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「影の包囲戦」

山の南西に位置する悪魔教団の基地の正面入口で、ルシアン、エミリー、アデラ、チャールズ、そして119人の騎士と20人の魔法使いたちが突入の準備を整えていた。北にはレオニダスが49人の騎士と10人の魔法使いを従えていた。東側では、ケイタロウ、アイリス、22人の冒険者、そしてジェイデン・ジェンキンスが29人の騎士と5人の魔法使いを率いていた。西側にはアルベルトが39人の騎士と10人の魔法使いを指揮していた。


全員が戦略的に配置され、教団の基地を包囲し、複数の方向から攻撃を仕掛ける準備が整っていた。それぞれのリーダーは相当数の兵と魔法使いを率いており、突入に十分な戦力を有していた。


ルシアンはまず、40人の騎士に前進の命令を下し、魔法使いたちは範囲風魔法の準備に取り掛かった。かつてエルウィンが攻略したこの世界での経験を生かし、ルシアンは知っていた。アンデッドとの戦いでは、黒魔術師が範囲魔法を使い、霧を発生させてアンデッドを強化し、その範囲内に入った者に毒を与えることが多いのだ。


間もなく、騎士たちが洞窟の入口に近づくと、濃い霧が門の周囲に立ち込め始めた。地面からは腐敗した死体が浮かび上がり、数名の教団員が同じ洞窟から現れた。その中央には、ランチを握った者が目に入った。ルシアンの背筋に戦慄が走る。


魔法使いたちは命令に従い、風の魔法を放って霧を散らした。騎士たちとアンデッドの激しい戦闘が始まった。しかし、敵は討伐されるよりも早く次々と現れるようだった。


ルシアンは戦略的判断を下し、さらに20人の騎士に前進を命じた。残りの60人は後方で支援し、負傷者や魔力を使い果たした者と交代する。魔法使いたちは交代で魔法を維持し続けた。


光属性の魔法使いは一人しかいなかったが、火魔法使いたちは力を活かし、インフェルノの魔法を放った。さらに4人の風属性魔法使いの支援で、騎士たちが圧倒されるほど接近してきた敵を焼き尽くした。


「こんなにたくさん…どこから出てくるの?」エミリーが尋ねた。


「教団は近隣の村々の墓をすべて冒涜したのだろう。アンデッドを作るには死体が必要だ。突然現れるわけではない。だから腐敗した者もいれば、骨だけの者もいる」ルシアンが答える。


「じゃあ…どれくらいの死体が現れる可能性があるの?」


「数千、いやそれ以上かもしれない。強さは大したことないが、数が問題だ。注意しないと騎士たちの魔力が尽きてしまう」


「もっと簡単だと思ったのに…」エミリーはうつむきながらつぶやいた。「私も魔法使いを支援できるわ」


エミリーは範囲浄化の魔法を唱えたが、効果は期待よりも弱く、顔にわずかな失望が浮かんだ。


「不思議じゃないか?」ルシアンが弱く光る魔法を見ながらつぶやく。「光と闇は触れ合えないはずなのに、どうして魔力で物理的な形を持てるんだ?」


「何のこと?」エミリーは首をかしげた。


「君のことだ」ルシアンは冷静に答える。「もっと強い光魔法を作ろうとしているだろう?」


「どうして知ってるの、ルシアン?」エミリーは驚いた。


ルシアンは微笑み、ポケットから巻物を取り出す。広げると、光魔法の詳細な図が描かれていた。


「僕も試しているんだ。ほら、闇魔法をどう強化するか研究している」


ルシアンは20秒ほど呪文を唱え、黒い稲妻がアンデッドの体に直撃した。敵はよろめいたが、前進を止めなかった。


「さすがに、闇魔法はアンデッドにあまり効果的ではないな」ルシアンがコメントする。


エミリーは感心し、やり方を教えてほしいと頼んだ。


「難しくない。光魔法に物理的な形を与えず、強度だけに集中すればいい」


「本当に理解しろって言うの?」と疑問そうにエミリー。


ルシアンは微笑む。「言葉で説明するのは難しい。でも試してみろ。君ならきっと自分で発見できる」


その言葉はエミリーに自信を与え、彼女は決意をもって光魔法のチャネリングを始めた。


一方、光属性の魔法使いはマナを使い果たしつつあった。無数のアンデッドに大ダメージを与える光の矢で多くを倒したが、戦闘開始から10分も経たぬうちに、騎士たちの何人かが負傷し、数名は教団魔法使いの攻撃で倒れた。


もし騎士たちが伝説級の鎧と剣を持っていなければ、状況は壊滅的だっただろう。さらにそれぞれの騎士が魔力適性を高める上位アーティファクトを所持していた。


アンデッドの出現は徐々に減少し、もはや大群では現れなくなった。しかし、恐るべき力を持つランチが前に出てきた。周囲には、エルカーン騎士団の鎧を纏った10体のアンデッドが現れた。


「くそっ! 高位のアンデッドだ!」ルシアンはその脅威を認め、叫ぶ。


「騎士の死体を見つけたに違いない…これは問題だ」チャールズは眉をひそめ、リーダーに申請した。「殿下、私も戦闘に加わる許可をください。ランチとアンデッドに騎士が包囲されれば持ちません」


ルシアンは厳かに頷く。「よし、行け、チャールズ。ウンバーも連れていけ」


しかし、ウンバーは動かなかった。


「殿下に危険がある限り、彼は離れません」アデラが毅然と割って入る。「私はアウレウスを送ります」


ルシアンは各メンバーの能力を最大限に活かす重要性を理解し、水属性の魔法使いたちにアウレウスの進路上で攻撃魔法を展開するよう指示した。戦略は成功した。魔法使いたちは騎士の後方に位置し、強力な水魔法を放ち始めた。


その瞬間、アウレウスは「氷のマント」を発動。水魔法がアンデッドに命中すると、敵の列が凍り始めた。ダメージは大きくなかったが、騎士たちが接近して攻撃できる時間を稼ぐには十分だった。


騎士たちとアウレウスの凍結効果のコンビネーションで、多くの敵を殲滅できた。この戦略により、教団の戦力を弱体化させ、前進する道が開かれた。


ランチは、自身のアンデッド騎士団を率いてダグラス騎士団に猛攻を仕掛け、数名を倒した。状況は危機的だったが、チャールズが前に出てランチと直接対峙した。その間、他の騎士たちはアンデッドと戦い、魔法使いたちは強力な火魔法で支援した。


チャールズは自身の魔法による風を活かして魔法使いの炎と連携させ、攻撃の威力と精度を高めた。しかし、他の騎士たちがアンデッドを迅速に排除できなければ、勝敗は時間の問題であることが明白だった。


その時、ルシアンはランチとチャールズの戦力差を認識し、直接支援に向かうことを決意した。戦場に駆けつけ、エミリーに魔法使いたちのそばにいるよう呼びかけ、自身は接近戦に晒されないよう指示した。


ランチはチャールズを槍で押し戻し、騎士はバランスを崩して倒れる。槍がとどめを刺そうと振り下ろされた瞬間、右腕に光の一撃が命中した。エミリーは光魔法を完成させ、強烈なダメージを敵に与えていた。


その隙に、ルシアンは闇魔法を連続でランチに放つ。直接のダメージは与えられなかったが、注意を引き、チャールズから離れさせることには成功した。その瞬間、忠実な仲間ウンバーがアンデッドに飛びかかり、槍を握る腕を噛みついた。その損傷はあまりに大きく、腕を引きちぎる寸前だった。

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