Fairymessenger 〜光と闇の共存
主な登場人物紹介
神宮つかさ
光州学園中等部2年。砕けた性格。学園では1位2位を争うほどのモテ女。優等生。光神fairymessenger.
浅海龍治
光州学院中等部2年。マイペースで学園の落ちこぼれ。しかし、クラスのムードメーカー的存在。小海fairymessenger.
楓嵐琉璃
光州学院中等部2年。つかさとは幼稚園の時からの幼馴染。のんびりまったりとしている。つかさの唯一の理解者
秋藍
妖精。つかさのFairy。
小海
妖精。龍治のFairy。
目次
1、 プロローグ
2、 出逢い
3、 夢見たこと
4、 闇黒
5、 光と闇
6、 共存
7、 エピローグ
プロローグ
光輝く空の下、真っ暗な部屋にほんのりとさしこむ光
「綺麗・・・」
思わず声を出して言ってしまった。もちろん聞こえないように。
今は授業中。暗幕を引いてビデオ鑑賞。でも、興味無いから内容に睡魔がやってくる。
それよりも、光のはしごの周りで光っているものの方が綺麗だった。理屈では、埃が光に当たって光っているように見えるだけだが、理屈で考えたくなかった。それに、どこも平等に暗いのにそこだけ闇黒がふわふわと浮いていることにも興味をそそられた。
周り人はほぼ寝ている。自分も寝そうになったが必死に我慢し、また光のほうに見惚れていた。
すると、忽然と周りの物音全てが聞こえなくなった。
出逢い
私は、闇黒の中に浮いていた。そして、本能的にある一定方向へと向かってる。
どこに向かっているのだろう。
そんなこともまったく分からず、突き進んでいると小さな光が見えた。光の中には小人。でもそれは人ではない。背中に羽がはえているし、精霊のような服。
そして、周りの音が戻ってくる。
前より鮮明に見える黒いもの。さっきの精霊のような者だ。しかし、服が違う。さっきは、白い服を身にまとっていたのに対し、目の前にいるのは黒い服だ。
「これでビデオは終わる。解散」
その合図で一斉に外に出る生徒たち。もちろん黙って。
教室に入っても、私はずっと考えていた。自分は、前から霊力とかはあったけど、あれは霊じゃない。直感だけど。だとしたら、なんだろう?あれは
「つかさ?大丈夫?」
振り向くと、琉璃がいた。
「え・・・?あ、うん。大丈夫。それより、さっきなんか見えなかった?」
「また?何も見えなかったけど」
「そっか・・・」
「今度は何?」
「妖精」
「よ・・・妖精?」
その時、あの何も聞こえなくなる現象が起き、つかさは机に突っ伏した。
「つかさ?」
琉璃はつかさを揺すった。起きない。でも、先生は呼ばなかった。
私は、またここに来た。
目の前にいるのは、あの光る妖精。
「Fairymessengerよ。我を受け入れるか?」
突然つきつけられた言葉。
『Fairymessenger』
『受け入れる』
よく意味がわからない。
「どういうこと?」
「汝、我を受け入れるか?」
その瞬間、映像が頭の中で駆け巡る。暗闇の中に光る者。激しい闘い。
これが私の運命?本能的にそう思った。
「もう一度訊く。我を受け入れるか?」
「我、汝受け入れたし」
妖精の顔が初めて笑顔になった。
「我が名は秋藍。汝の名は?」
「・・・神宮つかさ」
「戦いが始まる・・・過酷な戦いが・・・」
そこで、私の意識は現実世界へと・・・
つかさと秋藍との出逢いは、これからの過酷な戦いの幕開けだった
夢見たこと
私は 闇黒の中にいた
周りを見渡せど
全てが闇―
私は その場所で光っていた。
目の前に現れる黒い影
影が次第に薄くなり、顔が見えてくる
その人物は…あいつだった
「今のは・・・夢?」
飛び起きて周りを見渡す。
どう見ても明るいし、自分の部屋だ
「良かった・・・。夢だ・・・」
「どうかしたか。」
