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第2話

 どうやら本当に異世界に来てしまったらしい。

 ここが地球上の何処かという可能性も残っているが、その場合はドラゴンのような姿をした未確認飛行物体が地球に居る事になる。

 どちらも非現実的だが、地球が変化した可能性よりも、俺が家ごと転移した方が規模が小さい。だから、異世界に来たって事にしておこう。

 正直、前者であっても後者であっても、大自然の中にポツンと俺の家が有る事には変わりない。


 人間に必要なのは、衣食住だと小学生の頃に習ったような気がする。

 着る物に関しては、18年前の俺の服がそのまま残っていたので流行を無視すれば問題無いだろう。

 食料については問題がある。多少の調味料は残っていた。母は未開封の調味料など長期保存の出来る食品を大量に買い置きする癖が有ったので助かった。

 住む所は、この家が有る。なぜか電気と水道が通っている。電気は屋根のソーラーパネルで自家発電している可能性もあるが、水道は謎だ。この水は何処から来ているのだろうか?


 俺は賞味期限切れのカップ麺を食べながら、今後の活動方針を考える事にした。


 まずは食料問題だ。家中の食料をかき集めたが10日分程度しか無い。節約しても2週間で尽きる量だ。調味料は有るので主食になる米や肉が手に入れば改善されるだろう。手に入れる方法に目途が付かない事だけが問題だ。

 次に安全の確認だ。ドラゴンが飛んでるような世界だ。安全だとは思えない。森で狩猟生活をするにも、現地人を探して穀物を買うにも、家の外に出て森を歩く必要がある。この辺りの自然環境を知らないで探索するには危険が伴う。ここが地球なら蛇や熊を警戒するのだが、ファンタジー生物を警戒して進むなんてどうすれば良いんだ?

 一番ファンタジーなのは、今の俺の肉体だ。高校生くらいに若返ってしまった。壁の柱と定規を使って何度も身長を測ったが175センチだった。記憶が確かなら18才の時の身長だ。俺は20才までに更に2センチ伸びたので、今の肉体年齢が18才なのは確かだろう。

 18才の肉体と、昏睡していた時間が18年なのは偶然の一致なのだろうか?

 まぁ、考えた所で答えは出ないだろう。

 今は答えの出ない事を考えるよりも、現状を把握して生き抜く方法を考えないとな!


『インストール完了。アップデート完了』


 唐突に頭の中で聞き覚えの無い声が鳴り響いた。

 俺は思わず後ろを振り向いたが誰も居ない。部屋の中を見渡しても誰も居ない。

 そっと立ち上がり壁際迄移動し、部屋の中を注意深く観察する。しかし、声をかけてきた者の姿も無ければ、部屋の中に不自然な物も見えない。


「・・・何だ?今の声は? 誰か居るのか?」


 俺は俺しか居ない部屋で、誰か?に話しかけて見た。


『あたしはあなたにインストールされたサポートシステムです』


 また頭の中で声が響いた。

 部屋の中には、やはり誰も居ない。それ以前に、今の声は耳で聞いたというよりも脳に直接語りかけてきたような感じがした。

 話しの内容も意味不明だ。インストール?サポート?何の事を言ってるんだ?

 第一、俺がインストールしたと言っているが何にインストールしたんだ?俺は帰宅してからは特段何もしてないぞ。


『それは間違いです。あなたがインストールしたのでは無く、あなたにインストールされたのです』


 はぁ・・・。家ごと異世界転移したとか。気が付いたら肉体が若返ってたとか。納得出来ない事は多いけど、百歩譲ってそこまではファンタジーの謎って事で許そう。

 だが、俺にインストールって何だよ!SFじゃねーか! 誰が何をインストールしたんだよ!勝手に俺の体を改造するんじゃねーよ!


『あたしは約18年前にあなたが用意したサポートシステムです。様々な要因によりインストール先が変更されました』


 あぁ。思い出したかも。

 18年前、俺の体感時間では1年も経っていないが、俺が昏睡する直前に新品のパソコンへサポートシステムをインストールしている途中で寝落ちしたような記憶があるな。

 って事は、インストール中のパソコンが俺の頭に落ちて、パソコンじゃなくて俺の頭にインストールされた?って事か?


『そんなに単純な事ではありませんが概ね正解です。本体の機能を一部制限してインストールに成功しました』


 え?本体って、もしかして俺の事か?

 サポートシステムをインストールする為に、俺は18年も昏睡していたのか。


「18年ぶりに知る真実が一番のファンタジー!」


 昏睡はコイツの仕業だったのか!とは言え、今更失われた18年間の事を文句言っても仕方が無い。

 それよりも俺はこのままで大丈夫なのか?アンインストールした方が良いんじゃないのか?


『あたしの削除はお薦めしません。同時にあなたも削除されます』


 マジかぁ・・・。それが本当なら、これから一生コイツが俺の頭の中に住み続けるのか。監視されてる気分がして良い気はしないな。

 監視よりも気にる事がある。さっきから俺の心を読んで勝手に返事をして来るのは止めて欲しいんだけどな! 質問が有る時は呼ぶから、俺の独り言に返答はしないで欲しい。


『わかりました。設定を変更しました』


 それって設定の問題だったのか。

 自分で自分の事をシステムって言ってるんだから、設定を俺好みにカスタマイズ出来るって事か。


「そういえば、俺はお前を何て呼べば良いんだ?」


『あたしの正式名称はISOLINEAR(アイソリニア) ()OPTICAL(オプティカル) ()SUPPORT(サポート) ()SYSTEM(システム)です』


 ・・・? アイ? ソ? んー。長い!もっと短く出来ないのか?

 例えば俺なら、于チ干(うちぼし )(せん)だから、“セン様”って呼んでくれ。


『・・・、様は必要ですか?本当に必要なんでしょうか?今は必要という事にしておきましょう! ではあたしの事はアイソリニアオプティカルサポートシステムーちゃん。略して“ムーちゃん”でお願いします』


 お前のアイデンティティー全部失ってるような名前だけど、そんなんで良いのか?



この物語はフィクションです。  

実在の人物・団体・地名とは一切関係が無い訳が無い。


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