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トーナメントのルール

大会当日、ルシアンは他の貴族たちのように馬車から降りなかった。白銀に輝く毛並みの荘厳な魔獣サンダーに騎乗していたのだ。その隣を黒い狼アンバーが伴走する。入場は圧倒的で、ざわめきが一瞬止まった。若き者が伝説の生き物にこれほど堂々と乗るのは珍しく、視線が集中し、囁きが波のように広がった。


北方のシモペリアの森は、ねじれた枝と霧が覆うベールのようにアクロポリスを包む。その境界には、貴族の家の旗が翻るパビリオンやテントが立ち並んでいた。年に一度、王フェリペが主催する王室狩猟トーナメント。五日間にわたり、参加者は森に入り、野生生物や魔獣を狩る。高ランクのマナコアを最も多く集めた者が、家の名声と栄光を手にする。


王国の全階級の貴族が集まった。王国で最も力を持つ十三家の代表から、下級男爵や騎士まで。空気は緊張、誇り、野心で重く澱んでいた。


ダグラス家の割り当て区画へ向かう途中、ルシアンは他の参加者たちが道を譲るのに気づいた。頭を下げる者もいれば、尊敬と嫉妬が入り混じった視線を送る者もいた。会話は囁きに変わった。黒い鎧に金の縁取りが施され、朝の光を反射する。これは神話級の魔法装備、家系の直系相続者しか身に着けられない。持つ者はごく限られる特権だが、ルシアンにとってそれは力の象徴以上の重荷だった。注目されることは、深く居心地が悪かった。


遠くで、騎士や貴族の列の間に、父であるローレンス・ダグラス公を見つけた。王フェリペや他の公爵と話している。隣には兄ケイレブ、青い鎧に家紋を掲げて立っていた。二人はルシアンの到着に気づく。


ローレンスはわずかに眉をひそめる。表情は冷静だが、姿勢の堅さが不快感を隠せない。ケイレブは冷笑を浮かべて見ていた。

「いつも通り、大げさな入場だな」ルシアンが近づくと、ケイレブが言う。

「そして君は、いつも言葉の影に隠れる」ルシアンは返す。顔も向けずに。


空気が緊張する。兄弟に随行する騎士たちも視線を交わす。ローレンスは毅然とした声で口を開く。

「やめろ。ここは王族の前だ。議論する場ではない。我が家の力を示す場だ。」


ルシアンは軽く頭を下げる。敬意というより、形式上のものだった。父との関係は政治的便宜の仮面にすぎない。ローレンスは本当に自分を息子と見なしたことはなく、ケイレブは常に恨みを隠さなかった。ルシアンは心の奥で、二人が自分をソフィアに守られた厄介者として見ていると感じていた。


それでも、三者の対比は明らかだった。

ローレンスは権威と高貴さを示し、ケイレブは傲慢さと支配力を漂わせ、ルシアンは声を上げずとも冷静な存在感で敬意を集めていた。


ソフィアが観客席に現れると、全員の視線が彼女に集中した。ダグラス公爵夫人は無視できない存在だった。優雅で威厳があり、巨大な魔獣ライオンを従えていた。咆哮一つで会話を遮る力がある。その視線はルシアンに向けられ、彼は誇らしげな微笑を読み取った。


金のトランペットが鳴り、式典が始まる。王フェリペが壇上に上がり、王族代表のアンドリュー・エルカーン王子が隣に立つ。背後には影響力のある諸侯たち:ブーランデ公、スナイダー公、アルメット伯、ケスラー伯、マクリスター伯、スタンリー伯、ブリッグス伯、モンドリング伯、デニス伯、カーター伯、ブラウン伯の代表が並ぶ。


空気は期待で震える。貴族も戦士も魔獣も、森が門を開く瞬間を息を潜めて待っていた。ルシアンは深呼吸し、今回のトーナメントが単なる腕試しではなく、王の目の下で同盟、秘密、裏切りが動く盤であることを理解していた。


