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39.新技(2)

///////☆


 「リディア様に見せたいものがあるのです」そう案内されたのは図書館の奥。

 見上げても見上げても終わりが見えない、進んでも進んでも果てが見えない本棚の間を縫うように進みまくって、ようやく止まったのは他と同様の創りの普通の本棚の前だ。シグレはそこ立ち止まり、本棚に収納されている本の内、他に比べて少しだけ低い朱色の本を押した。ここ重要。本を取ったんじゃなくて、奥に押し込んだのだ。

 するとガガガと小さな音を出し始め、本棚が横にスライドし小さな部屋が現れた。


 「す、すごーい!秘密の部屋だ!」

 「この部屋は先生とサラと私しか知らないのです。他の神官たちにばれる前に入ってください」

 「うん!」


 シグレに背中を押され部屋に入る。すると部屋の扉…というか本棚?はゆっくりとしまった。す、すごい!

 秘密の部屋はこぢんまりとしていて、本棚とテーブルと椅子とソファくらいしかない。シグレにうながされるまま椅子に腰かける。


 「ここって普段はどんな時に使ってるの?」


 あんまりにも生活感のない部屋だから聞いてみた。

 シグレはにっこり笑う。


 「割に合わない仕事をやらされたり、仕事を押し付けられたりと、我慢の限界が来た時に使いますね」


 ボイコットですね。天空神殿=ブラック企業が確定しました。

 あまり深くは聞かないでおこう。しみじみうなずいたところでシグレが本棚から一冊の本を取り出して持ってきた。

 シグレの瞳と同じゆず色の表紙の本。


 「リディア様にこれをお見せしたかったんです」

 「この本?」


 シグレがうなずいて本をペラペラめくりはじめる。たくさんの字が羅列されたページをいくつも通り過ぎ、その手は白紙のページでやっと止まった。

 

 「ここに手をのせてください」

 「こ、こうでいい?」


 シグレが指さすのは白紙のページ。ここに手を乗せろってどういうことだ?前世では幼稚園児の時に手のひら判子を押したけれど、これもそういう感じでいいのかな。

 首を傾げながらも白紙のページに手をのせたときだ。本が光ったかと思うと、白紙だったはずのページにはずらずらと文字が書かれていた。見た感じなにかの記録のようだ……ってこれ私の名前書いてない!?


 「なんじゃこりゃ!?」


 説明してくれとシグレを見れば、にっこりとほほえまれた。


 「この本は本の紙に触れた人物が今まで使った魔法を記します。成長記録というか魔法記録の魔導書ですね。なので先ほど白紙だったはずのこのページに今まさに描かれた文字は、今までリディア様が使った魔法の記録なのです。……リディア様が最初に魔法を使ったのは、6歳の年の7月なんですね」

 

 シグレの視線を追って私も魔導書を見た。

 文字の先頭には、

―――――――――

リディア6歳。7月。魔法人形作成。

―――――――――

 と書かれていた。


 その下にも続いて、

―――――――――

リディア6歳。9月。魔法人形作成。

リディア6歳。11月。魔法人形作成。

リディア6歳。1月。魔法人形作成。

―――――――――

と書かれているが、待て待て。私どんだけ魔法人形作ってんだよ。ていうか作った覚えないぞ…ん?

 7月、9月、11月、1月。そして人形。ピーンときた。


 「もしかしてこれ、私が餞別としてあげた人形のこと!?」

 「餞別?」


 記憶を思い起こしてみるが、うん間違いない。6歳のときに人形をつくったのなんて餞別のお守り人形しかない。

 私の創ったお守り人形には光の魔力がつめこまれていたようだ。わお。無意識って怖いね。


 「これはどういう魔法なのですか?」


 シグレが目をキラキラさせて聞いてくる。

 けどそんなたいそうなものじゃあないんだよ。


 「みんなの幸せを願ってお人形を作ってただけなんだけど、光の魔力も込めて作っていたみたいなんだよね。だからこれが魔法かどうか、よくわからない」


 正直に言えば、シグレは目を瞬かせ魔導書を見た。


 「なるほど。ですがこの本に記されたということは、リディア様の創った人形がなんらかの魔法であることは確かです。光魔法ですから、そうですね。持ち主に幸せを運ぶ、もしくは持ち主が危険な目にあったときに身代わりになる、などの効果が考えられます」

 「おー。それっぽい」

 「あとはそうですね。光の特性を生かした魔法なども考えられます」

 「特性?」


 きょとんと首を傾げた。

 シグレが光魔法は浄化の魔法ですが、「光」としての特性も忘れてはいけませんと笑う。


 「光の速さは音速を超えます。つまりリディア様が作った魔法人形を目印として、魔法人形の元へ瞬間移動することも可能かもしれません」

 「え!すごい!私瞬間移動したい!」


 師匠がマーキングしている場所に空間移動できるのと同じように、私も魔法人形のところに瞬間移動できるかもしれないのだ。つまりアリスが私の魔法人形を持ち歩いているとしたら、魔法人形を目印にしてアリスのところにパッと瞬間移動できるわけだ。驚いたアリスの顔を見たい!


