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心を無くした男の話



居酒屋で私の隣に座った男は、とても冷たい目をしていた。


その冷たさに、私の背中に寒気が走り、早く席を立ちたかったが、



男が聞きもしないのに、酒の勢いで1人語り始めた為、



席を立つ機を逃した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



彼女が俺に


「優しい匂いがする。」


と、言ってくれたんだ。



彼女は俺の事を何も知らないし、あの悲劇も知らない。


あの悲劇の最中での、俺が見せた非情さも、冷酷さも、残酷さも、臆病さも、弱さも、薄情さも・・・何も知らない



俺には


『優しい匂い。』


がどんな匂いなのか解らないし、優しさがどんな物だったのかすら憶えていない。



でも、彼女がそう言ってくれるなら、


彼女の前だけでも、優しい男でいようと思った。


俺には優しい男がどんな事をするかよく解らないけど、



彼女が笑顔を見せれば、きっと上手く優しい男を演じていけるはずだ。


確信は無いけど・・・



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



昨晩、悲劇から生還したと言う男が、居酒屋で語った世間話だ。



結局、どんな悲劇だったのか、男は話してはくれなかった。



ただ、今でも男の冷たい目を思い出しただけで、寒気がした。



私にはあんな冷たい目の男に、優しさを感じる女がいる事が、とても不思議だった。





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