軽い恋人と重い愛人
僕の、軽い恋人はふわふわと舞い上がった。
僕はとっさに軽い恋人の手を握った。
そして僕らは、青い空に舞い上がろうとした。
するとそこに、重い愛人が駆け寄ってきた。
重い愛人は、舞い上がろうとする僕の足につかまろうとした。
僕はとっさに和紙に「影武者」と書いて、向かってくる重い愛人に投げた。
和紙は、人型となり式神・影武者となった。
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俺は、式神。
俺の任務は、あるじの影武者。
あるじを追う重い愛人が、あるじの影武者である俺に抱きついてきた。
影武者としての任務は成功だ。
しかし・・・重い愛人・・・美しすぎる。
俺の心は、時めき高鳴った。
俺は紙で出来た式神なのに・・・ひと目惚れ?
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私は愛人。重い愛人。
私はやっと追いついた愛しい人を抱きしめた。
ん?違う、これは式神。
愛しいあの人の影武者の式神。
でも・・・でも、心の時めきが止まらない。
どうしよう恋心が燃え上がる。
ダメ、式神同士の恋は・・・・
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私は彼の軽い恋人。
私にしがみつく彼とともに青空に舞い上がっている。
地上では、私が放った重い愛人の式神と、彼の放った影武者の式神が、抱き合っていた。
恋に落ちた式神は、萌える心の為、人型を維持できず、和紙の人形へと姿を変えた。
そして、人形の心は恋で熱せられ、ポッと炎を上げて燃え尽きてしまった。
私の過去を具現化した重い愛人の式神と、彼の浮気心を具現化した彼の分身たる影武者の式神は、ポッと炎を上げて燃え尽きた。
後で、燃え尽きた灰を拾って、お花畑に埋めてあげよう。
そうしてあげると式神は、花の精霊となって、この世の春を謳歌する事と言う。
おしまい




