
「あら作戦を立てるの?んーまぁいいわ。中庭に置かれている砂時計が落ちるまでね。それまでじっくり考えてちょうだい。先に中庭に行っているわ。終わったら来てちょうだいね。」
そう言うと学長は窓から飛び降りた。
えっ・・・ここ5階じゃ…
学長は平然と立っていた。
どんな魔法使ってんの!?
みるとレオンもアイリスもすげー、わー、とか言ってるし
私だけでも雰囲気に飲み込まれないようにしなきゃ。
「レオン!アイリス!作戦を立てるよ!!」
砂時計はたぶんあと4、5分くらいだと思う。
それまでに作戦をたてないと!
「アイリスはどういう魔法が使えるんだったっけ?」
「私は・・・少しなら光魔法が使えるよ。」
光魔法か・・・
それから私たちは作戦を立て、中庭に降り立った。
「あら?意外と早かったわね。作戦の方は決まったのね?」
3人はこくんと頷く。
「わかったわ。では試験を始めましょう。」
学長は花に水をあげていたが、指で空に円を描くと、地面にその円が浮かび上がった。これが、試験の円かな??半径2メートルくらい?
「さあ、あなたたちの力を存分に見せてちょうだい!この金貨が地面に着いたらスタートよ!」
学長は金貨を弾いた。
宙に金貨が舞う。
私とレオンは戦闘態勢に入り、私は闇剣、レオンは剣に炎を纏わせる炎剣を出現させる。
チャリーン!
私とレオンは学長に斬りかかった。
「「せあぁぁぁぁぁぁぁ!」」
しかし学長は片手で私とレオンの剣をそれぞれ受け止める。
なんで!?私の剣は実体を斬る剣なのに!?
なんで斬れないの!?
よく見てみると学長の手は光っている。
つまり魔法の属性による打ち消しだ。
それぞれ相性の悪い属性同士をぶつけると威力が相殺されるといった具合だ。レオンの方をみると、レオンも同じらしい。手のひらが青く光っている。
私たちは止められた。
だけど・・・・!本当の狙いは・・・・
私たちのすぐ後ろ。
アイリスが光魔法を纏い掌打をする。
私とレオンの剣がたとえ受け止められても、両手がふさがったこの状態なら!
倒すんじゃない!押し出せばいいだけ!
「なかなか考えたわね。でも惜しいわ。もっともっと私を楽しませてちょうだい!」
学長は足でアイリスの腕を当たる寸前で蹴り上げる。
そのまま一回転し、私とアイリスは背中から地面に叩きつけられる。
私とレオンは痛みに耐えながら距離を取り、体制を整える。
アイリスは骨が折れたのだろうか、涙を浮かべながら、痛みを我慢して立ち上がる。
やっぱすごい!こんな人がいるなんて!!
作戦2に変更!!
レオンが上段斬りを放つ。
学長はいとも簡単によける。
間髪入れずに私が学長の胴に向かって水平切り。
学長は片手で受け止め、もう一方の手で躱されて反動が残るレオンの腹に掌打。
「ぐはっ!」
レオンはダウンした。
え!レオン!?やばい!!このまま作戦通りにいったら・・・
案の定、アイリスは大規模魔法の詠唱をしていた。
丸見えだ!!
時間稼ぎができない!
学長は片手で私の剣を抑えたまま、もう片方の手で魔法を放った。
すごく速い雷の球だ。アイリスの方へ向かっていく。
「汝を求め、汝を我が物に、」
「アイリス!!!!」
「せしめ・・・えっ?わあぁぁぁぁ!!!」
バーン!!
アイリスに当たった。
どうやら気絶してしまったようだ。
「さあて、退屈な時間は終わりね。シャルルと私、どちらが強いか、始めましょうか。第二ラウンドを。」
「えっ!?それはどういう・・・」
「なあに?気づいてないとでも思ったの?あなた力を隠してるでしょう?その体の内に秘めた力・・・そそるわね・・・」
学長は舌で下唇を舐め、恍惚とした表情で私を見る。
この人・・・狂ってる・・・
ちなみにずっと学長の手につかまれた剣を引き抜こうとしているのだが、びくともしない。
「あぁ・・・心配しないで。そこの二人は後で治すわ。この円はもういいわよね。さあ決闘よ。何でもありでいくわ。あなたの力を見せて!」
「えっ・・・その・・・」
「さあ距離をとって。そこでもう一度金貨を投げるわ。それでスタートね。」
「いや・・・あの・・・」
「あぁ・・・本気を出すのはいつぶりかしら・・・楽しみだわ。フフフ・・・」
ヤバい・・・完全に学長のペースに飲まれてしまった。
何とか立て直そうと一回深呼吸。
スー・・・ハー・・・
よし!いくぞ!
『トト!』
『ん・・・どーした?』
『あなたはサポートをお願い!』
『サポート?あぁ、決闘か・・・いいぜ。久しぶりにやってやろうじゃねえか。』
『そういえば、その対戦相手が見せてくれたんだけど、体に属性のある魔素を纏ってガードできるの?』
『できるぜ。魔素鎧ってやつだ。相手の属性を考慮して、先に打たれそうなところに体の魔素を集中させ、属性を付与するってやつだ。お前ならどの属性にも対応できるぞ。なんたって俺の魔法創造ってスキルを受け継いだんだからな。』
『わかったわ。』
少し自慢が入るのは相変わらずウザったらしいけど、戦闘状態の時だけは頼りになる。私は二人には隠れて、トトが考えて私が体を操るという訓練はしてきた。
今こそ練習の成果を見せるとき!!
こうして第二ラウンドが始まった。




