表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『朱里ちゃんの戯言』短編小説集   作者: 健野屋文乃
8章 あやかしの章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/70

有尾族の小悪魔美少女さん。

塔は、煙突の様に聳えていた。


その内部の梯子を、僕は昇っていた。


僕のすぐ上を昇っているのは、有尾族の小悪魔美少女さんだ。


見上げると、目の前には、形の良いお尻がプリンプリンと揺れていた。

小悪魔美少女さんの尻尾が、僕の頭をなでなでしていた。


尻尾は生まれたての葉っぱのように、柔らかかった。


「塔から飛び出す時には、狙撃手に気を付けてね」


小悪魔美少女さんは、梯子を昇りながら言った。


「狙撃手?」


何の事やら、意味不明だ。



うん、少々、説明しよう。僕は、弱小劇団の劇作家。

その弱小劇団の座長に

「何かのネタになるかもしれないから、劇作家さん、行って来て!」

と言われ、訳も解らないまま、この煙突の様な塔の梯子を昇っている最中だ。


そんな理不尽な命令、無視すればいいのだが、この座長、女優を兼ねるだけの事あって、

とても澄んだ目と表情をしている。


そんな目で命じられると、断りずらい。


次は、葉っぱのような柔らかな尻尾が僕の頬を撫で、有尾族の小悪魔美少女さんが、ささやく様に説明し始めた。


「夜な夜な悪さをするために、ワルサーP38を持って、塔から飛び立つ、私たち有尾族の悪魔を、どこかの正義の秘密結社が、放っておけなくなったみたいなの。」


「悪さをするために、ワルサー?どこかの正義の秘密結社?」


「そう謎の秘密結社。そこの秘密結社の狙撃手が、どこかのビルから、善良な私たち悪魔を狙ってるの。酷い話よね。悪魔は悪さをして、なんぼなのにね。」


「う・・・うん」


「そう、でも大丈夫、多分、彼ら、予算の少ない秘密結社みたいだから、そんなにいない」


「ん?・・・って、もしかして今から、塔から飛び立つ気?」


「そうよ」


有尾の小悪魔美少女は、黒い羽を軽く羽ばたかせた。


「一緒に昇っているこの状況から、シュミレートすると、僕も飛び立つのかな?」


「そのつもりで体験取材してるんでしょう」


「でも!僕には羽が無い」


小悪魔美少女は振り向いて


「あっホントだ、ある種の勇者なの?」

「違います!」

「でも、もう引き返せないよ。1年に1度の儀式だから、早くワルサーもって悪さしたいって、みんな殺気立ってるし」


そう、僕のすぐに下には、ものすごい殺気立った悪魔達が、梯子を昇ってきている。


そして、梯子は一つしかない。


もうすでに、ビルに相当すると、60階を超えてそうな高さだ。


「気休めかもしれないけど、『悪は悪でも、必要悪は、生き残る』

これ私の父の信条よ。ちなみに父は、狙撃手に撃たれて死んだわ。

必要悪になれなかった哀れな悪魔」


「完全に気休めですよ」

と僕が言ってる間にも、屋上にたどり着いてしまった。

屋上は、畳1畳ほどの広さしかない。


真夜中の空に、この世とも思えない悲鳴が聞こえた。

きっと、だいぶ前に飛び立ったであろう悪魔の悲鳴だ。


きっと正義の秘密結社の狙撃手に撃たれたんだ。


有尾族の小悪魔美少女は、深呼吸をすると

「じゃあ先に行くね」

と言って、黒い羽を広げ優雅に飛び立った。


するとすぐに、

「おい!くそ餓鬼、早く飛べよ!下、つかえてんだ」

と背後から、怒声が聞こえた。


その直後、僕は背後の悪魔に突き飛ばされてしまった。


「えっ、マジ?躊躇なく人を突き落せる。さすが悪魔」

と思う間もなく、僕の体は急降下し始めた。

「えええええええ!」

と、何も考えられない僕の体を、誰かが掴んだ。


抱きしめたと言ってもいいかも。


あの小悪魔美少女さんだ!


僕は、小悪魔美少女さんの柔らかな胸にしがみついた。

悪魔とは思えない、優しさと柔らかさ。


「一般人のあなたを盾にしたら、狙撃手も撃ちづらいでしょう」

小悪魔美少女さんは、そう言うと、狙撃手がいそうな方向に僕を向けた。


一般人を盾にするなんて、さすが悪魔・・・と思ったけど、


うん、でもいいや。


とりあえず、小悪魔美少女さんにとって僕は、必要とされてるみたいだし、確か、必要悪は、生き残れるんだったけ?




おしまい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