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世界を終わらせようとする悪党たちの話  作者: 疲労男
2.ニセコシスターズ
25/57

25.貴方のすべてを否定して、私は貴方を救って見せる。

空を飛び、公園の近くまで来ると。祟り神の姿が見えてきた。

祟り神は一軒家ほどでかくなっており、向きを変えるだけで信号機を破壊していた。


「...いた!」


近くの家の窓に子供の姿が見える。あの子が言ってた子だ。

でも、祟り神はどんどんでかくなってる。このままじゃ、薙ぎ払いで家を壊してしまうほどに大きくなるかもしれない。


「火月!」


美月ちゃんの声がしたほうを見ると、美月ちゃんももうドレスを着ていた。

距離的に心配だったが、花弁は届いたようだ。


「遅い!どこ行ってたの!」


「ごめん、くだらないこと考えてた!今は大丈夫!」


美月ちゃんから能力で生成したレイピアを受け取る。


「でかすぎて武器が届かないんだ!どうする火月」


「どこかにおびき寄せて木の下敷きにしたい。けど」


祟り神のほうへ目をやる。祟り神が襲ってくる様子はなく、ただおびえているようだ。逃げるそぶりはないが、襲ってくるそぶりもない。

まるで泣きじゃくる子供のようにそこにとどまっている。


「あの壊れ方は初めてみるなーいっつも祟り神を人がいない場所まで移動してから倒してたけど、あの子は動かなそうだよー?」


「でも、このまま大きくなってあの子が歩くだけで街を破壊できるようになったら...みんなが」


考えろ、あの子を討伐する方法を。討伐する...方法?


「...そうだ、私いっつも倒そうとしてた」


いっつも祟り神を倒そうとしてた。でも、あの祟り神を生きたまま捕獲できたなら、それなら今の状況でもこれから祟り神になった動物を倒さずに保護できるなら。


「...美月ちゃん。祟りの中に入って、狐ちゃんを救出できる確率はどれくらい?」


「!?何言ってるの火月、自殺行為だ!」


「でもー祟りの中に入ったことって一度もなかったよねー?やってみる価値はあるんじゃないかなー?」


「彼方!馬鹿なことを言うな!」


「それでも、やってみる価値はあると思う。美月ちゃん。祟り神の体にできるだけ大きい穴をあけてほしい」


このままじゃ沢山の人が犠牲になる。でも、あの祟り神を見たんだ。

昨日の夜に見た。祟りが消えた狐。あの狐のようにあの子もなれるのなら。


「...私が行けるだけ高いところまで飛んで、一気に落下する。その時に通信で合図を送るから二人はできるだけ攻撃して体に穴をあけてほしい」


「そんなこと!本当に成功すると」


「美月ちゃん、成功させるんだよ。するかしないかじゃない。私たちはみんなの命を背負ってるんだから」


「...火月、正気か。一歩間違えればお前も死ぬんだぞ」


「死ぬ気なんてさらさらない。みんなを助けて私も生きる。そのための作戦なの」


そう、このままの方法じゃダメなんだ。この方法を続けていたから、彼はあちら側に行ってしまった。だから、もう誰も傷つけないための道に行くんだ。


「...わかった。でも危険になったらすぐに退却して、それだけ約束して」


「わかってる」


私は上空まで一気に移動を始めた。それと同じくして美月は神様を召喚する。


「...力を貸して、スターズ・スイム」


彼女の掛け声に呼応し白い霧が辺りを包んでいき、白い霧が彼女の首にひれを作っていく。彼女が手を挙げると、川の水が彼女の上に集めっていき。

水は、少しずつ剣や槍などの武器に変わっていく。


私は、上に行く速度を上げた。


_____________________


「...火月は覚悟を決めたみたいだね」


彼方がそう言ってくる。私はそれを無視し武器を作っていく。


「あの子は殺すことをやめた。貴方はどうするの?」


「...私たちは、上のために任務を遂行する。それだけよ」


「それは、あの子の優しさを犠牲にしてもいいほどに美しいものなのかな」


「...あの子は強い。私が守らなくても、私たちがいなくてもこの街を守れるくらいに」


武器を作れるだけ作り、火月の合図を待つ。あの子は、私が守らなくても十分強い。だから


「ぶちかませ。火月」


_____________________


街全体が奇麗に見える。雲はまるでもう一つの世界のように、私の下に存在していた。能力はわたしが飛べるのはここまでだと言ってくる。

息ができないほどに空気が薄いここで、私は合図を送る。


「...よし」


私は空中浮遊の能力を、解除した。体は落下していく。雲を突き破り、少しずつ加速して。ドレスがあるからできる荒業だ。普通なら地面にたどり着いた瞬間死んでしまうのだろう。


少しずつ加速していくこの落下が怖い。地面が少しずつ近づいていくのが怖い。でも、多分彼も人生で同じことを感じていたのだろう。

落下していって、地面に衝突しないようにもがいていた。


でも、落下している事実は変わらない。最後には地面に衝突してしまう。

きっとそんな運命だった。だが、そこに祟り神が助けに来たんだ。落下している最中に祟り神が助けてくれて、だから彼は今祟り神を使っている。


また落下しないために、使っているんだ。


だけど、それは違うんだ。落下をしないために誰かを陥れてしまうなんて間違っている。だから、


「貴方のすべてを否定して、私は貴方を救って見せる。」


祟り神が見えてくる。もっとだ。もっと加速しろ。

まだいける。まだ早くなれる。


「火月!」


美月ちゃんが手を振り下ろすと同時に、剣が祟り神へ一斉に放出された。

祟り神に大量の剣が突き刺さる。だが、突き刺さった剣は水になって消えていった。能力で作った剣では狐は傷つかない。今まではデメリットだけど、今の状況ではこれは好都合だ。


「いっけえええええええええええ!!!」


私は祟り神へと突っ込んだ。黒い水に体が入り込む。祟り神は異物を排除しようと、私を外に出そうともがく。だが、落下は止まらない。中心に到達するまで、止まらない。


「見つけた!」


真ん中に到達し、狐が見えた。黒い水に目隠しをされ、もがいている。

わたしは狐を抱きしめた。離さないように強く。そして、祟り神の力によって私は排出される。狐とともに。


「がっ!うっ...」


勢いよく外に排出され、狐を守るために抱きかかえていたせいか背中から落下する。痛いが耐えられないものではない。


狐を取られた祟り神は、形状を維持できなくなり溶けていき。ただの水たまりに変わっていく。


「やった...よかった」


私の作戦は成功した。街も狐も無事だ。


「火月!大丈夫?」


「おーやりとげたねぇ火月ちゃんー」


二人が駆け足でやってきた。私は狐を地面においてあげる。そうすると、狐は森のほうへと帰っていった。


「やった...この方法を使えば、中央にいる動物を祟り神から引き離せば祟り神は無力化される...」


よかった。やっと、殺す以外の方法を 発見 でき


「火月!」


極度の緊張状態だったのだろう。無理もない。空 上から 落下し そんな状態で私は、 意識 手 した

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