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世界を終わらせようとする悪党たちの話  作者: 疲労男
3.シーファイターズ
40/57

40.知性と敵対するな、トラウマを記憶を味方につけろ。

「…なんもないーつまんないー」


彼方がただをこね始めた。運転し続けて20分程度でこれか。


「50分程度で着くから我慢しろー」


「道の駅とかないんですかー?」


「そこはもうすぎてる」


「えー!」


彼方をなだめたつ俺はミラーで後部座席をみる。どうやら足李は爆睡しているようだ。

車を見つけるのに体力を使ったのだろう。

隣にいる熊谷は本を読んでいるようだ。


「…ねえ、長万部についても人を殺すの?」


熊谷が本を読みながら、俺にそう質問してきた。

何を言っているんだろうか、今更だろう。


「ああ、準備してな。ちゃんと殺す」


「長万部には長い間滞在しないといけないの。その期間で住民と仲良くなったとしても、貴方はそこの人を皆殺しにできるの?」


「当たり前だ、日本人は全員殺す。それ以外にはない」


「…そう、ならいいわ」


ながい田舎を進む。周りには畑すらない。ただひたすらみどりがひろがっていた。


「…貴方はこの力がいつからあるものかわかる?」


「?この力って」


「私達の神の器官、この力は昔から存在していたわ」


本を閉じ、熊谷は話に集中する。ふとその時、本のタイトルに目がいく。


(カムイ神話か…)


そこにはカムイ神話についてを書かれていた。

ここまで色んなことを知っているのに神話を調べるとは、よっぽど勉強熱心なのだろう。

昔はそんなことなく、小学生なのにファンデを買い漁っていたませた人間だったのに、変わったものだ。


「その中でも、北海道…そこは様々な神話が囁かれている。だけどね、本質的には全て同じものなのよ」


「…?どういうことだ」


「言ってしまえば全て過去に実際にあったもの。キリスト教神話もイスラーム神話も仏教神話も皆等しく全て実際に起きたこと」


「…?だが、神話には矛盾点があるというだろう。それぞれの聖書を読んでみると絶対的な矛盾が存在すると」


「そう、でも全て正しいのよ。この世界にある神話は全て正しく過去に存在したもの。

だけど、その矛盾が人を暴走させ、考えが違うもの達で争いを始める」


「…1番人を殺したのはキリスト教なんて言われてたりもするもんな。聖地が被っているからって奪い合いをしていたり、思考停止で聖書なんかに従っているからダメなんだ」


「いいえ、それ自体は問題ないわ。1番の問題は過激な思考回路に支配されること。今の貴方のようにね」


「まあ、そうだな。それが1番ダメだ」


「貴方は神を信仰していない。だけど1番神に愛されている。だからこそ、貴方は大虐殺を成し遂げた。神に、大量にいるニセコの民より貴方の方が大切だと認識された」


「そうか?俺はそう思わないぞ。俺は神になんて愛されていない。じゃなかったらこんな惨めな思いをして妹を失っていたりなんてしない。

大切なのは、考え方だ。そうだろ」


「…人は悪と正義を区別する。だけどね、それは等しく結果に過ぎないのよ。大切な人を失ったという結果。彼等がそう行動したっていう結果。

神には悪と正義の区別はない。ただ、神秘を与えるだけ。知性を与えるだけ、

それを停止させるのも、活動させるのも私達次第。だから、貴方も考えて、今殺すのか、後からまとめて殺すのか、思考を続けて


じゃなければ、日本人滅亡など叶えられないわ」


「…肝に銘じとく」


どうやら、説教をしてくれたらしい。そういえば前回こいつを作戦に参加させなかったな。


何故だ?こいつと俺は利用し合う関係なのに、何故そこまで忠告してくれるんだ?


わからない。まあだが、ちゃんと頭に入れておこう。


「それがわかったなら、これを教えておくわ」


熊谷はバックから何かを取り出す。どうやら新聞紙のようだ。頑張ってみようとしたが、運転中で見れない。


「…3年前、長万部にて黒いタコや巨大なカニのようなものが上陸。その数は計り知れないほどで、人々は非難を余儀なくされた」


「…あ?3年前?」


「警察や自衛隊が対応したが、銃などに効果はなく。撤退を余儀なくされる。


その後、ニュースの記事が出ることはなく、いつの間にか解決し、長万部は元の形を取り戻した」


「待てよ、なんやかんやってなんだよ」


「…情報が隠されたのよ。真実が書かれているのはこの地元新聞だけ、それ以外は津波として報道してる。わかる?この意味」


「…もしかして、俺達と同じ」


「神の器官を持っている人間達、それが町を守り、取り戻した。しかも、地元の人間がね。

長万部町は蟹や色んなものが取れる漁が盛んな場所、だけど、同時に神社の数、神の数が多いのよ」


…そうか、つまり。これから俺たちが行くところには


「…3年前に戦っていた人間が待ち構えているってことかよ」


「そう、魔法少女達はあまり能力に慣れていなかったもの達だったわ。だから対処できた。

でも今度はそうはいかない。問題に立ち向かい解決した本物の能力者がいる」


「…そうか、それはきついな」


「だから、無理は」

「だが」


俺は熊谷の言葉を遮る。俺は知っている。どれだけ人を助けようと、どれだけの英雄になろうとも。


「奴らにも現実がやってくる。目を覆いたくなるような。きつい現実が」


「まさか、町を救った英雄に酷い扱いを受けさせるわけがないでしょ」


「いや?どれだけの功績を成し遂げようとも、どれだけのことをしようとも、その能力が他に活かせなかったら、人はそいつを見捨てるんだよ。


それも事実だ。変えようのない。日本人というクズの塊が持つ本能。だから、3年後はその英雄が動くかはわからない」


「…貴方、本当に日本人の善性を信用してないのね」


「ま、運次第だな。とりあえず、英雄について調べたい。飛ばすぞ」


俺は公道を80kmだして、先を急いだ。

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