47/225
第4章 序章
人は、過ちを犯す。
その過ちを取り返す方法は数多くある。
けど、一番やってはいけないことは、自らの死を持って償うという方法。
そんなことして、喜ぶ人間は数知れど。けど、悲しむ人間も数知れど。
世界中が自分の事を嫌っている。死んでもらいたいと思っていると考えていても、必ず誰かはあなたの事を必要としている。
何故それが分からない。何故それを分かろうとしない。何故、それを生き残るための糧にしようとしない。
何故、何故、何故。
この物語は、とある過ちを取り返そうとした人間たちの話。
私は忘れない。二人の犠牲を。
私は忘れない。この償いという過ちを。
私たちは忘れてはならない。人の死は、新しい悲しみを生むという事を。
死の先には、何もないという事を。
死の先にあるのは、新しい《自分》の人生か。
いや違う。新しい《誰か》の人生だ。
それが分からない限り、それを知らない限り、そしてそれを認めない限り。
愚かなる死は止められないのかもしれない。




