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審判の英雄たち

王都の広場は――人で満ちていた。


だが、そこにあったのは希望ではない。


押し殺された恐怖だった。


神聖なる鐘が鳴り響く。

塔には、光・炎・雷の紋章を掲げた旗が揺れている。


空気は、香の煙と緊張で重い。

誰一人、大声では話さない。


理由は――全員が知っている。


悪魔が、目撃された。


そして――神々は応えた。


壇上に、四つの影が並び立つ。


神ではない。


まだ。


それでも――

世界は、彼らを神のように見上げていた。


最初に進み出たのは――


光を担う者、アルドリック。


白き鎧は太陽を反射し、目が焼けるほどの純白を放つ。

笑みはない。誇りもない。


ただ――裁く者の目。


その視線が群衆をなぞるだけで、空気が張り詰める。


彼が手を掲げた瞬間。


柔らかな光が、広場へ降りた。


人々は、崩れるように膝をつき――涙を流す。


「光は、赦さない」


静かに告げる。


「ただ――暴くだけだ」


人々は彼を“救い主”と呼んだ。


だがアルドリックは、すでに理解していた。


光は――焼き尽くすものでもあると。


その隣に、炎が揺らめく。


マエリア。炎に選ばれし者。


紅の髪が、生きた炎のように揺れる。

祝福はその肌に刻まれ、赤く脈打つ。


その笑みは――歓喜ではない。


期待。


彼女が一歩踏み出すたび、空気が乾き、焦げる。


「罪は、灰で清められる」


宣言。


「そして悪魔は――焼かれる」


兵たちが槍を掲げる。


だが彼女は、救おうとはしていない。


ただ――浄化するだけだ。


たとえ、世界が灰になろうとも。


次に現れたのは、雷。


抑え込まれた嵐。


カエル。雷の代行者。


重い鎧はない。

古き紋様が刻まれた装甲のみ。


蒼い瞳は、誰も見ない。


常に――遠くを見ている。


彼は、ブレイナーの肩に手を置いた。


雷神の祝福が流れ込む。


青い閃光が背を走る。


それは――宣告。


「脅威が存在するなら」


短く。


「排除する」


それだけ。


雷は語らない。


ただ――落ちる。


「この王国は、俺が守る」


力の祝福を受けた男、ブレイナーが言う。


「たとえ、地獄そのものと戦うことになっても」


歓声が上がる。


他の誰よりも大きく。


彼こそが、人々の望む“英雄”だった。


まだ――人間に見える存在。


だが。


力の神殿は、完全ではなかった。


その理由は――


カラ。


力の英雄。


彼女は――ルシアンの側に立っている。


その存在だけで、均衡は崩れる。


神殿の者たちは沈黙した。


語れない。


語れば――裏切りが露呈する。


それでもカラは、揺るがない。


神に背きながら。


静かに。


まるで、不可能そのものの象徴のように。


三人の英雄。


三つの祝福。


三本の刃。


向けられる先は――ただ一つ。


その時。


空気が変わった。


聖火が、一斉に揺らぐ。


神の紋章が、不自然なほどに燃え上がる。


そして――降りてきた。


それは声ではない。


魂に刻まれる命令。


アルドリックが、膝をつく。


マエリアは、震える笑いを漏らす。


カエルは、空を見上げる。


ブレイナーの背に、重い何かがのしかかる。


光の女神の意志。


それは――慈悲ではない。


審判。


「――罪人の首を、持ってこい」


沈黙。


絶対の静寂。


「エミリー。元・光の聖女」


「恩寵を拒み」


「悪魔と共に歩む者」


ざわめきが、病のように広がる。


アルドリックが顔を上げる。


蒼白に。


「……承知した」


その声は揺れていた。


だが、迷いはない。


「光の名のもとに――処刑する」


マエリアが微笑む。


満足げに。


「堕ちた聖女を焼くなんて……美しい皮肉ね」


「目標、確認」


カエルが告げる。


ブレイナーは、一瞬だけ目を閉じた。


そして開く。


何かが――壊れていた。


「神が望むなら……従う」


その瞬間。


世界は、救済を語るのをやめた。


英雄は、守るために選ばれたのではない。


首を刎ねるために、創られたのだ。


――遠く離れた場所で。


エミリーは、膝をついた。


焼けるような痛み。


首の呪印が、暴れる。


魂を奪い返そうとするかのように。


ルシアンも、感じていた。


血の中の神性が反応する。


彼は、その印に手を当て――拒絶した。


確信。


かつて娘と呼んだ神が。


今は――首を求めている。


供物として。


ルシアンは、わずかに笑う。


「……先に、お前か」


低く。


危険なほど静かに。


「なら――平和はない」


エリザベスは、何も言わない。


もう逃げない。


悪魔は。


狩りが――始まった。


神殿では、祈りが捧げられる。


王宮では、王が安堵する。


街では、人々が信じる。


世界は救われたのだと。


だが――


遠く離れたその場所で。


世界は再び。


神の名のもとに、燃え上がろうとしていた。

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"読んでいただきありがとうございます!コロンビア人ですが、日本のアニメや小説が大好きで頑張って書いています。翻訳ツールを使っての投稿ですが、楽しんでいただければ幸いです。"
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