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婚約破棄で始まる醜悪な見世物

作者:毒油雀
※この物語はpixivにも掲載しております。

卒業する先輩達を祝う夜会で事は起きた。

「エリザヴェーラ・ベレンツ!!」

煌びやかシャンデリアの明かりに照らされた広間に、若々しくも力強い声が響いた。
賑やか談笑、明るくテンポのよい音楽は鳴りを潜め不安を駆り立てる程に静まり返る。

高らかに声を上げたのは、このローデンハイド国の王太子であるジェノスフリート・ローデンハイド殿下。
栄えある舞踏会が開かれた清々しい夜に、ジェノスフリートは傍らに少女をまとわりつかせながら声高らかに言った───。

「ジェノスフリート・ローデンハイドの名のもとに、この場この時を持ってエリザヴェーラ・ベレンツ公爵令嬢との婚約を破棄することを宣言する」

と───。

◇ ◇ ◇

この物語は、婚約破棄から始まって終わる一夜の物語。

1人の気高き美しい令嬢が、不貞を働きながらも己を正当化している愚者な王太子とその相手である少女に立ち向かう一夜である。
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