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呪われた花園 前編



その場所は、この高原の町で、



最も見晴らしのいい場所にあった。



テニスコート二つ分くらいの広さの花畑には、



蓮華の花を始め色鮮な花々が咲き乱れていた。



町役場はこの場所に、



巨大な保養施設の建設を計画していた。


それは、過疎化を何とか食い止めるための最後の策だった。



しかし、計画は延々と進まず、



測量すら終了していない状況だった。



町長は不愉快そうな表情で、車で現場に向かった。


「何が呪われた花園だ!」


と町長は車中で1人怒りをぶちまけた。



数週間前、この場所に測量に訪れた作業員が、



測量途中に食べた弁当にあたって、



全員が食中毒で入院する騒ぎがあった。




全国にニュースが流れたこともあって、



町はちょっとした大騒ぎになった。



保健所が原因の調査をしたが、



原因を突き止めることは出来なかった。



それ以外にも、



現場監督が突然心臓発作を起こしたり、



機械の細かい故障が相次いだ。



そして、作業員達は口々に


「この花園は呪われてる。」


と言った。



町長は


「馬鹿馬鹿しい。」


と呟きながら、その花園の前に車を停め、ドアを開けた。



すると、蜂が車の中に入ってきた。


そのうちの一匹が、



町長が払った手を避け町長の首元にとまった。




町長が叩き潰そうとすると、


「その蜂は叩き潰されても、あなたを刺します。」


と声がした。



正確には声じゃない、 脳に直接伝わって感覚。



町長が前を見ると、



車のハンドルの上に不思議な蜂が止まっていた。




形や大きさは普通の蜂と変わらないのだが、



体の色が青緑色をしていた。



その青緑色は町の歴史資料館で見た、



古墳から発掘された青銅の色に似ていた。



青銅色の蜂は


「刺されたらあなたの命に関わります。



抵抗なされないほうが、お互いのためだと思われます。」


と町長に言った。



町長がバックミラーで自分の首元を見ると、



テニスボール程の巨大な蜂が止まっていた。





町長は蜂が、



それも青銅色の蜂が自分に話しかけていること自体、



信じられなかったが、



自分の首元にとまってるテニスボール程の蜂に刺されるとが、



命に関わることは理解できた。


 



町長は、首元の蜂を叩き潰そうとしていた、手を下ろした。




後編に つづく


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