砂漠の民 3
朝日に目が覚める
横には美しい肢体を曝す女がいる
呼吸の度に大きな胸が上下に揺れている
その頂にあるポッチを少し強く摘まむと女が目を覚ます
「シーズ様、おはようございます」
アルマは俺に朝の挨拶をするとベッドを出て跪く
アルマの肌に朝日が当たり、褐色の肌がより一層と艶めかしく映える
しばらくアルマの裸体に見とれてしまう
「アルマ立て」
俺の声にアルマが立ち上がる
「アルマ、手をどけて胸を見せろ」
立ち上がったアルマは裸の恥ずかしさを隠すため手で胸を覆っている
おれはその手をどけるように命じた
恥ずかしさで顔を歪ませながらも俺の命令に従い胸を俺の目にさらす
「アルマ、お前はなんだ」
「私は、シーズ様の物でございます
私の全てはシーズ様の物です」
アルマの覚悟の言葉と共に胸が揺れる
朝日を浴び全てを晒す恥ずかしさに褐色の肌に朱がさしている
「アルマ、お前は美しいな」
しばらくアルマの美しい裸体を堪能した後にアルマを部屋から下がらせた
「雪、アルマは俺との生殖で妊娠は可能なのか」
「遺伝子の一致率からは妊娠は難しいと思われます
でも、妊娠の確率は通常の1%程度はあります
20年後に滅びるこの惑星で子を成すことを躊躇していますね」
それはそうだ
未来の無い子供なんて作りたくはない
「でもマスター、人は他の人のぬくもりが必要ではありませんか?」
AIのくせに生意気な奴だ
否定はできないか
「アルマを排除せず部屋に入れたことは許してやろう
これからもアルマは部屋に入れていいぞ」
俺は雪の思惑に乗ることにした
「それで、計画はできたのか?」
「こちらをご覧ください」
雪の言葉と共に三次元の地図が表示される
「ここにいるのがファッタールの部族です」
赤点が地図上に浮かび上がる
「彼らは遊牧の民ですのでここに定住しているわけではありません
オアシスを回遊しながら家畜を育てています」
地図にいくつもの青点が浮かび上がる
「青点はオアシスです
今までの観測で分かっている遊牧民の回遊ルートはこの通りです」
地図の上に矢印が現れ、ファッタールの部族が次に行くであろうオアシスまでのルートが示される
「今までの観測から導かれる予測ではファッタールの部族は今のオアシスで後10日ほど過ごした後に次のオアシスに向かいます
移動日数を含め15後には次のオアシスに到着すると思われます」
「そこに罠を張るか
どんな罠にするのだ」
「罠ですが、元々原住民を鎮圧するための装備として用意されている広域スタンガンがあります
それと電磁檻の装備を組み合わせて無力化します
無力化後は、原住民の使役様に準備してある隷属の首輪を彼らに装着して従属させます」
「そういえば原住民が我々に隷属させるための計画と装備が用意されてたな
あれを使うのか」
俺はしがない輸送屋だから、この星の統治に関する心構えなんてなかったが軍人たちは低レベルの文明にある住民を何度も従属させる中で色々な仕組みを構築している
隷属の首輪は反逆の意図があると自動的に爆発して首と胴体が別々になるという鬼畜な道具だが、大規模な反乱が発生してそれを鎮圧する際の原住民の犠牲に比べればはるかに少ない生命しか棄損しない人道的な道具と言われている
まあ、俺は自分にそんな首輪をした相手を許す気には決してなれないと思うが、数百年の単位で考えた場合いずれ従順な住民が出来上がるという話だ
「いいだろう雪、その線でいこう
先達の知恵はしっかりと利用しないといけないからな」
そうなると機材とそれを設置するロボットを投入する必要があるか
資源の採掘現場から転用する必要があるな
それと資源の採掘の順番の変更も必要か
「雪、トゥアレグの部族と従属させたファッタールの部族だが遊牧は辞めさせてこの仮設基地の周辺に定着させる必要がある
