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朝
俺は、
普通の会社員だ。
良くも悪くもなく、
毎日を平和に過ごしてる。
給料を、
頂いて、
生活してる。
大学は一応卒業したけど
それといった特技も
目立った印象もなく
就活という、
人生の岐路に
たまたま乗れただけの凡人。
『お名前、教えて、下さい』
凛の口から発せられた言葉。
少し戸惑いながら答える。
『拓也』
『平凡だろ?』
そう言って空笑いすると、凛は真っ直ぐな瞳で優しく微笑む。
『たくや』
俺は
何だかわからない感情に、
ただただ
戸惑っていた。
こんな感情は経験したことがない。
凛は、
『おごちそうさまです』
そう言ってキッチンに立つ。
俺はその姿を
ただ
眺めていた。