表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/54

からくり屋敷の衝撃



駅前にある私の実家の、通称からくり屋敷は、



10年前に死んだ祖父が一生をかけて作った家だ。



家の至る所に、からくりが仕掛けられており、その全貌は今となっては誰も知らない。



クリスマスになると、どこからともなくツリーが現れ光り輝き


節分の日には、豆の機銃掃射を受け、


バレンタインには、天井からチョコレートが降り注いだ。



夜中には家のどこかでからくりが作動しているのか、木がすれる音が時々した。



しかし、どんな状況でも慣れてしまえば『お茶の子さいさい』だ。


『お茶の子さいさい』死んだ祖父の口癖だ。



そして、3月3日の朝の出来事。


男3兄弟で、女の子がいなかった我が家では、



普通の日と変わらない一日のはずだった。



祖父が死んでから10年、からくり屋敷は3月3日に何のからくりも仕掛けてはこなかった。



しかし、今日は違った。



家族で朝ごはんを食べていると、リビングの天井が開き、原寸大の雛人形が降りてきて、雛祭りの歌を歌いだした。



家族が呆然と見ていると、末の弟が



「爺ちゃん・・・。」



と言って。突然泣き出した。



私が


「どうした?」


と聞くと、末の弟は


「僕、ゲイバーで働くことにしたんだ。」


と、朝の食卓で衝撃の告白をした。



両親は目を丸くして末の弟を見つめた。



末の弟は自分の部屋に行き、綺麗な美女になってリビングに戻ってきた。そして


「今日、初出勤なんだ。」


と言って張り切って出勤していった。



その年からからくり屋敷では3月3日には、原寸大の雛人形が出てきて雛祭りを祝うようになった。



綺麗な弟さんは好きですか?



おしまい


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