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世界を終わらせようとする悪党たちの話  作者: 疲労男
2.ニセコシスターズ
11/57

11.理不尽を許してはいけない。今すぐ殺せ

「どうなってる…これは」


今に戻り、テレビをつけてかれこれ30分が経過した。夜のニュースをずっと眺めていても、俺のことが一ミリも乗っていない。


「隣町で30人殺したんだぞ!警察にも認識されたはずだ!だが…なぜ」


確かに隣町での殺人事件はニュースにはなっていた。だが、犯人は分からない状態と報道されていた。


「何が起きている…」


「あの刑事が独断専行したんでしょうね」


風呂場から髪の毛を拭きながら、熊谷はそう俺に話しかける。


「ずっと疑問だったのよ。30人殺して全く証拠を出さなかったあなたが、どうやって捕捉されたか。

今疑問が解けたわ。あの刑事、証拠がない状態で確保しようとしたんだわ」


「だが、俺はあいつの、あいつらの前で俺が殺したって言ったんだぞ!なぜ捕捉されない!」


「単純よ、神の力を使えるから。それで全て説明できるわ。私が知っている能力者を保有している機関は二つ。そのどちらとも国との繋がりがある。

そいつらが報道をしないように情報統制してるんでしょ」


...こいつがまったく説明しないのは慣れた。

この場は一旦飲み込もう。


「だが、それなら何故、お前だけがニュースに出ている!逃亡した脱獄犯として!」


一番混乱した原因はこれだ。俺がニュースに出ないのは100譲って理解できる。

だが、問題はこいつが熊谷が、何故が脱獄犯としてニュースに出ていることだ。


「もう何が何だかわかんなくなるぞ」


「単純よ、私は事情が違うもの。組織を裏切った裏切り者、そいつから情報が漏れるかもしれないって考えたら分かるんじゃない?」


俺は息を大きく吸い込み考える。

こいつが知っていることがなんなのかは分からないが、多分こいつは国が保有する2つの機関とやらから逃げ出してきたのだろう。

そう考えると、理解はできる。


「…もう何が何だか、もう疲れた。寝たい」


「そうね、こんなベッドで早々寝れる機会ないし、さっさと寝ちゃいなさい。私は監視してるわ」


「…あー、じゃ任せた。2時間経ったら起こしてくれ。変わる」


この1時間、外は驚くほどに静かだ。

問題はないと思うが、もう何が何だかわからない機関やらニセコシスターズやらが攻めてきてもおかしくない。


「ええ、歩いて疲れたでしょう。おやすみなさい」


もう何が何だかわからないので、俺はさっさと寝ることにした。混乱した時は寝るのが一番だ。


_________________


もう夜の深くなった時間。温泉宿のロビーで、少女と女将がベンチで座って飲み物を飲んでいた。


「真白ちゃん、本当にあの人達は善人だと思うかい?」


女将は少女にそう問いかける。少女は満面の笑みで間髪入れず。


「うん!」


とだけ返した。女将は心配をしていた。

彼らは銃を持っていたのに、自身を観光客だと言った。そんな怪しい人達を、なぜ彼女が連れてきたのか。そう女将が考えていると、


「だって、あの人達はとても悲しそうな顔をしていたから。助けてあげたかったの…」


女将の心配を察したのか、少女は理由を説明した。


「悲しい顔?」


女将がそう少女に問いかける。少女は少し考えた後、悲しそうな顔で


「悪い人はね!とても悪い顔をするの!でもね、あの人達はとても悲しそうな顔をしてたの…

辛そうで、悲しそうで、ワンちゃんが亡くなった時のたえちゃんみたいな顔をしてたの。

だから、元気になって欲しかったんだ」


少女がそう女将にいうと、女将は少女の頭を撫でて、なら元気になってほしいねと返した。


夜も深い日、ただ煌びやかな月が彼女らを照らしていた。


_______________


「おっにぃちゃーん!」


僕が河原でぼっーとしていると、妹がうしろからだきついてきた。


「今日も小難しい顔してるねー?」


「これが僕の普通の顔だよ。何か見つけたの?」


「これ!コンビニのゴミ箱に捨てられてた。食べよ!」


妹が取り出したのは、賞味期限が昨日のコッペパンだった。それが3つ


「でかしたぞ!さすが僕の妹だ!」


僕は妹を思いっきり持ち上げて、ぐるぐるっと回す。妹はただ笑ってそれを受け入れてくれた。


「パンね!3つだけどどうする?」


「一つは釣竿の餌にしよう。うまくいけばパンと魚両方食べられるぞ!」


「やったぁ!!」


妹とただ、両手をあげて謎のポーズを取る。

それで2人で笑い合う。

そうだ、そんな日常が好きだったんだ。

なのに!あいつらがあいつらが!


__________________________


「起きなさい」


体を揺らされ、俺は目を覚ます。

気持ちの悪いくらいいい夢を見ていた気がする。


「何時間経ったぁ?」


「3時間くらいね」


「おいおい…ちゃんと変わるって言っただろ…」


「本当は朝まで寝かせてあげたかったんだけどね。」


その言葉を聞き、俺はすぐさまベットから起き上がり、横に立てかけた銃を持ち、玄関に向かって構えた。


「察しがいいわね。敵よ」


ナイフを取り出し、ハンドガンをベルトにつけ構える。敵が来たというのに、旅館は驚くほどに静かだった。


戦いが始まる

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