 「先生の仕事が終わるまでまだ時間がかかるでしょうし。気分転換に新しい光魔法をつくりま…」

 「つくるー!!!」


 大興奮の私を見てシグレは苦笑いだ。まさかシグレにこんな顔をされる日がくるとは。10歳児なんてこんなもんだろ。私の精神年齢は10歳児ではありませんけどよ!


 「それではまずは魔法人形を作る必要がありますね。材料は何が必要ですか?」

 「フェルトと綿と針と糸とボタンかな」


 シグレはうなずくと自分の影に手を突っ込んでガサゴソとあさりはじめた。ていうか影に手を突っ込めるんだね!?

 私の視線に気づいたのかシグレが照れたように頬をかく。


 「私の第二魔法は影ですから。自分の影を始点として他の影に印をつけることで、ほらこのように」


 「ほら」とシグレが自分の影から取り出したのは、私が先ほど言った人形の材料だ。


 「影を通して物や人を行き来することも可能なんです」

 「す、すごい!」

 

 材料をゲットできれば後は簡単だ。

 いつかのお守り人形をつくったときみたいに、想いを込めて人形を作っていく。それと同時に光の魔力も込めるようにして人形を作ってみた。

 そうして完成したのはフクロウの人形。

 はたしてこれで瞬間移動はできるのか。


 「シグレ!フクロウちゃん持って私から距離をとって」

 「はい!」


 小さな部屋だからシグレと私で端から端まで壁に張り付いてもそれほど距離はない。だけど少なくとも大股で歩いて10歩は必要な距離。新技を試すにはもってこいだ。


 シグレが両手でフクロウの人形を持って私に準備オッケーの合図を出す。

 シグレの持っているフクロウの人形を頭の中で思い浮かべて、そこに光の速さで移動するように念じた。

光の蝶が夜空をビュンッと翔るイメージ。流れ星ではなくあえて光の蝶にしたのが私なりのこだわりだ。



 翔ろっ!



 体が引っ張られるような感覚を感じたのは念じた直後のことだった。

 ぐっと前方に引き寄せられたかと思うと、気が付けば目の前には瞠目したシグレの顔があった。

 シグレが両手に持つフクロウの人形のちょうど目の前に瞬間移動したようだ。


 「~っやったぁあ!成功した!シグレ!やったよ!」

 「リ、リディア様!」


 うれしさのあまりシグレに抱き付けば、私の抱き付く力が強くて苦しかったのか顔が真っ赤になっていた。いつもの照れた感じの真っ赤ではない。ガチの苦しみの真っ赤だ。うわ。ごめん。


 「大丈夫!?」

 「だ、大丈夫なので、一度離れていただいてもいいですか」

 「う、うん」


 離れたところで落ち着いたのか、シグレがにっこり笑顔で私にフクロウの人形を握らせた。


 「すごいです!リディア様!1度で魔法を成功させるなんて普通の人にはできません」

 「ありがとう!でも私一人じゃ無理だった。シグレのおかげだよ」


 言いながら私はシグレにフクロウの人形を押し付ける。


 「この人形あげる。大事にしてね。シグレがこの子を持っていてくれたら私はすぐにシグレのもとに飛んでいけるから。あ!これ光の瞬間移動だけじゃなくて、シグレが幸せになれるように、危険な目に遭ったら身代わりになってくれるようにって願いを込めて作ったお守り人形でもあるんだからね」

 「わ、私にくださるのですか!?うれしいですっ」


 いいってことよ。そもそもシグレが魔導書に触らせてくれたからこの魔法を編み出すことができたのだ。シグレの助言がなければ瞬間移動の魔法だって考えもつかなかった。


 「そういえばこの魔導書ってどこで手に入るの?」


 私もほしいなぁなんて思ってゆず色の表紙の本をつついていれば、シグレが困ったように笑う。


 「これは天空神殿の神官だけし扱うことを許されない魔導書なんです。差し上げたいのですが、門外不出とされているので…」

 「へ?」


 この魔導書。いわゆる天空神殿の神官1人につき1冊渡される世界に一つだけのオンリーワンなレアものらしい。昔神様が神官への褒美として授けたものなのだとか。だから王族から平民、教会の神官もこの魔導書のことは知らない。天空神殿の神官もこのことを他者に教えてはいけない。