デニス伯の姿を見たとき、背筋に冷たいものが走る。バロン・ジョエルの件を思い出し、その公開処刑が首都を揺るがした。伯爵の顔の奥にどんな仮面があるのか、ひそかに考える。


王の開会の挨拶中、ルシアンはシモペリアの森を見つめる。冷たい風が顔をかすめる。霧とねじれた木々に覆われたその場所は、ただの狩猟場ではない。もっと暗い何かの始まりだった。ゲームでは、このトーナメントが最初の悲劇――アンドリュー王子の暗殺とエルカーン王国の没落――の舞台となった。


鎧の下で心臓が早鐘のように打つ。運命が同じ道をたどるかは分からない。しかし確かなことが一つある――今回は、単なる観客ではない。


王の代理の発表


貴族への礼式後、王の代弁者が中央壇上に上がる。声はマナで増幅され、期待のざわめきを押しのける。


「王の命により、王室狩猟トーナメントを開始する。規則は例外を許さぬ。」


沈黙が広がった。


「大会は五日間続く。五日目の夕日が沈むと終了となる。期限までに戻らなければ失格とする。」


緊張のざわめきが会場を駆け巡る。シモペリアで迷うことは単なる逸話ではなく、死刑宣告だった。


「参加者は全員、王家から支給された空間保管装置のみ使用可能。他の道具は没収する。獲物は公式期間内に狩られた痕跡を保持すること。検証はマクリスター伯爵が直接監督する。」


ルシアンは複数の貴族が眉をひそめるのを見た。単なる形式ではない。狩猟は最後の一瞬まで厳密に管理される。


「点数は、討伐した生物のランクに応じて与えられる。」


全員が違いを知っていた。


モンスターは野生マナから生まれる。不安定なエネルギーと肉の塊で、純粋な残虐性で危険だが制御は効かない。思考せず、力を調整せず、攻撃し、失敗し、死ぬ。学習中の者にとっての訓練用の肉だ。


魔獣は違った――


マナを持つだけでなく、それを理解していた。


エネルギーは精緻で、属性に結びつき、寿命のサイクルで磨かれていた。モンスターが力を浪費する場所で、魔獣は凝縮する。核を消耗する場所で、魔獣は効率よく使いこなす。


ある者はほとんどエネルギーを消費せずに火を吐く。ある者は毒の中を歩くと、まるで沼が自らのものとして認識するかのように振る舞う。


魔獣を狩ることは、単に強い敵と戦うことではない。


異なるルールで遊ぶ生物に挑むことだ。


ルシアンは拳をわずかに握った。


意識ある生物。純粋なマナ核。自意志。命令を理解する者もいれば、容赦なく危険な者もいる。狩猟は膨大なポイント、名声、資源――そして真の力をもたらす。


高ランク魔獣は、下級モンスターの十数体に匹敵する価値がある。


だから誰も笑わない。


シモペリアは小さな勝利を積み重ねる森ではない。単一の判断が家の運命を左右する賭けの場だ。


「参加者同士の戦闘は禁止。狩猟トーナメントであり、家同士の戦争ではない。」


緊張と期待が入り混じったざわめきが広がる。


ルシアンは沈黙を守る。顔、旗、所作を観察。シモペリアで争われるのは、名誉だけではなく資源だ。そして資源から、戦士が生まれる。


森の中での一手が家を高みに導き、誤れば何年もの弱体化を招く。


獲物のランクが高いほど利益は大きい。狩猟トーナメントは単なる競技ではなく、権力と進化、そして生存を賭けた真剣勝負なのだ。


エミリーの登場


霧に包まれた森と参加者のざわめきの間に、知った姿が現れる。エミリーだ。軽装の鎧が朝日に輝き、毅然と歩く。近づくと、軽く頭を下げて挨拶し、控えめに微笑む。


「あなたも参加するの?」ルシアンは驚いた。


「はい」彼女は微笑む。「キャンプにいるより、参加した方が良いと思って。最近は…誰も私のそばに来ようとしないし。」


ルシアンはその言葉に微妙な不快感を感じたことを読み取る。質問は不要だった。バロン・ジョエルの事件以来、エミリーは貴族の間で扱いにくい存在になっていた。多くはダグラス家を避け、公開処刑に関連した彼女に関わることを恐れた。さらに、ルシアンとの婚約があるため、若い貴族たちにとって彼女はますます手の届かない存在だった。


