エリザベスとルシアン
朝は静かで、前夜の混乱とはほとんど対照的だった。
エリザベスはまだ眠っていた。シーツに包まれ、疲労でぐったりとしている。呼吸は深く、規則的――多くの時間を生き抜く意志だけで過ごした体が、やっと休息を許した証だった。
ルシアンはしばらく彼女を見つめ、そっと髪に触れる。ほとんど礼拝するかのような、慎ましい手つきだった。その後、ベッドから慎重に離れる。傷は、認める以上にまだ痛んでいた。
昨夜は……激しかった。
死の淵から数時間前に戻ったばかりの者には、あまりにも強烈だった。
だからこそ、彼は英雄たちと一緒に遺体を確認するために出向かなかった。
もっと差し迫った、もっと個人的で、人間らしい義務があったのだ。
彼は総督邸の廊下に出る。
角には半分眠ったままの護衛たちが立っており、湿った静けさが空気を満たしていた。
大広間では、マナの量が控えめの果物、軽いパン、そして中級レベルの鳥料理が用意されていた――戦士として十分な量で、目覚めたエリザベスと共有するつもりだった。
廊下を戻る途中、彼はそれを見た。
細すぎる子供。
目はくぼみ、しかし光を宿している。
食べ物の匂いだけで、わずかに命が戻るかのようだった。
ルシアンは立ち止まる。
子供も同じく立ち止まる。
その瞬間、ルシアンの中で――過去の人生から残っていた何かが――目覚めた。
自然に、無意識に、手が動く。
「……こっちへ」
やさしく声をかける。「これを食べなさい」
鳥の一部を切り取り、兄のような落ち着きで子供に差し出す。
子供は一歩、また一歩と近づく。
目は揺れ、まるでこの食事が夢かもしれないと恐れているようだった。
しかし、手が食べ物に触れる前に、誰かが来た。
止めるためでも、叱るためでもない。
ただ、悲劇を避けるための優しい手だった。
「ルシアン……」
エミリーの声はかすかで、ほとんど囁きのようだった。
判断の色はなく、ただ心配があった。
彼女は子供の手を離さず、奪い取ることもせず、寄り添う。
「これはあげられないの」
やわらかく説明する。「安全じゃないから」
子供は混乱した目で見つめる。
エミリーは微笑み、そっと髪を撫でる。
「大丈夫、坊や。悪いことはしていないよ。ただ…体が今は弱すぎる。もっとやさしいものが必要。私が準備してあげる」
子供は恥ずかしそうに頷く。
エミリーは座らせ、そしてルシアンに視線を戻す。
彼女の目には温かさがあった。
あの日から、ずっと抱えていたもの――
モンスターの群れがカーター郡を襲ったあの日、母や仲間と共に死ぬと思ったあの日。
そしてルシアンが現れた。
その日以来、彼女は彼をそういう目で見ていた。
「ルシアン……」
低い声で続ける。「あなたの行動……この気持ち……悪くない。助けたいと思うことは、決して間違っていない」
彼は眉をわずかにひそめる。
混乱と、理解できない指摘に少し傷ついていた。
彼女はさらに一歩近づく。侵入するわけではなく、しかし十分に近く、彼に存在を感じさせる距離だった。
「あなたが私の領域で与えたものとは違う。レベルの低い動物たちの果物。私は人々が食べる前にマナを浄化していた。
でも、この人たちは……もっと酷い。ずっと酷いの。
あなたの食べるような濃いものを与えたら……命を落とすかもしれない」
唇がわずかに震える。
ルシアンは視線を落とし、胸に奇妙な重みを感じた。
罪悪感ではない。
気づかぬうちに害を与えるところだったという不安。
エミリーはその表情を読み、首を振る。
「違う」
ささやくように言い、そっと手に触れる。「そう思わないで。あなたは決して危険ではなかった。見たわ……迷いも判断もせず、あの人たちに食事を与えていたこと。あなたの立場なら、普通はしない。それを、何度も繰り返した」
小さく、誠実な微笑。
「あなたは冷たい人じゃない」
彼女は言う。「ただ、強いの。あまりに強くて、下から世界を見る感覚を忘れてしまうこともある」
子供は服の端にしがみつき、注意を引こうとする。
