19 探検の代償
森の入り口までは簡単に行くことが出来た。
ウェルボルが取り計らってくれたのか、魔獣も一体も出てこなかった。
外は夜だった。
速く村に戻らないと!
三人は急いで村に戻った。
だが、帰り道で盗賊に出会った。
「おい、そこの子供三人。金目の物は置きな。命だけは助けてやらぁ。」
そんなことを言っていたが、私は特に気にも留めず、三人の服だけ切った。
盗賊はすぐ逃げていった。
進むとまた盗賊がいた。
同じことをしてやった。
すぐに盗賊は逃げていった。
おかしい。
こんなに盗賊が連携をとっていることがあるだろうか。
いままで村に盗賊が押し寄せたことなんかほとんどなかったのに・・・
何か村で起きているんじゃ・・・
村が見えた!
村は跡形もなくなっていた。
トルクール家が領地としているところがクレーターになっていた。
なんで!?なんで村がないの!?
転移魔法!?でも転移は禁忌のはず・・・
じゃあ村は・・・
クレーターに近づく。
まだ熱い。
大規模魔法を行使した跡がある。
まだあまり時間が経っていないはず・・・
母さん・・・父さん・・・
アイリスもレオンも立ち尽くしている。
何が起きているのかわからないといった様子だ。
「シャルル様!!」
私の名前が呼ばれたので、後ろを振り返ってみるとユースだった。
「ユース!無事だったのね!!」
「はい・・・」
「どうしたの!?なにがあったのか話してくれるわよね?」
それからレオンとアイリスを呼んでユースの話を聞いた。
ーーーーーー
お嬢様方がいなくなったのを最初に気付いたのはナノア様でした。
ナノア様は私に護衛の任を命じ、お嬢様の後を私は追うことになりました。
お嬢様の誕生日を祝いに来てくれた人はトルクール家に泊め、一晩を過ごしました。
それから私は、帰らずの森にお嬢様たちが入ったのを見て、追いかけようとしましたが、お嬢様たちが入った直後、森に強力な結界が張られ、入ることが出来ませんでした。
それをアルバート様とナノア様に話したところ、結界が解け次第すぐに入ることが出来るように、とのことで、入り口のそばで野営をしていました。
すると、村の方から火の手が上がったので行っていればひどい有様。
つい最近まで一緒に笑っていた騎士や食べ物を恵んでくれた果物屋の死体がすぐそこに・・・
敵が入り込んだのだろうと即座に判断しトルクール家に急ぎました。
しかし、見せられたのは、トルクール家も炎が燃え盛り、原形をとどめることが出来ず崩壊していくさまでした。
私は絶望しました。もう少し駆けつけるのが速かったら・・・と。
絶望に打ちひしがれながら、村を歩いても、視界に入るのは無残な死体、崩壊していく家々。こんなことになってはアルバート様やナノア様も・・・
、と思いましたが、二人は生きておいででした。
村からなるべく遠いところで黒装束を着た無数の人を相手にしておりました。 多勢に無勢で押され始めていたので、私が援護に入りました。
そこに子供が歩いてきたのです。
私が保護しようとしたところ、アルバート様が
「触るな!」
、と怒鳴られたのです。すると、その子供が、
「フッフフフフフフッフ。ハハハハハハハハハ!あ~あ。せっかくもう一人仕留められそうだったのに~。君たちが子供を渡さないからだよ~?」
「誰がお前なんかに子供を渡すものか!!!」
ナノア様とその子供は言い争っていました。
「ユース、家の裏に避難出来なかった人がまだいるわ。一緒に逃げて!」
「ですが、」
「いいから行って!」
ナノア様は凄い剣幕でした・・・
「まぁ逃げるチャンスは平等に無いとね~。あと少しくらいなら待ってもいいかな~。まっ、この村は後々ふっ飛ばすけどね~。」
「そんなことさせるか!」
「だって君たちは平等に与えた選択肢を選ばなかったんだよ~。これは当たり前の結果だよね~。」
「知るか!そんなものは平等とは言わない!単なる考えの押し付けだ!!」
「へぇ~。そんなこと言うんだ~。じゃあ、もうちょっとパワーアップさせちゃおうかな~。」
その瞬間、黒装束は途端に速くなりました。
斬撃の威力も増したのです。
「ユース!なんでまだそこにいるの!?そこで突っ立てないで速く行って!あなたも巻き込まれる!」
「ですが!」
「あと、シャルルに伝言をお願いするわ。『強く生きて、あなたには私がいる』って。頼むわよ。
アルバート!こっちもパワーをあげるわよ!出し惜しみなんかしてる場合じゃないわ!」
「うむ、わかった!」
「あとは 頼むわ。」
「ははっ!お任せを!このユース命を賭して命を守りまする。」
そういって私はすぐ家の後ろの小屋にたどり着きました。
火の手はすぐそばまで迫っていたのですが、何とか全員近くの別の村まで退避させました。
その直後のことでした。
ものすごい太い巨大な炎の柱が村を囲うように立ち上がったのは・・・
それからは私は村の跡地へ赴き調査を開始したのです。
あとは今の通りでございます・・・
ーーーーーーーーーーーーー
そんなことが・・・
「じゃあ、父様と母様は・・・」
「はい、見てはいませんが、あの渦の中心ともなると・・・」
私は自然に涙があふれ頬を伝っていた。
なんだろう・・・親を亡くすってこういう感じなのかな・・・
なんかこう・・・言い表せないけど・・・
レオンもアイリスも泣いていた。
「とりあえず、私はここの調査を行います。お嬢様方もどうか隣村でお休みください。」
私たち三人は無言で隣村までの道のりを歩いた。
「くそっ!また俺は家族を・・・何で何もできないんだ・・・」
「私は・・・なんで・・・」
私とレオンは人知れず隣村まで涙を流しながら歩いたのだった。
隣村に着いた。
孤児院のおばさんが温かいスープをくれた。
アイリスは孤児院の子供たちの方へいったらしい。
私とレオンは毛皮の毛布にくるまりながら今後の話をした。
「ねぇ、レオン、私たちどうしようか・・・」
「どうするつったってなぁ・・・家もないし、いつまでも隣村に身を寄せるわけにもいかねぇし・・・」
「じゃあ私の意見を言ってもいい?」
「あぁ。どうしたいんだ?シャルルは。」
「私はね。これから冒険者になろうと思うの。後々ユースに言ってみるわ。」
「そっか、冒険者か・・・俺もそうしようかな・・・」
「あなたはあなたの道を進みなさい。冒険者になりたいんだったら少しくらいは支給が出ると思うわ。」
「わかった。考えておく。」
「私は寝るわ。おやすみ。」
「あぁ、おやすみ。」
シャルルはテントに入る。
その夜、泣いた後、シャルルは深い眠りについた。
これで二章を終わります。
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