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世界を終わらせようとする悪党たちの話  作者: 疲労男
3.シーファイターズ
53/57

53.どれだけの努力をしようとも、天才には及ばない。

月下往来、力、技、スピード、それら全てを持っている。

まさしく最強の能力。


全ての敵を殲滅し、全ての害獣を死滅させる。神が生み出した生物兵器。


だが、こいつの能力は人を傷つけることはできない。

神の器官の制限でありルール、いくら戦の神だろうと、その制約には縛られる。


大きなハサミは武器を持つことを許さず、素早く動く足は何かを装備することを許さない。


生物兵器であるが、人類には無害、最強であり最弱。

月下往来は能力から生み出された生物に負けることはないが、人間に勝つことはできないのだ。


多分さっきの派手な出現も、相手にそれを悟らせないため、その制約を見抜かれれば、こちらに勝ち目はない。


奴は人間なのだから。


「…このお面は貰い物だ」


「お前のような人間にプレゼントする奴がいるなんて、冗談も程々にしろよ」


だが、どうしてだ。ここは相手を刺激せず停滞に持ち込むのが得策だ。他の応援が来るのを待つのが一番なはず。


「…街のはずれに黒い獣が現れた」


「!?」


まさか…そんな、ドロドロが召喚したのか?またあの悲劇が。


「数は少ない。だが、警察はそいつらの相手で手一杯だ。応援は期待できない」


…そうか、確かにわかっていた。あの時、海から現れた怪物たちも長万部の比較的街から遠いところから進行していた。だからこそ、他の警察官はそこから現れると思ったのだろう。


…待て、何の報告ももらっていない。


普通なら無線からその報告が来るはずだ。無線で30分毎に無線での報告をしろと命じたはず。


だが、こいつとの戦闘が始まった瞬間、無線での連絡が完全に途絶えている。


何故だ?こいつと遭遇した時、どんどん意味不明な事態に落ちている。何が起きている?いや待て、あいつは自分の力を縁切りの神の力と認めていた。


「…月下往来、奴の能力は縁切りだ」


「ああ、お前の能力をあいつは切っていた。あんな芸当は初めて見た」


「…違う、言いたいのはそんなことではない。あいつが現れてから何かがおかしいと思っていたんだ」


そうだおかしい。なにもかも、あいつは俺が思考している30秒のうちに警察官30人を殺害した。

そんな該当できるはずがない。1人ならともかく、3人と続けば誰かが気がついているはずだ。


だが、誰もが声を出さずに死んだ。いや違うんだ。声は出していたんだ。だが気が付かなかったんだ。


「…あいつ、縁ならなんでも斬るぞ」


そうだ、あいつが現れたのも通報されてきた2人の警察官の後だった。


あいつは警察官と自分の縁を切り、パトカーに侵入。後部座席でそのままこちらに向かった。


私達がやってきた警察官に夢中になっているうちに、全員の後ろに回り込み、一人一人縁を切りながら殺害していったんだ。


霧が現れなかったのも、最初から能力を発動しっぱなしだったと考えれば辻褄が合う。


「あいつ化け物だ、ドロドロが現れたのもそれが関係している可能性がある」


「…それを聞くためにも、あいつを取り押さえるぞ」


奴に向き直す。仮面をつけた男は動かずそこにいた。


「話は終わったか」


「律儀に待っているんだな。何だ?騎士道でも目覚めたか?」


「違う。そうじゃない。お前に隙がなかったから攻撃しなかった。ただそれだけだ」


「わかってるようだな、戦の神に隙はない。さっさと投降しろ」


「…」


2人は向かい合う。月下往来は最強の能力だ。たとえ人間を傷つけられなかったとしてもこちらがやられることもない。はずだ。


「ネクサス」


腕は動き出した。宿主を離れこちらに突進してくる。


「月下往来」


月下往来はそのままネクサスに殴りかかる。拳はネクサスに命中した。だが、


「…」


ネクサスはものともしなかった。まるで巨大な石像を殴っているようだ。あの拳はクトゥルフを吹き飛ばしたことすらあるというのに。


「危ない!」


ネクサスは月下往来を斬ろうとする。月下往来はそれを勘づきそのまま後退した。


「なんだあれはまるで聞いていないぞ」


「…多分、あれは拳が当たるだけなんだ。当たるだけゲームのオブジェクトのように、動くことも壊れることもない。そういう産物なんだ」


「あんな化け物、どこに隠れていやがった」


「多分、パトカーだ。パトカーの中に潜伏させてた。こちらとネクサスと言われている奴の縁を切ってしまえば、警察官を殺害した後もばれることなく潜伏できる」


「そうじゃない、あそこで棒立ちしてる方だ」


視線の先を見る。そこには仮面をつけた男が立っていた。ただじっとこちらの方を見ている。


「今まであんな能力者の情報なんて入ってなかっただろう。どこから来たんだ」


「...いや一つだけ入ってきている」


「...ニセコでの事件か」


「ああ、大虐殺事件。あれがあいつらが仕組んだものだとすればすべてに納得がいく」


あのすさまじい強さも警戒心も慎重さも、それによってニセコが壊滅したのであれば奴にも仲間がいる。


あの少女とワープを使う女のと関連性もあると考えていいだろう。

...まさかここに来たのは、あのドロドロを仲間に引き込むためか?

ならばまずい、今の状況はもしももうどドロドロとの信頼関係を構成しているというならば、ニセコのようにここも壊滅状態にされる可能性がある。


駄目だ、情報がなさすぎる。どうやってドロドロのことを知ったんだ?

何故化け物たちを放っている?

そもそもどうやってニセコを壊滅させたのすらまだ判明していない状態なのにどうすればいい。こちらに勝算はない。そんな状態でどう動けば


「落ち着け藤野、状況をよく見るんだ」


「...だが、こうしている間にも町はずれでは化け物が動き回って」


「そうだ、町はずれだ。何故奴らは街を狙わない」


...確かにそうだ。街からの通報がない。つまり街の住人は気が付いていない。自分と人との縁が切れていて連絡できない状態だとしても、月下往来は切られていない。だから連絡は来るはずだ。

だが、月下往来にすら来ていない。つまり街を食い止めが成功しているか、そもそも街を襲う気がない。


「つまり今の状態は、様子見の状態」


「だからあいつも動かないのだろう。そもそもあいつは仲間と連絡が取れているのか?」


「...まさか、あいつも今の状況がどうなっているのか把握していないと?」


そうだ、ドロドロが現れてから5時間、すぐに交通規制が入り、街全体に警察官を配置していた。

そんな状態で、ニセコを壊滅させた奴らが自由に動き、話し合いをすることができるのか?そもそも街の外からやってきた人間に絞り携帯電話のGPSを傍受すればもう奴らは積みだ。


つまり、奴らは携帯電話を持っていないか、使えない状態。

そんな状態で警察官を30人殺し街に化け物を放つ作戦会議などできるか?

いやできないはずだ。そもそもドロドロとの信頼関係すらそんな短い時間では結べない。


「...つまり今はチャンスだ。連携が取れていない今がチャンス」


「だが、焦るなよ。奴が動いていないのは、俺に隙がないのと、俺の能力が分かっていないからだ。だから下手に動いていない。能力がわかってしまえば対処されるぞ」


「だがどうすればいい。そんなことわかったとしてもどうすれば」


「単純だ。奴が警戒していない人間が一人いるだろう」


「...!」


「いいか、よく聞け。作戦は」

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