橙子の涙
夜空には、月より大きな彗星が輝いていた。
「あんなダメ男に都合よく遊ばれて!
もう、橙子のせいで俺の涙は枯れたわ!
あんな男諦めて、俺のもとへ来い!
そうさ彼奴は、今頃、お前じゃない、
可愛い彼女とイチャついてる!」
深夜の路上で涙目の和史が叫んだ。
すると、橙子の身体は、橙子の意思に反して、和史の懐に飛び込んだ。
「えっ《゜Д゜》」
「俺から逃げられるとでも思った?」
和史はニヤケならが言った。
「何?」
「驚いた?俺、人の身体を自在に操れる能力を手にしたんだ」
「馬鹿なことを、いいから離して!また警察呼ぶよ!」
「警察が能力を手にした俺に、何か出来ると?
ふっ、だから、もう諦めな!
橙子が、俺のこと嫌おうと、もう関係ない。
こうやって抱きしめる以上の事を求めない!」
「離して」
「離さない、俺がお前の事をしあわせにしてやる!」
「それ・・・無理だから」
「無理じゃない、いやだとしても
もう俺を止めることが出来る奴なんて
この世にいないし、ふふふふ、解ったか!
俺はもう無敵だ」
月サイズの巨大彗星が、地球圏をかすめニアミスした。
地球滅亡は、避けられたが、巨大彗星の引力は、一部の人々の能力を、強引に引き出し覚醒をもたらした。
橙子の意思に反して、橙子の手が愛しそうに和史の頭を撫で、和史の口に自らの口を重ねようとした。
「止めて・・・止めないと」
「止めないと・・何?凡人のお前に何が出来る?」
橙子の身体の操作権を手にし勝ち誇った表情の和史は聞いた。
「ごめん・・・私も、もう凡人じゃないみたい」
橙子がそう言うと、和史の身体は、恐竜の尻尾の様な物で弾き飛ばされ、
ホームランボールの様に、空高く飛んでいってしまった。
「ごめん、覚醒したのは貴方だけじゃなかったみたい」
地球にニアミスした巨大彗星は、時間とともに、軌道を変え、地球圏から離れていった。
そして、地球で覚醒したかに見えた人々も、普通の凡人に戻っていった。
そんな地球規模の大異変に関わらず、橙子が想いを寄せる、あの人は、橙子じゃない、可愛い彼女とイチャついてるに違いない。
それを想うと橙子は、1人、泣いた。涙
おしまい




