「血と高貴の余響」
ソフィアは、総司令官アレフ・ダグラスの指揮下にある800騎の騎士と200名の魔法使いに護衛されてドレヴィルに到着した。鎧の轟音が小さな領地の地盤を震わせる。顔を青ざめた村人が駆け寄り、バロン・アリッツに状況を伝えた。
アリッツは子供たちの手を握り、震えを隠すのが精一杯だった。
「もし私が死んだら――王家に連絡を頼む」声はかすれていた。
「父さん、どうしたの?なぜ街の外にこんな大軍が?」長男のイケルが尋ねる。
アリッツは視線をそらし、恥ずかしそうに答えた。
「訪問者の青年が昨夜、村の外を散歩して戻らなかった。護衛をつける必要はないと思っていた…あれは失敗だった。彼のせいで兵士を動員する羽目になった」
アンドレアは涙をこぼす。
「愛してるわ、パパ…今までありがとう」
イケルは父を強く抱きしめる。
「あなたを偉大な男として忘れない」
妻マルガリータも涙をこらえ、父を見つめる。
「良き夫でした。何があっても、あなたを愛しています」
アリッツは汗で背中がびっしょりになるのを感じながら、ソフィアが待つ場所へ向かう。単なる見落としが悪夢に変わるとは、理解できなかった。
ソフィア公爵は、自らの騎獣サンダーに跨り、表情を硬くして近づいてきた。
「我が子はどこにいる!」怒りの声が空気を凍らせる。
アリッツはぎこちなく頭を下げる。
「近くの村に散歩に出かけたと言っておりました、閣下」
「すぐにそこへ連れて行け!」彼女は命じた。
十五分後、村に到着すると、地元の騎士たちは跪いて迎える。しかし彼女は礼など受けず、答えを要求した。起きた事態を聞き、ソフィアは迷わずルシアンが最後に目撃された山へ向かう。
遠くに接近する部隊を視認し、ソフィアは再びサンダーに跨り、ラリートと共に自らの護衛を率いて進む。
アルベルトが先んじて挨拶しようとするが、サンダーの前に近づいた瞬間、雷撃が彼を地面に叩きつけた。チャールズ、レオニダス、ジェイデンは動けず、ソフィアは素早く降りてルシアンへ駆け寄る。
「ここで何をしていたの、ルシアン!」厳しい口調で問いかける。
若者は唾を飲む。アルベルトの亡骸がまだ煙を上げる横で、事態の深刻さを痛感していた。
「ごめんなさい、母上。ただ…」
エミリーが勇気を振り絞って口を挟む。
「私のせいです…」
ルシアンは彼女を背後に置き、毅然と言った。
「散歩に出ただけだが、事故が起きた。アルベルトたちがいなければ大惨事だった。騎士たちの死は私が責任を取る…だから受け入れる」
言い終わる前に、ソフィアは息子を強く抱きしめた。
「無事でよかった、息子よ。失うかと思ってどれほど怖かったか」
驚き、ルシアンは数秒遅れて応じる。今まで彼が知っていたのは公爵であり、母親ではなかった。
「ごめんなさい、母上…ただ、貴族としての務めを果たしたかっただけです…本当にごめんなさい」声が震える。
ソフィアは髪を優しく撫でる。
「もう大丈夫。重要なのは生きて戻ったこと」
「じゃあ、怒っていないの?」弱い笑みで尋ねる。
「まあ…」穏やかな抑えた口調で答える。「尋ねる前は怒っていなかった。でも今、聞かれたからには…とても怒っているわ。なぜ騎士たちはあなたを守れなかったの?」
「彼らは死にかけていた、母上。見ているだけではいられなかった。ウンバーは命令に従わず、私が介入せざるを得なかった」
ソフィアは深く息を吐く。
「二度と危険に身を晒すな。公爵領のすべての騎士は、たとえ命を失うとしても、あなたを守るために存在する」
その時、アレフ・ダグラスが到着し、アリッツもルシアンの無事を確認して安堵する。
「殿、無事で何よりです。大変心配しました。あなたは公爵領の未来です。どうかもう二度と無茶をなさらぬよう」
「もう起こりません。ありがとうございます、将軍」ルシアンは答える。
アリッツは緊張しながら一歩前へ。
「ルシアン殿、護衛をつけなかったことをお詫び申し上げます。許されざる過ちでした」
「アリッツ殿」エミリーが口を挟む。「悪魔教団が人々を誘拐し、悪魔を召喚しようとしていました」—解放された囚人を指し示す。
アリッツは恐怖で目を見開く。
「何…本当か?」
ルシアンは冷たく見据える。
「我々が嘘をついたと思うか?すぐに手当を受けさせよ」高貴な命令口調だった。
