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10話 国家魔導師団

 強力な魔法の数々。これだけの大人数が全員このような魔法を会得しているとは驚きだった。

 普通の攻撃手段が通用するのか、その魔人と呼ばれた巨大な化け物は姿を消した。


「ふぅ〜ご苦労さま〜!」


 リーナはにこやかな笑顔で告げる。すると全員が転送魔法で帰還していく。

 ポツンとエフィリードが場に残されていた。


「あの子が居るって事は貴方はアレスト様で間違いない無さそうですね……」


 もう悟られたなら隠す意味も無い。


「……一つ聞きたいことがある。リベルドの事だが」

「彼女は――」


 暗い顔をしたまま、何も言わない。


「殺したのか……?」

「私は何も……」


 目を凝らして、仕草を疑う。

 やましい事があるとよくこめかみ辺りを掻く癖がある。

 そして、それはもう既に現れていたのだ。


「レイヴンは操られているんです! どうか……」

「それはあの魔導剣士に……か?」


 小さく頷く。これは見たところによると嘘では無さそうだ。

 かと言って信用できるかと言われたら悩ましいところではある。


「リーナさん……?」

「あっ! エフィちゃん! アレスト様が居るからまた人の姿に――」

「逃げますよご主人!」


 手を取り、物凄い速さで走り出した。顔の皮が剥がれるのでは無いかと心配になる程の速さだ。

 それよりも先に腕が千切れそう。


 何をそこまで怯えているのかは知らないが、確かに怯えている。そうでなければここまでのスピードは出ないだろう。


 だが、不思議なことに不吉な予感やその類のものは全くと言っていい程感じない。


「ご主人は可愛いから絶対にアレやらされますって! しっかり走って下さい! 逃げますよ!」

「アレってなんだよ!?」

「すっごい恥ずかしいアレです!」

「待ってぇええ! 私のエフィちゃん〜!」

「ぎゃああああ!」


 嘘だろ!? このスピードと同等……いや、それ以上で走っているのか!?

 バフありきだろうがこれはいくらなんでも速すぎる。


「待ってよぉ〜! 一緒にやろうよお!」

「ご主人! 私が助かるための生贄となってください!」

「は!? お前何言って」

「強く生きてくださいっ!」


 手を離されてしまい、その場でコケる。


「も、もうこの際アレスト様でも良いです! 寧ろ凄い良いですッ!」


 異様なまでに頬を赤らめ、息を荒くしている。

 既にエフィリードは遠くに行ってしまったらしい。


「え、ちょっと待って……何するのねぇ!?」

「可愛いアレスト様も……とっても好きですよ! さあ新たな高みへ!」

「待って! 手を離して! いやああああ!」


□□□


「……ふっふっふ……ジャーン!」


 姿見に写された俺の姿は、なんというか可憐な美少女そのものだった。


「グレーを基調として、黒いインナーが見えるように。そして比較的大きなリボンとフリフリのレースをあしらって全体的に可愛らしく。テールスカートで綺麗な素脚を拝めるように! そしてブラウンのハーネスブーツ! ん〜! もう一回お触りしてもいいですか!?」

「もう触らないでッ!」


 可愛い。それだけで良いのにリーナと来たら淡々と説明しおってからに。俺にそんなのが理解出来るわけ無いだろうが。

 しかも試着と言って過度にボディータッチをしてくる始末。 


「もういいか?」

「ダメですよ! 小物も揃えなきゃ! あっ! 良いの思いついちゃったかも!」


 なんでエフィリードがあそこまでして逃げたがっていたのか分かった。

 オシャレに気を使わない俺の性格が反映された結果だろう。


「いや、もうそれはいいんだよ」

「ダメですよ! もっとオシャレしなくてはっ!」


□□□


「いや……もういいんだ……」


 最初の試着から何時間が経っただろうか。

 もう既に動く可愛いマネキンとして扱われている。近い所で言えばリカちゃん人形なんかがそれにあたるだろう。完全に女児の玩具だ。

 二回程抵抗したものの、軽くあしらわれた。ステータスの差をまじまじと感じさせられた。


「うーん……では最後に四つほど……」

「最後にってどういう事か分かって言ってる!?」

「お、怒らないでくださいよぅ……あっ! 閃きました!」

「閃かないでっ!」


 怒鳴った次の瞬間、ノックをする音が響く。


「はーい」


 可愛らしい女性が魔剣状態のエフィリードを運んでくる。


「リーナ様、エフィリード様をお連れして参りました」


 そして直ぐに人の姿に戻ってしまった。

 状況を把握したエフィリードは顔を真っ青に染め上げていた。


「ご主人にリーナさん……? 助けてっ! お願い! 嫌だあああ!」


 即座にドアを叩く。

 外側から鍵をかけられているのか、開けられずにいた。


「うっひょお! 私の創作意欲が止まらないぃ!」


 このあと滅茶苦茶着せ替えさせられた――

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