 シ、シグレちゃん。私おもっきし他者だよね?どうして教えちゃったの?え?元気づけるため?ごめん。ほんとごめん。


 「すみません、リディア様」

 「いやいや、謝らないで!むしろ謝るのこっちだから!」

 「気にしないでください!私が望んでしたことです!むしろ私の魔導書の中にリディア様の魔法が書かれているなんて、すごくうれしいんです」

 「そ、そうなの?それならいいんだけど、私魔導書のこと誰にも言わないからね」

 「……リディア様が私と同じように天空神殿の神官になってくだされば、魔導書も差し上げられますし秘密になんかしなくてもいいんですけどね。まあとにかく、気にしないでください」

 「ワ、ワカタヨー」


 よくわからないけれどシグレが気にしないでほしいというのなら気にしないでおこう。シグレの顔を見るに、気を遣って言っているのではなく本心で気にしてほしくないようだし。むしろ喜んでいるようだ。

 …うれしそうな顔で私の魔法の記録が書かれたページをなでているんですよ。なにがそんなにうれしいのかな?


 ちなみにちょこっと聞こえた不穏な言葉は聞かなかったことにした。「いつ君」のヒロインで、光の巫女で、さらに天空神殿の神官とか肩書多すぎます。しゃれにならんですからね。私死ぬよ。

 ハハハ、うん。不安をまぎらわせるためにこの部屋の本棚を見ることにした。


 するとふと黒い表紙の本が目に留まった。ガブちゃんの瞳と同じ色の表紙の本。

 本棚から取り出してみると、色こそ違えどもその本はシグレが持っていた魔導書と同じ形。…まさか、いやまさかな。


 「リディア様何を見て…めずらしい。先生の魔導書ですね。いつも肌身離さず持ち歩いているのに置き忘れたんですかね」


 まさかだったらしい。

 シグレは特に自分の魔導書を大事にしているわけではないらしく、普段はこの部屋の本棚に置いているのだそうだ。だけどガブちゃんはいつも大事そうに懐に入れているのだとか。「でも私も今日からはこの魔導書を肌身離さず持ち歩くことにします」とシグレがうれしそうな顔で自身の影の中に魔導書を入れていたのは、よくわからなかったのでスルーしようと思う。

 

 「このタイミングでガブちゃんが来たら、絶対私怒られるよね」

 「元あった場所に戻しておくべきですね」


 シグレと顔を見合わせうなずいて、私は本棚にガブちゃんの魔導書を戻そうとした。戻そうとしたんだよ!だが手が滑って魔導書を落としてしまった。

 

 ノウーーーー!

 

 急いで手を伸ばすが当然その手は魔導書をかすり、パタンと床に落ち、しかも開いてしまった。白紙のページが開かさればよかったのだが、悲しいことに両ページとも文字がずらずらならんでいた。

 人の魔法の記録は見ない方がいいよね。なるべく見ないように顔をそむけて魔導書を閉じた。が、閉じる寸前にシグレが魔導書に手をはさめた。


 「え。シグレ?」

 「……ちょっと気になる部分があったんです」


 シグレは自分が手をはさめた――さきほど床に落ちたときに開かれていたページを開いた。

 そして瞠目する。


 「光の魔法…」

 「は!?」


 シグレの視線の先を見て私も唖然とした。

 ガブちゃんの魔導書には、

―――――――――

リリア12歳。9月。聖なる守り。

―――――――――

と書かれていた。

 私の直感が語る。『聖なる守り』これは光魔法だ。名前からして光属性ですものね!