「つまり、人の視線に耐えるより、モンスターを狩る方が良いのね」ルシアンは理解を示す微笑みを浮かべる。


エミリーは恥ずかしそうにうなずく。「そうですね。森の中なら、噂を気にする必要はありません。」


「気をつけて、グループから離れないで」ルシアンは保護者のように忠告する。


エミリーは驚き、「ルシアン様、心配してくれるの?」と尋ねる。


「ルシアンと呼んでくれ」彼は笑顔で答える。「そして…君のことは心配している。」


エミリーは目を伏せ、頬を赤らめる。「ありがとう、ルシアン。気をつけます。あなたもね。」


ルシアンは頷き、騎獣にまたがる。エミリーは見送り、数日ぶりに誰かに恐怖や噂を超えた自分を見てもらえたという確信を抱く。


サンダーはゆっくり進み、アンバーは湿った森の空気に耳を澄ましながら並ぶ。ルシアンは手綱を調整し、集合地点へ向かう。


アルバートはすでに待っていた。声や大げさな仕草は不要。存在するだけで、仲間はほとんど本能的に整列する。周囲のマナは湖のように安定し、深みを見せなかった。


右側にはチャールズ・グレル。背筋を伸ばし、柄の近くに手を置く。攻撃性はないが、存在感で距離を作る。熟練者でさえ、理由なく視線を交わさなかった。


残りの者たちも沈黙のうちに配列。経験年数で磨かれた圧力を放つ者もいれば、力はあるがマナが小刻みに揺れる者もいた。ルシアンはすぐに察した。


これは、すでに一線を越えた者と、かすっただけの者の差だ。


彼は呼吸ひとつひとつを意識した。マナは安定しているが、圧倒的な質にはまだ届かない。気にならない。記憶するだけだ。


レギオナリオ・デルタ――心の中でつぶやく。今のところ。


アンバーが低くうなり、頭を下げる。アルバートが前に進むと、サンダーは筋肉を緊張させる。


ルシアンは微笑む。


動物たちは人間より先に理解していた。


アルバートは一人ずつ観察した後、口を開く。


「よく聞け。シモペリアの森は昆虫型生物が支配する。マナ濃度が高く、月の周期一つで昆虫はレベル50のキメラに変異する。」


視線が鋭くなる。


「素人は最初の魔獣を見る前に死ぬだろう。環境の圧力で窒息する。」


アルバートは短く間を取り、考えを浸透させる。


「このトーナメントは力試しではない。代謝耐久の試練だ。安定した属性結びがある者だけが沼の空気をろ過できる。その他は…」舌打ちする。「肺が内部から結晶化する様を見ることになる。」


「コロニーは避け、個別狩猟に集中する。質を求め、量で無駄な力を使うな。」


グループは頷く。ルシアンは密かにアンバーと精神リンクを結び、アンドリュー王子の探索を命じる。

「助けられれば、借りができる。その借りが未来を変えるかもしれない」――ルシアンは思う。


数時間は慎重に過ぎる。最初の二時間はD級モンスターのみ。日常的な狩猟で、特に事件はなし。しかし、地面が揺れた。


沼から巨大なスコーピオンが現れる。黒い甲殻、赤い瞳は炭火のよう。毒の滴る尾。踏み出すたび大地が震える。


アルバートが手を掲げる。

「全員、下がれ! これはB級だ!」低い声で警告。


ルシアンは後退の衝動を抑える。目は緊張で光る。勇気ではなく、冷静さの光だ。


何百回も画面で見た光景。ピクセルと統計、繰り返されるパターン。ここには腐敗臭も、マナ圧迫もない。


これはゲームではない。


生きた怪物が、目の前にいる。


恐怖は現実。


それでも、ルシアンは進む。

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