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『朱里ちゃんの微笑み』短編小説集   作者: 健野屋文乃
7 きらめきの章

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心の用意はいいかい?

天使だか、悪魔だか、解らないけど、

「幸せになる、心の用意はいいかい?」

とそいつは言った。


「この世界には、無限に近いパラレルワールドがある。

例えば、1999年に滅亡した世界。

例えば、君が生まれる事のなかった世界もある。

善と悪 その違いはとても曖昧で複雑。

でもね、好きか嫌いか、なら解りやすいだろ。

見ていてご覧、目の前の世界から、

嫌いなものが消えていき、

好きなものが、増えていく。

ここはそんな世界だ。」



「わっ、好き人がいっぱい。わっ、好きな事がいっぱいに・・・・」


そいつの言う通り、僕の好きな事メーターが、どんどん上昇している。


そして、僕の嫌いな事メーターが、どんどん下降していく。


どうしよう・・・・心がどんどん、しあわせに満ちてくる。


心が、ふわふわと柔らかくなっていく・・・

でも・・・・

どうしよう・・・・こんな状況耐えられない。


ダメだ!もうダメだ!


「お願いだ!僕に悪意を!僕に苦難を!僕に敵を!僕に闘争を!僕を修羅場へ!」


僕は、そう口走ってしまった。

なぜあんな事を口走ってしまったのか?


今となっては、解らない。


そして、僕の好きな事メーターは下降を続け、僕の嫌いな事メーターは上昇し続けている。


目の前には、大嫌いな奴らが、溢れ始めていた。


なぜあんな事を口走ってしまったのか?


お願いだ!

もう一度、チャンスを!

僕に柔らかな、しあわせを!





完

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