棚の上に座ってこちらを見下ろしながら言う
「夢を・・・見た。闇黒だった。光なんてどこにも無くて。その中に・・・」
「闇黒だと?その中に誰かいたのか?Fairymessengerか?」
表情が険しくなる
「あいつが?Fairymessenger。そんな事・・・ないはず」
「だから、あいつとは誰だ。」
「浅海・・・浅海龍治」
「やはりな」
「やはりって?」
「あいつは、闇のMessengerだ。前々から感じてはいた」
「闇・・・?」
「そうだ。その夢はおそらく予知夢。そして、その闇を創り出した人間はその、浅海龍治だ」
龍治がMessenger・・・
闇のFairyをつかさどる者。
「そんな事あるはずがない。浅海が闇のMessengerだって?馬鹿みたいだけど・・・いつも面白い浅海が?」
「裏には大量の闇が渦巻き、表の顔で隠しているはずだ。いつも苦しんでいるのだのう・・・」
「そんな・・・」
「闇の人間は、必ず反乱を起こす」
「浅海・・・」
闇黒
もう、何日も夜のままだ。
まったく朝が来ない。
朝・夜で区切るより、世界中が闇黒に包まれているといったほうが良い
人間も消えた。
ただ、私には原因がわかっていた。
浅海の仕業だ。
浅海が反乱を起こしたのだ。
私はそれを止めなくてはならない。
この命に代えても、やらなければいけない事だ。
「決心はついたか?」
秋藍が問う
「決心が着いたわけじゃ無い。しかし、これがうちの宿命なら、喜んで受け入れようと思う。行こう。浅海を止めに」
外に出ると、そこに地面があるのか、疑いたくなるような闇だった。
「浅海!いるんでしょ?出てきて!他の人たちどこにやったの!?」
「フッ。やっぱり分かっていたのか」
いつもの・・・浅海じゃなかった。
「浅海・・・。信じたくなかったのに。」
「お人好しだな。俺の事を信じる?ほお。そりゃ、嬉しい限りだ」
薄笑いを浮かべている龍治は…正直、不気味だった
「お人好し・・・そう思うのも無理ない。けど、うちは浅海とこの世界を救いに来た。」
「救えるもんか。俺の存在が闇、俺自身が闇になった今となってはな」
「やってみなくちゃ分からないだろ?本気でかかって来な!」
光と闇
激しい激闘が繰り広げられる。
あの時と同じだ。
秋藍と出会った時のあの光景
いつか・・・いつかこの日が来るって分かっていた。
でも、信じたくなかった。
今、私が戦っている相手は浅海なんだってことを。
いつも明るく元気なお調子者の浅海と戦っていることを。
Messengerの運命を背負ってしまったために、こんな辛い闘いをしなくてはいけなくなってしまった・・・。
「浅海!いい加減止めろ!」
龍治は無言のまま、ただ淡々と攻撃を仕掛け、私の攻撃を受けていた。
闘いは妖精の仕事。妖精はMessengerの力を吸い取り戦う
Messengerは妖精以上に負担がかかる。
これ以上続けたら・・・。
うちももたないし、なによりこの闇をつくったうえの闘い・・・。
浅海は限界を超えているはずなのに。
闇を鮮やかに照らす光。
「浅海。なんだってこんな事したの?」
「言っただろ?俺自身が闇。光の裏側。目立たない。学校でもそうだった。落ちこぼれの俺は、すごい奴等を引き立てているだけ。それはもう嫌なんだ!」
自棄になり始めている。
このままでは、命が持たない。
「浅海!その自棄の心が破滅を生むのが分からないの!?」
「こんな世界なくたって良い。俺を受け入れない世界なんか。誰かを受け入れようともしない世界なんかな!!!」
「馬鹿!」
私は、思いっきり浅海の顔を打ん殴った。
「クッ…」
痛さにしゃがみ込んだ浅海を、仁王立ちで見下ろす。
