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美味しそう
昨日の少年とは全く違う。
穏やかな表情の少年。
『大丈夫?』
とりあえずその言葉しか出てこなかった。
『あ、ごめんなさい。
昨日、僕かなり、酔ってて・・・
迷惑、かけましたよね・・・』
『いや、すぐ寝たから迷惑はかかっていないけど』
そう言うと少年は意外そうな顔をして、黙った。
『お腹すいた!』
重い空気に耐えきれず発した言葉と共に俺はソファに腰かけて背伸びをした。
『なんか美味しそうな匂いする』
そう言うと少年は瞳を輝かせた。
『冷蔵庫の物勝手に使ってごめんなさい。』
『構わないよ。なんか食べ物あった?』
そんな、
言葉を組み合わせて
俺と少年は
少しづつ
距離を縮めていったんだ。