エミリーは頭を撫でる。
「さあ、ちゃんとしたものを準備するね」
優しく言い、ルシアンに目を向ける。「あなたも……少し休んで。もう血を流すのは見たくない」
エミリーは去り、子供を連れていった。
微かな光の香りと温かい気配だけが、ルシアンの胸に残った。
――一週間。
それだけで十分だった。
カルパシア軍は、一糸乱れぬ体のように規律を守り、総督アルヴィアンが思った以上に早く回復した。
英雄たちも、外見上は回復していた――だが、あの遺体の重みは、まだ彼らの瞳にあった。
ルシアンは痛みが残るものの、いつもの無表情な制御を保ち歩く。
エリザベスは、再び王女としての威厳を取り戻した。
声を上げずとも、数千の人々を鼓舞できる姿だった。
キャラバンは少し小さくなり(多くの避難者が街に残った)、夜明けに向けて出発の準備を進める。
そして皆の目に映ったのは――植物だった。
エリザベスが配った種が、壁や屋根、木の梁に沿って伸びていた。
まるでその魔力に満ちた空気を、ずっと待っていたかのように。
一週間で、蔓は街の半分を覆った。
そして芽が出ていた。
小さな緑の実、輝くものもある。拳ほどの青みがかったものも、まだ小さくても将来を感じさせるものも。
ある司祭が足を止め、驚愕した。
「……ありえない……こんなに早く育つとは……」
ルシアンの隣を歩くカラは、腕を組んで微笑む。
「空気中のマナがこれだけあれば、吸収できる植物はどれも増えるわ。王女の選択は正しかった。もうすぐ飢えに悩むことはない」
エミリーは一歩先に進み、実を見て思い出す。
「郡でもこうだった……」
呟く。「私たちは、自分たちにすら食べ物を与えられなかった。でも、この植物のおかげで、すべてが変わった」
レオナルドはただ黙って見て、歯を食いしばる。
市民たちが最初に集まった。
最初は慎重に、
次に駆け寄り、
キャラバンが作った即席の道の両脇に並び、頭を下げ、涙を流す。
「ありがとう!」
「果物がもう育っている!」
「子供たちがまた食べられる!」
「神々よ、守ってください!」
エリザベスは手を挙げず、劇的な仕草はしない。
しかし、少しだけ頭を下げる。
その小さな動作で、人々は感嘆の声をあげた。
敵国の王女が……頭を下げたのだ。
アルヴィアンに従う古参兵たち――ダグラス家と戦った経験のある男たち――は沈黙した。
初めて、恐怖ではなく、尊敬の色だけが浮かぶ。
ルシアンは無表情のまま前へ進む。
だが、無関心ではなかった。
廊下の子供を思い出す。
エミリーが薄めたスープを与えていた姿。
小さな手が、自分の袖にしがみついたこと。
あの植物たち――あの実が、こんなにも早く芽吹くのを見て――
ほとんど忘れていた感覚が戻った。
静かな安堵。
穏やかさ。
エミリーは、少し先を歩きながら回復兵を整理し、横目で彼を見た。
一瞬だけ。
柔らかな微笑み。
まるで、彼の心の中をすべて見透かしているかのように。
アルヴィアンは城壁の手すりに凭れ、キャラバンが遠ざかる地平を見つめた。
長年の戦争と街の管理で鍛えられた手が、拳を固める。
「こんな光景は、初めて見た……」
部下の一人が呟く。信じられない、といった声で。「八千人以上、生存者全員……英雄たちが全員揃って……俺以外には信じられない」
「それでも――」
アルヴィアンは低く答える。「ここにいる。街は略奪されず、負傷者は手当を受け……我々の命は一つも無駄にされなかった」
彼の視線は、屋根に生えた若芽をやさしく追う。「あの植物さえ……私たちを救うとは思わなかった」
年配の兵士が首を振る。
「帝国とカルパシアは長年、互いに殺し合ってきた。だが今、共に行軍している。人々が希望を持てるのは初めてだ」
槍に凭れ、ため息をつく。「戦争、貴族の争い、怨恨……そんなものは、これに比べれば、無意味だ」
「無意味だ」
アルヴィアンは繰り返す。
「今重要なのは、誰がどの街を支配するかでも、どの英雄が栄光を得るかでもない。
大事なのは、生き残ることだ」




