恐怖の終わり、そして始まり / 黄昏の後に・・・
地下核実験場
多くの政治家・軍人・科学者が見守る中、
核爆発のカウントが読まれていく
「3、2、1・・・・」
静まり返ったオペレーションルームの、
大きな画面に映し出された映像には、
何の変化も見られなかった。
「放射能自然界通常値、核爆発確認できません。」
とオペレーターが叫んだ。
するとオペレーションルームに集まった政治家・軍人・科学者から、
歓声の声が上がった。
人類が科学の力によって、
核兵器を無力化する技術を手に入れた瞬間だ。
人類は核の恐怖から解放された日・・・世界中が歓喜に沸いた。
それから数年後、洋上のイージス艦のブリッジで副官は艦長に
「あの実験は人類に取って幸せだったのでしょうか?。」
と聞いた。
艦長は
「さあな・・・所詮、人類の心しだいって事だ。
人が変わらん以上、何も変わらんさ。」
と呟くように言った。
その時、イージス艦から迎撃ミサイルが数発発射された。
イージス艦の上空では、
ロボット兵を積んだ輸送機が戦地へ向かって飛んでいった。
核による人類滅亡がないと悟った人類は、再び大戦へと突き進んでいった。
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人類が、ハルマゲドンと呼んだ最終戦争が終わった。
破壊された地上は静まり返っていた。
かつて栄えた文明や生物の姿が消えた地上では、
静かに風だけが吹いていた。
「この静けさ、昔恐竜が滅びた直後以来だ。」
破壊された大気の穴から、
紫外線と宇宙放射能が地上に降り注いだ。
傷ついた地球は、
暖かい光を送り続ける太陽の周りを回っていた。
自らの体内に、新たな種族の誕生を感じながら。
おしまい




