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5.この国において弱者は、存在することすら許されない

何かがそこに現れた。あれはなんだ?黒い刀を持った手が奴の後ろに存在している。幻覚でも見えているのだろうか?


...いや、それが幻覚だとか、化け物だとかはどうでもいいことだ。


それで何ができるか、何をされるかのほうが重要だ。


銃口は奴に向けたまま、動くのならば、すぐに化け物に照準を合わせれるように体制を整える。


神居崎がどう動こうとも、何をしようとも、脳天に銃弾を撃ち込んでやる。


「ネクサス、斬れ」


来る!黒い手が奴の後ろから離れ、私のほうへと突っ込んでくる。

私は化け物に銃弾を一発食らわせる。銃弾が奴の体を貫通する。かと思いきや

銃弾は化け物の体から跳ね返り、床へと落下した。


急いで、カウンター裏に隠れる。だが、手はそのまま私のほうへ向かってくる

どうする。このままでは刀で切り殺されるだろう。


カウンターにあったヘルメットをかぶる。といっても本物の刀なら、ヘルメットなど一撃でやられるだろう。これは保険でしかない。


あの化物はどうやって動いている。追尾しているのか、意思はあるのか。

だが、一つだけわかる。あの化物はあいつが生み出したものだ。


ならば


神居崎が隠れているショーケースへと銃口を向ける。化物は絶えずこちらに歩みを進めてくる。


私は、弾が切れるまでショーケースへと銃弾を放った。


ガラスが割れ、爆発音が響き渡る。衝撃で壁に掛けられた猟銃が落ち、床にガラスが散らばった。


こちらを見たまま、化物はその場に停止した。


「どうやら、見えてなければ攻撃ができないようだな。この化物は生物ではなく、もう一つの腕のような役割を果たしているようだ」


ショーケースの裏に隠れているであろう。男に声をかけながら銃の弾を入れ替える。


「その化け物には驚いたが、観察すれば対処法がわかる」


「...はっは」


神居崎が、ショーケースから立ち上がる。振り返り顔を確認する。

奴の目はただ一点、カウンターのみを見つめていた。


「なら、カウンターごと切ればいいだけだ。ネクサス、斬れ」


そう奴が命令した瞬間、化け物は刀を構え、こちらに向かってくる。

私は体をカウンターに押し込める。そして、銃を構える。カウンターに置いてあった。ウォッカ瓶のようなインテリアから、化け物の姿を確認し、タイミングを見定めた。


化物は、刀を構え、カウンターに向け、振り下ろした。

その瞬間だった。刀がカウンターをすり抜ける。振り下ろされた刀は私の体すらすり抜け、ある程度の場所で止まった。


何が起きた?奴の刀は確かに体を貫通した。だが、私は生きている。

だが、とりあえずこれであの化物に襲われても死なないことが分かった。

ならばそのままこの銃で奴を撃てば...


「...?」


おかしい、銃が軽い。まるで何も入っていないように、

先ほど弾を装填したはずだ。銃は弾の分重くなるはずなのに、まるで重さを感じない。


「...今理解した」


神居崎がこちらに歩いてくる。ゆっくりと着実に


私は銃を確認する。入れたはずの弾は装填されてなく、空のままだ。

急いで弾を装填しようとするが、弾はまるで入れられることを拒否するかのように手から滑り落ちる。


「俺の能力、ネクサスは縁を切る能力だ。今、お前と銃の縁を切った。お前は銃をもう扱えない」


縁を切る能力だと?こいつの言うことは何も理解できない。だが、このままではやられる。


「A班!B班!」


「ネクサス」


奴が化け物にそういうと、もう一度刀が振り下ろされる。私は急いでカウンターから脱出するが、刀は私の足を貫通した。


「お前は人を殺そうとしたんだ。俺と同じ犯罪者、それが都合が悪くなったら国に守ってもらおうなんて虫がいいな。刑事さん」


奴と向かい合う形で、カウンター越しに対峙する。

化物は、奴の後ろへと移動した。通信機を起動しようと試みるが、なぜか通信がつながらない。先ほどは問題なくつながっていたが、これも縁切りの影響か。


「お前と人の縁を切った。ほかの奴に通信はできない」


「...ネクサスが名前で、縁切りが能力か。正反対だな」


「そうでもないな、縁とは裏切り、見捨てられるまでの過程でしかない。

最初はいい顔をしようとも、嫌いになれば無視をする。それが日本人という生き物なのだろ?」


「悲しい価値観だな。お前は」


こいつの言うことは、半分は正しい。

だが、致命的に何かが欠けている。良心が欠けているのだ。

普通は、見捨てられたのなら、見返そうと、自分を見直そうと努力をするものだ。だが、こいつにはそれがない。


「育ってきた環境を言い訳に、人となじむことを放棄しただけだろ。お前は」


「俺はな、そうかもしれない。だが、妹はどうだ?あいつは人となじむ努力をしていた。だが、周りは嫌いだから、気持ち悪いからという理由で、その機会すら排除した。お前の考えていることなんてものはな、俺たちはとっくに実行して、何度も痛い目にあっているんだよ」


奴は、ナイフを取り出し、こちらに近づいてくる。


人も呼べない、銃も使えない。このままでは死ぬだろう。だが


私は、ポケットから写真を取り出す。いつも肌身離さず持っている。家族の写真、娘と妻の、こいつを野放しにすれば、家族も死ぬ。

ここで、倒さなければ、家族を悲しませてしまう。


だから、


「お前の怒りは的外れだ」


俺は、こいつに負けるわけにはいかない。必ず生きて帰る。

足に力を入れ、全力で奴に近づく。

奴はナイフを構え、こちらに振りかざそうとしてくる。そうだ、奴の視線はこちらにくぎ付けだ。床は見ないだろう。


思いっきり足を蹴り上げる。散らばっていた。ガラスが、奴の方向へと飛んでいく。


「武器ならさっき用意したんだよ!」


ガラスは、奴の顔や体に突き刺さる。と思っていた。


「ネクサス、俺を斬れ」


奴がそういうと、化け物は奴を切った。その瞬間、ガラスはまるでやつを避けるように後ろに飛んでいく。


「俺とガラスの縁を斬った。これで俺には当たらない」


「...まだだぁ!!」


私は、しゃがみ、奴に殴り掛かる。奴はそれを躱し、ナイフで俺を貫こうとする。俺は、その腕をつかもうとした。


「...ファンタジー作品なら、お前は空手や柔道の技でナイフを持った腕をつかみ、固め技でもして何とかするのだろう。だが、これは現実だ」


だが、奴のナイフは、それより早く私の体に到達した。

体から、血がしたたり落ちる。口から吐血し、私はその場に倒れこんだ。


「...ちょう、たいちょ...」


「...どうやら斬った縁はしばらくすると再生してしまうようだな。危なかった」


...そうか、非日常で、頭がマヒして、判断が


「まあ、これも現実だ。俺達がしてきたように、潔く受け入れて死ね」


俺は、かぞくを 

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