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54.平和な2年間

更新お待たせしました。短いです。

更新遅れてしまってすみませんのお詫びSSを活動報告にのせます。よかったら見てください。


 天空神殿の事件から2年もの月日が経った。

 12歳。季節は夏。

 室内ではなく森で魔法の修行をする私は毎日のように太陽に肌を焼かれている。


 みなさんお気づきかな?

 そうなのです。私はここ2年間、師匠に隠れて魔法の修行をしていた。


 なぜ隠れてかというと、「師匠たちには修行をしていることを知られない方がいいかなぁ」というアバウトな理由でございまして。


 ぶっちゃけると私がこんな考えや行動に至った原因はすべてガブちゃんにあると言える。話は2年前、天空神殿から帰ってきたときまで遡る。

 無事家に着き着替えようと服を脱いだ際に私はワンピースのポケットに紙が2枚入っていることに気が付いた。


 それはガブちゃんからの手紙だった。


 1枚目は、

 『リディア・ミルキーウェイ。それが貴様の名だ。ミルキーウェイは光の一族に神が授けた姓とされている。餞別だ』

 というガブちゃんらしい簡素だけど、とってもありがたい内容が書かれていた。


 もう1枚は本から破り取られたような紙。

 その紙には光魔法が2つ書いてあった。これがガブちゃんの魔導書の中にあった光魔法の記されたページだと気づくのにはそう時間はかからなかった。


 たぶん別れるときにガブちゃんとハグをした際、彼がこっそりワンピースのポケットに入れたのだ。


 「光魔法が書いてあるページは全部で3ページくらいあったよね。どうせなら全部くれたらよかったのに」


 なーんてガブちゃんが聞いたら返せと言われるであろうことをつぶやきながら私は目をこすった。いや、あの…目にゴミが入っていずかったからこすったんですよ。うれし涙とかじゃないんだからね!


 それから今日までの2年間。私はこっそりガブちゃんがくれた2つの光魔法の練習をしている。なぜこっそりかというと、ガブちゃんがこっそり渡してきたってことは、きっと師匠を含めた他の人にはこのことを内緒にしてほしいってことだよね~と解釈したからだ。

 


 「さすが私!ってまた失敗した!」



 回想していたせいで集中が切れてしまったのだろう。自分の体を覆うように展開させていた光の膜がパンッと割れた。イメージ的にはシャボン玉だ。


 「2年間ずっと頑張ってるのに一度もうまくいかないー」


 むくれてしまう。

 今失敗した魔法はガブちゃんが餞別としてくれた2つの光魔法のうちの1つ、「光の卵」である。


 「光の卵」はおそらく結界系の魔法だ。

 闇の精霊に襲われたとき、私は逃げるもしくは光の蝶で闇の精霊を浄化し自分の身を守っていた。たぶんこの「光の卵」は浄化よりも防御に特化した魔法なのだろう。気の利くガブちゃんのことだから、今の私に足りないものを補うためにこの光魔法を餞別としてくれたのだ。


 「…。」


 「おそらく」やら「たぶん」「~だろう」を使いまくったのでもう気づいているかもしれない。

 私は「光の卵」がどんな魔法なのか知りません!


 しかし言い訳をさせてほしい。私がわからないのは当然なのだ。

 魔導書に記されるのは、魔法の名前や誰が何歳の時にその魔法を覚えたということだけ。魔法について詳細な説明はない。つまり私は魔法の名前を見てこの魔法がどんな光魔法なのかを想像し身につけなければならない。

 

 無茶ぶりにもほどがある。だけど私は頑張って頑張って2年かけてやっと「光の卵」を今の形態にまでしたのだ。

 これってほんとに餞別だったのかな?ガブちゃんからの宿題だったりしてとか思った2年間でもあった。


 ちなみにもう1つの光魔法の名前は「光の涙」。「光の卵」以上に想像がつかない。

 太陽神様にアドバイスもらおうと思って頭の中で話しかけたりしてみたものの、反応はなかった。あのクソ神、絶対に居留守をつかってやがるよ。


 余談だがこの2つの魔法はリリアさんが9歳のときに会得した魔法らしい。すごいねーリリアさん。



 と、回想をしていたら時間があっという間に過ぎていた。

 私は魔法の修行を中断し家に帰る準備を始める。


 「もうそろそろ帰らないとエルが私を探しに来ちゃうからね」


 そう。実は天空神殿の事件以来、エルが過保護になった。

 師匠と別れ一人で家に帰った際に「みんなには内緒で1週間修行に行っていました、てへ」と私は3人に説明した。攫われたなんて言ったら3人とも責任感じちゃうかもしれないからね。

 アースとアイは私の言葉を信じてくれた(良心が痛む)。

 しかしエルだけは難しい顔をしておりまして、うん。嫌な予感はしたんだ。


 当然のごとく嫌な予感は的中。

 あの日以来エルの目の届かない場所に30分以上いると、彼は私を探しに来るようになりました。



 「リディア!お前どこに行ってたんだよ。……探した」

 「げ。エル」



 噂をすればというやつだ。

 私を見つけたことにほっとした様子のエルが木々をかき分け私の元へとやってくる。


 そんな彼は体のいたるところに擦り傷があり、葉っぱにまみれ、肩で息をしていた。つまり超全力で私を探していたことは一目瞭然。ちなみに私がこっそり修行を始めてからまだ20分しか経っていない。

 年々探しに来るまでの時間が早まっている。兄弟子の過保護が悪化している。こいついつかトイレにまでついてくるんじゃないだろうか。…アルトを思い出してしまったよ。


 「帰るぞ」

 「はいはい」


 とまあ、これがここ2年間の私の日常。

 修行がうまくいかなかったり、兄弟子が過保護になったりと苛立つこともあるけれど平和平穏の毎日だ。


 エルに手を引っ張られ、私は歩き始めた。



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