プロローグ
カンカンっ
「判決を言い渡す。対象者の幸福度は15。規定よりはだいぶ低いが、期待値が水準を大きく越えているため、転生の不許可を取り消しとする。」
私はその結果を聞くと、肩の力を抜き隣の女性に声をかける。
「お疲れ様でした。すみません、私の力が足りずあまり良い結果に出来ませんでした。ですが、なんとか転生の許可は出ましたね。おめでとうございます。」
私は、想定よりも幸福度が上がらなかったことで、不甲斐ないと思っていたのだが、そんな私の気持ちとは裏腹に彼女はここ最近で1番嬉しそうな表情をしていた。
「何を言っているんですか!私1人だったらどうすることも出来なかったんですから。これは私にとって、幸福度100点も同然の結果です!」
「っ…。」
私は、彼女の笑顔と共に出てきた言葉に、一瞬固まってしまう。
「どうしたんですか?」
「いや、すまない。実は、昔君と同じような事を言ってくれた人が居てね。その言葉で救われた気持ちになるよ。」
「先生に救われたのは私の方ですよ。今日まで本当にありがとうございました!」
本当に、出会った頃からは想像出来ない眩しい表情を見せながら彼女は私にお礼を言う。
だが、彼女にとってここはゴールではなく、新たな人生の始まりなのだ。
再び未練が残ることの無いように、私はここで別れを告げる。
「私の仕事はここまでです。では、あなたの来世に幸運が訪れますように。」
「はい。たくさんお世話になりました。先生のこれからにも幸運がいっぱいありますように。」
私達がそう最後の挨拶を交わすと、彼女はお辞儀をして出口へと歩き始める。
「どうか、無事に生まれ変われますように…。」
そう呟いて彼女を見送っていると
「お疲れ様!弁護士先生♪」
そんな声が聞こえた気がして思わず振り返る。
だが、後ろには誰も居ない。
「気のせい…か。」
当然だろう、私の事をそう呼んでいた彼女はもう…