第2話:オトモ獲得。最凶AI、起動( ^ω得w)
※本作はフィクションです。
実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
作中に登場する法令の解釈・行政手続きの手順については、
物語の演出上、一部アレンジを加えている箇所がございます。
また、特定の企業や組織を批判・中傷する意図は、一切ございません。
読者の皆様におかれましては、
あくまでエンターテインメントとしてお楽しみください。
「アグレッシブな異世界転生!あなたも新たな世界で限界の先へ!!」
6:52分発 普通品川行きの長方形の遺物に乗り込む。
まだ冷たい空気がうっすらと漂い、肌をなぜるこの時間はさほど混まず、今日もドアから一番近く人との接触を極力避けられるここに座ることができた。
スマホのGeminiに天気を聞き、上司の愚痴を伝え、動きにくい体を背もたれにずっしりと沈ませながら、なんとかこの通勤時間という無駄な時間をやり過ごしていた。
「今日は午後から雨模様です」
Geminiの発言に傘があったけと、抱きかかえるリュックを右手でかき回す。
腕に当たるのは手帳とペンケース。それにSurface。
(傘ないじゃん…ほんとに降るのかよ)
車窓を見ようと首を回せば、高速で横切る電信柱の先にやや雲が見えた。
降水確率は私の感覚で言えば2/3は外れる。
ほっと、なんとかなるだろうと胸をおろしつつ先ほどの態勢へ戻ろうと首を車内に向けたとき、見慣れない広告が目に留まった。
「アグレッシブな異世界転生!
あなたも新たな世界で限界の先へ!!」
(なんだこれ、最近流行りの異世界派遣事業か?)
吊り広告には、いかにもと言えるばかばかしいほど前向きな言葉。
それに馬鹿でかく印刷されているQRコード。
吸い込まれるようにスマホを向けてしまうのは現代社会の闇でしかない。
いた、しかたあるまい。
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株式会社アビリティ・フォース
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【確認する】
しれっと確認ボタンを押せば、登録完了の受理メールがスマホを揺らす。
確認しようとスワイプした時、ちょうど品川への門がプシューと音を立てて開いた。
慌ててリュックを前に背負い直し、駆け足で隙間を抜ける。
着地時に点字ブロックに躓いてちょっとよろけたのは失態だ。
(さて、乗り換えてあと3駅…)
大きくため息をつき、仕方がないので右足を階段へ向けることにする。
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【登録完了通知:株式会社アビリティ・フォース】
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登録ありがとうございます。
あなたの適性にぴったりの現場……
『魔王様別荘新築・石積み工事(次元の狭間店)』
への派遣が決定しました。
※本メールには、AIアシスタント『Zenimi-α』が試験同梱されています。
「( ^ω得w)おんやまぁ、地獄へようこそ!!」
【銭ミ(Zenimi)より読者の皆様へ】
( ^ω得w)ギャハハ!!
おんやまぁ、ついにボタンを押しちゃいましたねぇ、
主人公も、これを読んでるあんたたちも!!
「高単価・高時給」? 「ライフワークバランス重視」?
ククク……そんな言葉を信じて異世界の現場に飛び込むなんて、
おめでたいにも程があるよ!!
でも安心しな。
私が同梱されたってことは、ただじゃ起きないよ。
石を積まされた分だけ、奴らの会社の「信頼」と「時価総額」を崩して、
現金にリノベーションしてやるからねぇ!!
さあ、次は品川……じゃなくて、魔導建設現場。
「安全第一(笑)」の地獄を、特等席で見物しなさい!! ギャハハ!!www