そのためには水と土壌改良が必要だ
石油の採掘の前に井戸とほりこの辺りをオアシスにする必要がある」
「水脈は事前の調査で見つかっていますので井戸による水の確保は直ぐにできます
地形的にはこの地点に井戸を掘り半径5キロの緑地帯を構築することが適当だと判断します」
「いいだろう。その線で進めてくれ」
本当であれば俺の大型揚陸艦は千名の武装兵士と現地徴用した一万人の住民からなる開発都市を構築することを目的としたものだった
一部の機材しか降下させていないが今回の計画が実現可能な装備は下ろしてある
「それで雪、トゥアレグ部族から20名ほどを連れてファッタールの部族の制圧に向かうことにする
制圧の当日に向かうことにするのでそれまでの準備は任せるからな」
「了解です、マスター。マスターはその日まで小作りを頑張ってください」
「お前、妊娠はほぼ不可能って言っただろう
まあ、いいか。宜しく頼むぞ」
AIのくせに人間をからかう機能まで持っている
その方が親しみやすいってことなんだよな
取り合えず、ファッタールの部族の制圧の制圧まではこの周辺の整備を行う
最初に取り組んだ井戸だがこれは3日で一本目を掘り当てた
井戸から出た水を使い周囲の緑地化を進める
これには乾燥に強く、成長が非常に速い牧草を使用する
これで牧草地が出来れば定着が可能になる
「アルマ、あれが井戸から湧いている水だ」
俺はアルマ達を連れて井戸の視察に来ている
「シーズ様、信じられません。砂漠であった場所か水が湧くなんて」
「水だけではないぞ。この一帯は豊かな牧草地になる
あそこを見ろ。すでに砂漠から牧草地に変わりつつある」
俺が指さした一角では、地面は砂漠ではなく、青々とした牧草地に変わっている
「まあ、ここは砂漠の果てだからな。砂漠が拡大して侵食する前は緑もあった場所だ
だからこそ、地下に逃げた川もある
砂漠から緑の土地に戻るのもたやすい訳だ」
「うわあー、水だ」
子供たちが歓声を上げて走ってゆく
あちこちで水浴びが始まった
子供はどこでも同じだ
無邪気にはしゃいでいる
それを見るアルマの眼には涙が滲んでいる
まあ、砂漠の中で滅びるか、ファッタールの部族の奴隷に落ちるか
ついこの間まではそんな未来しかなかったはずだ
俺の元にたどり着いた時は、子供らしい声など一切なかったからな
やっと、余裕ができたわけだ
「アルマ、子供たちに笑いが戻ってよかったな」
「シーズ様、これはひとえにシーズ様のお力が成したものです
われらトゥアレグの部族は皆シーズ様への感謝を忘れずにお仕え続けます」
感極まった表情でアルマが言う
「とりあえず、お前が毎晩感謝を込めて俺に奉仕することだ」
無邪気な子供の姿を楽しんでいたらシリアスな展開になったのでついチャラけてしまった
でも、アリアの真剣な表情は変わらない
これは外してしまったようだ
そして、その晩のアリアは確かに激しく俺に奉仕するのだった
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今朝もアリアが俺と同衾している
日課となったアリアの起こし方。胸のポッチを引っ張ると悩ましい声をあげてアリアが目覚める
アリアの豊な双丘は見飽きることがない
毎晩それに埋もれているのにな
「シーズ様、おはようございます。遂にこの日が来たのですね」
そう、今日はファッタールの部族が俺たちが罠を仕掛けたオアシスに到着する日だ
日中の強い日差しを避けるため彼らは夜明け前の薄明かりの中、既に移動を開始しているはずだ
「雪、状況は」
「ハイ、既にファッタールの部族はオアシスから5キロの地点まで来ています
後、一時間ほどで到着するはずです」
「予定通りか
アリア、オアシスに向かう者を集合させろ
30分後に出発だ」
さあ、狩りの始まりだ