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洗濯妖精 クルリン =クルリン誕生!=

作者: TKSZ

人間の心を洗濯したい!


私、洗濯妖精クルリン。

妖精国の妖精養成学校の3年生。


うん、変な名前の学校だって。

仕方ないよ。

そういう名前だもん。

誕生した妖精を一人前の妖精に養成する学校ですもの。

ああ、言っていておかしくなりそう。

要するに誕生したばかりの妖精は妖精とは認められないらしいの。

だから妖精養成学校で学ぶのよ!

文句ある。

ないわよね。

ないと言って!

はい、もうこの話題はお終い!


私の生まれは妖精の国ではないんだ。

地球の日本。

妖精の国で生まれた子もいるけど、私みたいに違う国で生まれることもあるの。

私は地球の日本の東京というところで洗濯機の中から生まれたんだって。

洗濯中にくるくる回る泡の中から。。。

すぐに妖精の国の担当エージェントに発見されて妖精の国へ送られたわ。

生まれたばかりの妖精は未熟だから妖精の国で一人前になってからそれぞれの世界でお仕事に就くんだって。

もちろん休暇には妖精の国に帰れるのよ。

私の場合、親も兄弟もいないから帰っても仕方がないけど。

あ、アパートの1室は国から与えられているのよ。

私が帰るところはそこなの。


名前?

名前は妖精の国の女王様がくださったわ。

洗濯機の中でくるくる回りながら誕生した映像を見て閃いたのだって。

そこ、笑わない!!

妖精の国の監視システムは妖精の誕生を事前に掴んで誕生の瞬間を記録しているのよ。

すごいでしょう。

その記録用映像を見て命名したんだって。

能力は洗濯。

妖精の国でも私だけが持つ能力。

えーへん!

すごいでしょう。


今、私は研修に来ているの。

3日間の研修。場所は地球。

妖精養成学校は4年制。

1年と2年の研修は妖精の国の中だったよ。

3年の今年は妖精の国の外での研修よ。

私たち妖精は人間からは姿は見えないのよ。

例外もあるらしいのだけど・・・・・・。

だから注意は必要ね!


3年生の研修先は私の生まれた日本!

クラス全員で東京に到着。

私が案内?誕生してすぐに妖精の国に来たのだから無理よ。


私が誕生したのは東京の西、八王子市の南大沢に住むユルリ先生のお宅だって聞いている。

1回会ってみたいな。ユルリ先生と。


しかし、人が多いよね。

何か嫌なものが渦巻いているわね。

他の子は気がついていないみたいだけど欲・邪心・嘘・妬みといろいろ。

特にここ新宿には人が多いから大変だわ。

これもいい勉強よね。

一通りの見学を終えて帰ることになった。

新宿の公園から帰るんだ。

その時、


「あれ、君達は妖精?」


いきなり話しかけられた。見えないはずなのに。

緩い感じがある50を超えたぐらいの男性だ。

すごく優しそうで懐かしい感じがする。精霊たちが何体も彼の周囲を舞っているわ。

聞いたことがあるわ。精霊に祝福される人間。

彼がそうなのかしら。


驚いた引率の教師精霊が男性に話しかけた。

すると彼は


「いや、こんなに多くの妖精の皆さんを一度に見たのは初めてなので声をかけてしまいました」


と言っている。


「はい、妖精養成学校の研修でしたので」

「そうですか。ここにいるということはお帰りですか?お気をつけて」


その時、樹々の向こうで悲鳴が聞こえた。

え、小学生ぐらいの女の子が二人の男に連れて行かれようとしている。

離れた所にいる母親は追いつけない。

二人の男の体からは黒い靄のようなものがでている。


「洗濯!」


無意識に妖精の力を使ってしまった。

白い渦が二人の男を包んだ。そして黒い靄は洗い流され、消えていった。

二人の男は自分が何をしたかということに戸惑っているみたいです。

しきりに女の子とその母親に謝っているわ。

しっかり反省しているので許すみたい。


私の能力は洗濯。

ただ、衣類だけでなく心まで洗濯をする能力。


「すごいね、君」

「はい。ありがとうございます」


ちょっとトラブルがあったけど順番に妖精の国に帰ることになった。

それで次は私の番。


「かえるるん!」


あれ?帰れないよ。

大騒ぎになった。

人間からは見えないでしょうが。

人間からは樹々が揺れているようにしか見えないはず。


その後、引率の教師精霊が学校や王宮と連絡を取ってくれたけど対処方法がわからないらしい。

日本を担当する妖精たちも集まってきたがどうしようもない。


「あの、いいですか」


様子を見ていた男性が話しかけてきた。


「はい、何でしょう」

「この国の汚れが彼女が帰れなくなった原因じゃありませんか?大精霊たちが言っていますよ」

「え、大精霊様はどこに?」

「あ、はい、大精霊様おいでください」


光の粒が出た後光の大精霊様が現れた。

念話でお話をすることができた。

男性が言った通りの説明だ。

妖精国の女王様や妖精養成学校の学長先生も駆けつけて協議をしている。

女王様は男性を見て驚いた顔をしているのは何故?


そして、決定した。

私がこの東京に妖精見習いとして残ることが。

私が誕生した原因も妖精の国へ帰れない理由もこの国とこの東京をきれいにするためだという結論に達した。

私は男性のところにお世話になることになった。

彼の周囲には妖精も精霊もそしてそれを見ることができる人間もいるらしい。


「よろしくお願いします。洗濯妖精クルリンと言います」

「こちらこそ、私はユルリです。八王子市の南大沢に住んでいます」

「え、ユルリ先生」

「何でその呼び方を?」


女王様がユルリ先生に説明してくれた。

これから私は誕生した場所、ユルリ先生のお宅で妖精として頑張るんだ。

考えてみるとユルリ先生はお父さんのような存在だよね。

ユルリ先生と頑張るぞ。みんなの心をきれいにするために!

お読みいただきありがとうございました。

評価や感想をいただければ幸いです。

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