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人生裁判  作者: 絃芽こう


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29 仲良し?

「明日も忙しいの?クロノ先生。」


アサギにマシロの希望を聞くようにお願いしてから数日後、偶然か分からないが、彼女が家で夕食を作った後、そのまま帰らずに泊まっていく日が増えていた。


なので今日みたいに、寝る前に相談者の情報を纏めている時間で、彼女と会話することも珍しくは無くなってきていた。


「そうだな。この前裁判が終わったばかりとは言え、状態が安定している人達ばかりなせいか、随分なペースで担当する相談者が増えたからな。」

「そっか。じゃあ、明日も暇なのかぁ。」

「誰かと遊びに行かないのか?」


最近では、役所の方へ来ることが減っていて、その分マシロが普段何をしているのか知る機会も減ってきている。


だが、彼女の変装していない姿を、受け入れてる人も周りに増えてきてるので、最初の頃ほどその事に対しての不安は減っていた。


「うーん。アイト君と遊ぶとき以外は、髪の毛隠したり、色々と準備が必要だから面倒くさいんだよねぇ。」

「別に、いつも通りの格好で良いんじゃないか?」

「それだと、皆私の事怖がっちゃうからね。」

「そうなのか?」


けれど、彼女と直接話す程親しい人は、まだまだ限られてるようで、その人達も彼女の白い肌に赤い目という容姿に、抵抗を感じているらしい。


「うん。生まれてからずっとそう言う目で見られてきたからね。いくら隠そうとしても分かっちゃうよ。」

「苦労…したんだな。」

「そうだね。」

「な、ならアサギはどうだ?明日午前中に役所に来る予定だが、その後とかなら…」


どうやら、俺が思っているよりも、彼女を取り巻く環境と言うのには、根深い問題があるようで、一瞬気まずい空気が流れるが、俺はそれならばと、急いで別の案を出す。


「…あの人かぁ。」

「ああ。アサギならお前の見た目も別に気にしないだろう?」

「うーん。あの人は確かに気にしないけど…」

「あまり気が合わないか?」

「別に…そんなことない。だけど…。」


俺としては、楽しそうに話しているのも目撃してるので、2人の相性は悪くないと思っていたのだが、マシロの反応を見るに、そう言う訳でも無さそうだった。


「だけど?」

「なんかムカつく。」

「な、なんだそれは…。まぁ、気が向いたら遊びに来ればいい。」

「分かった…。」




とまぁ、そんなやり取りがあっての今日な訳だが、アサギとの相談が終わったお昼頃の事だ。


「………。」

「えっと…クロノ?私はどうしてあの子に睨まれてるのかしら?」


昨日の様子からして、今日はてっきり家でおとなしくしていると思っていたのだが、予想外にこの人が多い時間に、マシロは役所へと足を運んでいた。 


しかも、変装もせずにいつもの格好で来たのだから驚きだ。


ただ、彼女は俺達の姿を見付けると、3メートル程の距離を開けて立ち止まり、こちらを無言でじっと見ていた。


「さ、さぁ。緊張してるのかもしれん。マシロ、今からご飯を食べに行くところだが、お前も来るか?」


このまま硬直状態を続けてても、人目が多く目立ってしまうので、とりあえず俺はマシロにそう声をかける。


すると、ようやく彼女は俺達の元へ歩み寄り『むぅ、距離が近い!!離れて!』と言って、俺とアサギの間に入ってくるので、俺がつい『お前の方が近いんだが…。』呟くと、その声が彼女の耳に届いたようで『私は良いの!』なんて、なんとも理不尽な事を言うと、俺の手を取って食堂へと歩き出す。




マシロとアサギが顔を合わせたときはどうなることかと思ったが、食堂へ向かう道中、意外な程に2人は仲良く話しながら歩いていた。


「えっ!?あのふぁみれすとか言うのも、アサギの街には普通にあったの?」

「と言うか、この建物とか魔法が関係しない部分は、結構見たことあるようなものばかりな感じがするよ。」

「そうなんだ。せっかくどりんくばぁの使い方とか教えてあげようと思ったのにな。」


食堂に着いてからも、そんな風に俺の事なんかそっちのけで2人でずっと話している。


「く、クロノ先生も色々と詳しかったけど、もしかして、アサギと同じ所の出身だったりするの?」

「あ、確かに。それは私も気になってたな。」


そう思って2人を眺めていると、マシロが俺にも話を振ってくる。


「どうだろうな。覚えていないから分からないが、この辺りの施設の使い方は、心察官見習いの時期に覚えたからな。」

「そうか。電気を使うのは私の大陸ぐらいだって聞いたし、違うのか。」

「2人とも特徴がそっくりだから、同じだと思ったんだけどなー。」


彼女の質問に答えると、アサギは残念がり、マシロは何故か嬉しそうにと、それぞれの反応を見せる。


確かに、俺とアサギは共に黒髪黒目ではあるので、同郷である可能性も捨て切れはしないだろう。


「と言うか、現世の事を覚えてないって、もしかしてクロノは結構長くこの街に居るの?」

「うーむ、見習いの時から数えても数年は居るから、そこそこ長いんじゃないか?」

「へー。となると、こんな見た目だけど私より年上だったりするのかな?」

「そ、そうか。クロノ先生、実はおじいちゃんだったって可能性もあるのか。」


なんだか質問に答えてるだけなのに、勝手な事を言われてる気がするが、2人が楽しそうにしてるので、何も言わないことにする。




その後、食事を終えると、マシロとアサギは何処かへ遊びに行く約束をしたようなので、午後も仕事がある俺は、入り口まで2人を見送ることにする。


「い、いってきます!クロノ先生!!」

「じゃーねー。クロノ!」

「はぁ、気を付けて行けよ?」

「あははー。本当に先生みたい。明日もよろしくね、クロノせーんせ?」

「ちょ、ちょっと!アサギ!?」


昨日はあんな風に言ってたマシロだが、ああしてアサギと自然体で歩く様子からして、やはり2人の相性は悪くないと言う俺の見立ては正しかったように思える。


そうして、役所から離れていく2人の背中を見送り、俺も仕事に戻ろうと踵を返すと


「おい、クロノ。ちょっと面貸せ。」


そう俺を呼ぶ声が聞こえるのだった。

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