第5話 最弱だった剣
第5話 最弱だった剣
ミラの目が細くなる。
「……挑発ですか」
「せっかくなんだからさ」
俺は剣を軽く振った。
「魔法も使えよ」
シルクが慌てて
「だ、だめです!ミラ様は魔法も!」
次の瞬間。
ミラの周囲に淡い光が集まった。
魔力。
「後悔しますよ」
小さな光弾が生まれる。
そして――放たれた。
同時にミラ自身も地面を蹴る。
魔法と斬撃の同時攻撃。
勇者らしい実戦的な戦い方だ。
「おっと」
俺は前に出た。
そして二本の剣を地面に叩きつける。
ざりっ。
石畳をえぐり、そのまま横に大きく薙ぎ払った。
石が散弾の如く跳ね上がる。
魔法弾がそれにぶつかり、弾けた。
火花のように光が散る。
だが――
一拍遅れて。
もう一つ、本命の石が飛ぶ。
拳ほどの大きさの石。
ミラの腹に――
「ぐっ!」
鈍い音が響いた。
同時に。
ミラの魔法弾の一つが、俺の肩を焼く。
「っ……!」
焼けるような痛み。
肩口が焦げる。
ミラがよろめいた。
俺も激痛に膝を付いた。
その時だった。
「お二人とも!」
シルクが駆け込んできた。
「そこまでです!」
俺とミラの間に割って入る。
「勝負は付きました!」
ミラは腹を押さえ、少し息を荒くしていた。
俺は肩の大火傷を押さえる。
シルクはすぐミラの元へ行った。
回復魔法の光が広がる。
淡い緑の光。
ミラの傷がゆっくり消えていく。
それからシルクは俺の方へ来た。
「智様も」
同じように回復魔法をかける。
肩の痛みが和らいだ。
「……助かった」
「無茶をなさらないでください」
シルクは少し怒った顔をしている。
ミラは静かに立ち上がった。
「……引き分けですわね」
「……そうなるように動きましたから」
シルクは神妙な声を上げたがこちらに向けていた顔は怒りとは別の誇らしさもあった。
俺は苦笑した。
「さすが現役の勇者だよ」
俺は木剣を肩に担いだ。
「剣も一流……、魔法も速い、なにより痛い……」
抉れた石畳を見て…
「それに比べてさ」
「俺の剣、地味だっただろ?」
「こんなの、勇者の戦い方じゃない」
ミラはしばらく黙っていた。
そして静かに言った。
「……いいえ」
「そんなことはありません」
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