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「空っぽの村」

ドレヴィルの外れ、冒険者たちの一行が村へと進んでいた。任務はバロン・アリッツからの依頼である。その中で、ケイタロウは一瞬立ち止まり、口元にわずかに歪んだ笑みを浮かべながら、狼を連れた少年と、虎を伴った少女を指さした。


その目の中の嘲りの光は、旅の真剣さとは対照的だった。


イリスはくすくすと笑い、応じる。

「ふん、そう?でもあんただって変わらなかった…いつも騎士に囲まれ、近寄りがたい存在だったじゃない。」


ケイタロウは喉を鳴らし、謙虚さを装いながらも、指先は自然と剣の柄に触れた。

「いつだって謙虚な冒険者だよ。愛しい妻のために戦う、ただの冒険者さ。」


イリスは片眉を上げ、皮肉と懐かしさを交えた表情で答える。

「今では忘れたのね、あんたがマカリスター家の後継者だったこと…そして私をさらったことも。」


ケイタロウは咳払いをし、非難を和らげようとした。しかし、イリスの視線はまったく手加減を見せない。

「でも昨晩は…僕のそばで楽しそうだったじゃないか。」


「それは演技よ」

イリスは片目をウィンクし、微笑む。

「あなたを気まずくさせないために。」


二人の軽口は続き、微妙な連帯感を帯びたまま、やがて村が視界に入った。


その瞬間、静寂が視覚よりも先に襲いかかる。

通りは無人、窓は口を開けたままのように虚ろ、見えるのは空っぽの家々だけ。放棄されたのは、ほんの最近のことのようだった。


オブシディアン等級のリーダー、カインが一歩前に出る。声を張る必要はなかった。彼の言葉には重みがあり、一同の背筋が伸びた。

「バロンの情報は正しい。村々は空になりつつある。原因を突き止めろ。」


グループは散開し、家屋や通りを調査した。九人のオブシディアンは正確に配置され、ダイヤモンド級は人数を倍にして周囲を取り囲む。さらに二十人以上のゴールド級冒険者が周辺の家々を確認して回った。


「バロンは兵を送れなかった…だから俺たちが来たんだ」

カインは進みながら呟く。


「五つの部隊で足りるのか?」

ルシアンが現場を見渡し、問う。


「願わくばそれで十分だろう」

カインは応じ、目を空っぽの村に走らせる。


そのとき、不意に朽ち果てたアンデッドが横道から飛び出し、イリスに襲いかかる。


彼女の杖が光を放ち、水のマナが精密に流れる。刃のように変化した水の魔法が襲撃者を千の破片に切り裂いた。


しかし、安堵は長くは続かない。影の中から群れが現れ、遠くには赤いマナのオーラを纏った一体のリンチの姿が見えた。


カインは認識すると、顔色を変える。

「リンチだ!止めなければ、群れ全体を操られる!」


戦闘が始まる。激烈で混沌としていた。

剣と魔法がぶつかり合い、仲間は倒れ、アンデッドは容赦なく前進する。

リンチの魔法に介入しようとした仲間は、マナの棘に貫かれた。絶望は、呼吸の一つ一つにまで染み込んでいた。


ケイタロウは状況を見極め、混乱の中でイリスを探す。

「イリス!俺のそばにいろ。何をすべきか分かっているだろう。」


彼女は迷わなかった。杖を握る手はしっかりとし、目には過酷な戦場を生き抜いた者の確信が宿る。

「分かってる。戦略通りに動こう。」


丘の上から、黒いローブの男たちが観察していた。

わずかな騎士部隊が近づくと、リンチたちは無言の命令に従い退却した。敵が散ったことで、冒険者たちは素早く村のアンデッドを掃討した。


ルシアンは現場を見回す。生存者の数は数え切れない。倒れた者が多すぎた。

「まだ戦える者を集めろ」

彼は負傷者の間を進みながら命じる。


イリスは黙ったままだった。倒れた者の目を閉じる手がかすかに震える。

強張った平静は、彼女の感情を隠す仮面にすぎなかった。


再編成が終わるか終わらないかのとき、蹄の音が静寂を破る。

空っぽの村に、ゆっくりと馬車が進み、さらなる人物の到来を告げていた。

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