その間、アルベルトはようやく立ち上がる。
「痛かったか?」チャールズが尋ねる。
アルベルトは首を伸ばして笑う。
「いや。筋肉をほぐすのにいい。おすすめだ」—他の者たちは緊張の笑いを漏らす。
ドレヴィルに戻ったルシアンは、疲れ果ててベッドに倒れ込む。アデラが静かに入ってくる。
「何か必要ですか、殿?」
「母上は怒っていましたか?」小声で尋ねる。
「もちろん違う」アデラは笑う。「本当に怒ったのは、あなたが逃げた日だけ」
ルシアンは眉をひそめる。
「本当に?」
「ええ。その日は公爵と口論していたの。カレブを勝手に後継者にしようとしたから。私が来て、あなたがいなくなったことを伝えると、ローレンス殿の首がラリートの顎に挟まり、ウンバーがかつて剣を持っていた腕を食べていた。本当に酷い日だった」
ルシアンは手を額に当てる。
「本当に…そんなことが?」
「そうよ。あの日と比べれば、今日はただ心配しただけ」アデラは毛布をかける。「休みなさい、殿」
夜明け、行列は首都へと帰路についた。騎士たちは整然と進み、勝利の栄光と損失の重みを共に運ぶ。その中に、二人の特別な客がいた:公爵領の後継者ルシアン・ダグラスとランター侯爵家の娘、エミリー・ローラン。
到着すると、ルシアンはエミリーを自らの邸宅まで護衛する。門前には侯爵ダニエルが心配そうな顔で待っていた。
「首都は騒然としている。公爵夫人が数百の兵を連れ山へ向かったのを誰もが見た。ドレヴィルの知事は処刑されたという噂もある。本当か?」
エミリーは否定する。
「違います、父上。そんなことはありません。悪魔教団の一団に遭遇しただけです」
ダニエルは駆け寄り、肩に手を置く。
「無事か、娘よ?傷つけられなかったか?」
「大丈夫です、父上。危険はありませんでした…ルシアンが守ってくれました」—声がわずかに震える。
侯爵は安心して息を吐く。
「務めを果たしたのだな。ではなぜ、そんなに沈んでいる?」
エミリーは視線を落とす。
「私が助けを主張したのです。教団に囚われた村人を救うため。しかし…虐殺でした。ルシアンの騎士たちは多くが死に、彼がその罪を背負っています。正しいことをしたのか、わかりません」
ダニエルは優しく抱きしめる。
「わかっている。君は常に高貴な心を持っていた。正しいことをしたのだ。強者は弱者を守るべきで、代償が高くても」
エミリーは目を閉じ、父に抱かれる。言葉は重荷を少し和らげるだけだった。
「それでも…」—小声で—「彼が部下の死体の間にいるのを見て、善意が痛みを伴うこともあると理解した」
ダニエルは髪を撫でながら言う。
「その痛みを無駄にするな。若き公爵に正式に感謝を伝え、我が家から贈り物を送り、勇気と高貴な行いを称えよう」
エミリーは穏やかに頷く。父の後ろ姿を見送りながら、窓の外に視線を移す。朝日が差す中、思いはルシアンに向かう。
山の上では、生き残った教団員が焦げた岩と松の間に仮設キャンプを張っていた。松明が火花を散らし、煙が夜の冷気に混ざる。包帯を巻いた人々が絶望の祈りをささやく。血に染まったマントを纏うジェルゲスは離れて立ち、かすかに赤く脈打つ魔法装置を握っていた。
遠くから、冷たく権威ある声が装置から響く。心配する人間の声ではなく、怒りに満ちた命令だった。
「閣下…申し訳ありません。我々は失敗しました。基地は発見され、わずか数名が逃げ延びただけです」ジェルゲスの声は震える。
返答は抑えた怒りの鼻息だった。「無能め!――誰が我らの計画に干渉するとは?」
「ダグラス家の者です」ジェルゲスは唾を飲む。「少年が偶然、我々の前に現れました」
松明の音もかき消す沈黙の後、冷酷な声が告げる。
「名前と居場所を言え。自ら行き、罰を与える」
装置は手の中で脈打ち、指先が強く握り締めると、赤い光は血の誓いに応えるかのように強まった。
「承知します」ジェルゲスは呟く。「二度と失敗はしない」
声は容赦なく告げる。「無能は許さぬ。失ったものを取り戻せ。さもなくば命で償え」
通信が切れると、ジェルゲスは山影の向こうに逃げた谷の平和を見つめた。残ったわずかな部下たちも遠くを見つめ、この失敗が終わりではなく、さらなる悲劇の序章にすぎないことを悟った。
装置は夜の闇で脈打ち続け、血の誓いを響かせていた――必ず戻る、と。