「誰とでも気が合う訳が無いだろ。浅海は、先公と気が合わないから、先公にも学園にも嫌われている。だからって、お前はたかが学園ごときに認めてもらいたいのか?認めてもらえば、それで満足なのか?学園にそんなに縛られていたいのか?私はごめんだね。学園のしきたりなんて知ったっこっちゃ無い!そんなもん、いちいち気にして生きていけるわけねぇだろ!?」
思いっきり自分の言い分をぶちまける。普段ではありえない程の暴言
「少なくとも、私は浅海を受け入れる。浅海を信じていられる。例え浅海が人間を消し、こんな世界にした張本人だとしても!」
「神宮…」
私は、そこで浅海の近くに行きしゃがんだ。
「私だけだったら不満足?浅海は、世界中の人間に認めて欲しいの?私は、自分の価値は自分で決める。私を認めてくれる人が1人でもいるだけで充分だって思うから」
「この世界中の人に認めてもらいたい訳じゃない。俺を、心から信じてくれる奴が、1人でもいればそれで・・・良い。サンキュウ。やっと目がさめたよ」
共存
段々、小海の力が弱まり、浅海も落ちついている。
「光があるから闇がある。闇があるから光がある。光と闇は、お互い支えあって生きていくべきなんだ。」
「支えあって、か」
「そう。闇が光の裏側なんじゃない。光の裏側が闇、闇の裏側が光。そんな事、普通の論理だろ?闇がなければ光なんて何の意味もない。光がなければ闇なんて何の意味もないんだ。」
「俺は、勘違いしていたようだな。」
闇の切れ間に光が見え出す。
「自分は1人なんだって思ったら、人間そこで終わり。周りを見れば自分のことを信じてくれる人は必ずいるから・・・光と闇は均衡を保ちながら、共存していくべきだと思うんだ」
「共存か…」
フッと微笑み、私はそこで力尽きてしまった。
身体に力がまったく入らない。
闘いがこちらが有利だったと言う事は、つかさの方が負担が大きいと言う事
「神宮!」
龍治が駆け寄る。
そしてこう言った。
「俺は、お前と一緒に生きる。俺の過去を全て受け入れてくれるのは神宮だけだから」
エピローグ
ジリジリジリジリ
「ん〜」
目覚まし時計の音で目を覚ます。
今までは学園に行くのが憂鬱だった。
でも、今日からは違う。
急いで服を着替え、腰まである長い髪の毛を2つにくくり、ご飯を素早く食べ、玄関から飛び出す。
「行ってきまぁす!」
目の前には浅海。その肩には小海。
もちろん、私の肩にも秋藍。
「神宮、おはよう」
「おはよう!浅海」
私達カップルは、ある意味で学園中の注目の的だ。
優等生と落ちこぼれのカップル。
学園で1位2位を争うモテ女優等生を仕留めた落ちこぼれ。
でも、どんなに騒がれても、私達は気にしなかった。
だって、
光と闇の共存―
それこそが 理想の世界―
そう、信じているから
浅海は、男子生徒の嫉妬の念を肌で感じる事になったが、そんな事マイペースで自分中心の浅海は気にしない。
私も、浅海と付き合い始めた事で少しばかり周りの目が冷たくなった。
私も気にしない。自分の事を信じてくれる人が1人でもいれば、生きていける
「つかさ!あんたも、すごい人捕まえたね」
「捕まえたって…浅海は虫じゃないのにね」
浅海の方を向き、困ったように笑う
「ま、そう言う事になるかもしれないけどな」
そう、私には琉璃と言う親友がいる。
そして、浅海龍治と言う恋人がいる。
それだけで充分だ。
それ以上も、それ以下も望まない。
今のまま、ずっと2人と幸せに生きていければいい。
ただ、それだけを私は望む。
「どうした?行かないのか?次、移動だぞ」
考えに耽っていた私は、現実へ引き戻された。
浅海は目の前に、すでに琉璃は向こうにいて、手を振っている
「ちょっと待って!すぐに行く」
そして、私は浅海と共に、スタート地点に立った
光と闇の共存を求めて―
これからもずっと、この2人と一緒に
字違いとか文法が違うことがあると思いますが・・・許してください。まだまだ未熟なのですいません。勉強に励みます!!