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世界を終わらせようとする悪党たちの話  作者: 疲労男
2.ニセコシスターズ
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28.魔法少女と殺人鬼

「魔法少女、来たな」


遠くからなにかが高速で近づいてくる。と思ったら青い何かが剣を生成し始めた。


「行ってくる」


「ああ、待ちなさい。これを使いなさい」


熊谷から何かを投げ渡された。確認するとお祭りとかで売っているお面だ。それも狐のお面じゃなく、赤い変身しそうなヒーローの


「...なんだこれ」


「貴方、まだ指名手配されてないでしょ。なるべく顔を出さないようにしなさい。自由に動ける人が少なくなると大変なの」


「お面のセンスが絶妙にダサいな」


まあいいか。俺はお面を顔につけた。その瞬間、剣が大量にこちらに発射される、無数の剣や槍が体育館を壊そうと襲ってくる。


「斬れ、ネクサス」


俺はネクサスでできる限り斬る。ネクサスの刀に触れた瞬間、武器たちは水となって消えた。建物が崩れないように柱の部分を重点的に守る。

合計90本ほど薙ぎ払ったとき、攻撃はパタッとやんだ。


「・・・はぁ、おいおい危ないだろ」


俺は上空を見る。そこには一人の赤い魔法少女が空を飛んでいた。


「...あなた、誰?」


「...俺は、神居」


「カムイ、そこらへんにしなさい」


 熊谷が割って入る。熊谷はドン・キホーテで売っているような変なお面をしていた。昔、ヤッターマンで見たような気がする。


「カムイですって?その名前はカムイ信仰をしている人間に失礼よ」


続いて、青の魔法少女が後ろから来ている。その後ろで先ほどあった黄色い魔法少女が姿を現した。


「...それで、貴方たちは何者ですか。この街の騒動も、祟り神を誑かしたのも、貴方たちが原因ですか」


「...誑かした?違う、あいつが選択したんだ。あいつが自分で考え選択した。その結果がこれだ」


「!彼がそんなひどいこと」


「するんだよ。されてきたんだからな。殺されそうになった人間が反撃をするのは至極当たり前のことだ。足李はこの街に殺されそうになった。だから街の人間を殺した。これの何が問題なんだ」


「...あなたは!人にひどい目に合わされたなら、仕返してもいいと言うんですか!?」


「...そうだな。お前の言うことは正しいよ。誰かに仕返すのは本来駄目なんだ。だがな、平等に罪を与えるべき社会が人の怠惰によって機能していないんだよ。だから仕返すしか選択肢がないんだ。わかるか?」


「...それでも間違っています。沢山の人に害されたからって街ごと殺すなんて」


...こいつは、悲しんでいる。そして怒っている。この街の惨状を見れば当然だろう。だが、こいつは感情論でしか反撃ができない。

こいつは愛されてきたのだろう。沢山の人に祝福されてきたのだろう。だから、心の底から憎んでいる人間の心を理解できない。


「...俺の妹の話だがな、そいつはクラスの奴らに嫌われて、先生にも黙認されて、家にも居場所がなくて、それで自殺した。だから俺は、妹の自殺の原因になったやつらを全員殺したよ。憎かったから、許せなかったからな。お前はそれを駄目なことだと思うか?」


「...思います。確かに憎いし、許せないかもしれません。でも、それでも、殺してはだめです。それは妹さんが一番悲しむことです」


...


『...この世界から、私とお兄ちゃん以外いなくなっちゃえばいいのに』


こいつは、俺の妹のことを何もわかっていない。


「なら、お前は俺を殺せないな。安心した。俺はこの街の住民を軽く100人は殺している人間だが、魔法少女様は俺を殺さずに捕らえるってよ。なあ!聞いたか!住民の皆さん!お前らの家族を殺した俺を!魔法少女は殺さないってよ!」


黒い沼にはまった住民たちに向けて、俺は言い放った。一番近くの住民を見る。俺と同じ目をしていた。俺と同じ、憎しみの目を。

だが、そいつはその瞬間、カラスに咥えられつぶされた。


「...火月、そんなこと言ってる場合じゃないかも。彼、意味が分からないほど強い」


青い魔法少女が、俺を見てそう言った。黄色い魔法少女が後ろで何かをし始めている。


「ここはわたしが先行して」


「おっと」


俺は何かをしようとした青色の魔法少女に向けて、ベルトに忍ばせておいたハンドガンをぶっぱなした。青い魔法少女はぎりぎりで交わすが、頬から血が垂れてきている。


「...銃!?それもハンドガン!?」


「驚くことじゃないだろ。俺達は正体不明の敵なんだ。銃を持っていることくらい想定しないと、やれ」


「人使い荒いわよね。ほんと」


熊谷が散弾銃を構え、青い魔法使いに向けて放った。青い魔法使いは、水で作った剣を使いギリギリのところで防ぐが、すべては防ぎきれなかったのであろう。腕や手から血が噴き出す。


「ぐっ...」


青い魔法使いは一瞬のけぞるが、すぐに体制を整えた。空を飛んでいるからなのだろう。動きにさほど支障はないようだ。

だが、片腕が上がらなくなっている。


「美月ちゃん!」


赤い魔法少女が青い魔法少女へ近づく。その隙を熊谷は見逃さなかった。

散弾銃を赤い魔法少女に向けて発射した。


「!火月、危ない!」


青い魔法少女は赤い魔法少女を押しのけて前に回った。まだ剣で銃弾をふせごうとするが、今度はとっさの判断だったからだろう。散弾が一つ、左胸に撃ち込まれた。


「美月ちゃん!しっかりして!」


俺は青い魔法少女に照準を合わせる。今度は頭を狙い丁寧に狙うが、青い魔法少女の剣が弾道をふさいだ。


「大丈夫...少し痛むくらいだから。あいつら、何者なの」


「...熊谷、散弾を置いて下がれ、お前を狙われたら俺達は詰みだ」


「はいはい、必要になったら発信機のボタンを押すのよ」


熊谷は体育館の中に戻っていった。俺は散弾の弾を装填し、剣に向けて二発撃つ。剣は撃たれた途端水に変わって地面へと落下していった。


「何個弾があるのよ!」


「化物退治ばかりしてたから対人戦がおろそかになっているようだな」


俺は言葉で煽りながら、また散弾銃の弾を装填する。その間にも剣は生成されて弾道をふさいでいった。


「間に合わないな」


俺は、銃を構えたままネクサスを剣のほうへと向かわせる。


「ネクサス、剣を斬れ」


ネクサスはその言葉とともに、大量にあった剣を一刀両断した。剣はすべて水に変わり地面へと落ちる。


「なっ!?」


俺は、その隙に散弾銃を青い魔法少女に向けて発射した。だが、隠れていた剣が途端に現れ、また弾道をふさいだ。


「ちっ」


どうやらもういろんなところに仕込んだらしい。散弾で魔法少女を狙うのはもう無理そうだ。

一応、黄色い魔法少女のほうにも目を向ける。そちらも剣で隠されている。

どうやら、まだばれてないらしい。

裏切る気があるかも知らんが。


「...まぁ、とりあえず待ちだな」


俺は散弾銃を構えながら、後ろに後退した。さて、この局面で奴はどう動くんだろうな。

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