 「なんでガブちゃんの魔導書に光魔法が…」


 つぶやいたときだった。


 「貴様ら。修行をさぼるだけではなく人のものを勝手に盗み見るとは。よほど仕置きされたいようだな」


 地を這うような低い声。

 ゲッと肩を震わせたのは言うまでもない。


 「ガ、ガブちゃん…」


 振り返れば褐色肌の美丈夫がおりまして、シグレが私をかばうように前に出る。シグレ女の子なのに男前すぎるよっ。


 しかし意外にもガブちゃんの顔は怒っていなかった。


 「リディア。俺の魔導書になぜ光魔法が載っているのか知りたいか」


 静かに問いかける。声もだ。さきほどは大魔王かと思うほどのバリトンボイスだったというのに、今はどこかやわらかい声色だ。

 だから私もついつい素直に返事をしてしまう。


 「知りたい!」

 「ちょ、リディア様!」

 「なぜ知りたい?」


 ガブちゃんは穏やかに問う。機嫌がいい?これは怒られないパターンと見た。


 「だってガブちゃん、第一魔法が結界、第二魔法が治癒、第三魔法が風でしょ?どうして魔導書に光魔法の記録があるの?リリアってガブちゃんの名前じゃないよね?」


 聞いた瞬間、ガブちゃんの目がスッと冷たいものへと変わった。え。突然の変わりように顔がひきつる。嫌な予感がします。

 ガブちゃんの視線は私ではなくシグレに向けられていた。


 「シグレ、お前がリディアに魔導書のことを話したな」

 「すみません」

 「……え?」


 なんだ。全然流れについていけないぞ。

 首を傾げていればガブちゃんはあきれ顔。


 「貴様は少し考えることを覚えろ。俺はお前がこの魔導書についてどこまで知っているのかわからなかった。だから誘導尋問した。お前はそれにはまってしゃべった」


 開いた口がふさがらない。もちろん自分に対して。

 わ、私バカすぎるだろ!さっき魔導書のことは誰にも言わないといったのにこのざまだ!

 

 ごめんシグレと謝れば、「大丈夫ですよ」とシグレは微笑んでくれた。その顔に「ばらしやがってクソ女」という感情は全く見えない。ソラ、アルト、ジーク、アリス、エル辺りがシグレと同じ立場だったら、絶対に私をにらんでいるパターンだよ。シグレやさしすぎるよぉ。


 「この誘導尋問のエキスパートめ!」


 ガブちゃんをにらめば、ハッと鼻で笑われた。


 「誉め言葉として受け取っておく。どうもありがとう。魔導書については目をつむってやる。修行に戻るぞ」

 「う、うぐぅぅう」


 これは全面的に私が悪い。うなりながらも部屋を出るガブちゃんの後を追おうとした。が、私の手をシグレがつかみ、歩みを止める。

 シグレの視線の先にあるのはガブちゃんだ。


 「待ってください。どうして先生の魔導書に光魔法が書かれていたのか、教えていただけませんか?リディア様も知りたいですよね」


 シグレが穏やかな表情で私に賛同を求めてきた。

 ……たしかに知りたい。シグレの言葉に私はうなずく。でもって期待を込めてガブちゃんを見れば、彼はひっどい顔をしていた。


 「チッ。シグレ、貴様は昔からよく口が回る。だが考えてから発言したほうがいい。それはお前の首を絞めるぞ?」

 「は?」


 頬に浮かんでいた青筋を消してガブちゃんは不敵な笑みを浮かべる。対してシグレは冷たい表情。どうでもいいけど、君たち私の存在忘れてない?


 「いいだろう、教えてやる。俺はかつてリディアと同じ光の巫女に会った。そしてこの魔導書を使わせた。使わせた理由は、シグレ。お前と同じだ」

 「……。」


 ガブちゃんとシグレの間で冷たい沈黙が流れる。リディアちゃんはそんな2人の間で疑問符を生産し続けることしかできません。


 「えーとガブちゃん、いろいろ聞きたいけど。とりあえず私以外の光の巫女に会ったことあるんだね。その人ってどんな人だったの?私みたいにかわいかった?ていうかガブちゃんって何歳?そもそも、魔導書を使わせた理由って結局なに?」

 「うるさい。質問が多すぎる。一つに絞れ」


 なんと横暴なやつだ。

 聞きたいことはたくさんある。だがとりあえず今は、この雰囲気を作り出した質問の答えを聞こう。


 「じゃあ魔導書を光の巫女さんに使わせた理由を教えて」

 「シグレに聞くといい」

 「シグレー教えてー」

 「リ、リディア様…」


 ニヤニヤ笑うガブちゃんから困ったように眉を下げるシグレへと質問相手を変える。

 シグレは苦笑した後で、キッとガブちゃんをにらみつけた。


 「……先生」

 「悪いな。貴様は俺と似ている。だが俺の方が一枚上手だ」

 「年の功の間違いでは?」

 「負け犬の遠吠えにしか聞こえんが?」

 「……。」


 2人ともわけのわからない殺伐とした会話を繰り広げている。私の質問の答えはどうなったの?仲間外れは反対だぞ。


 「ねー。シグレ教えてー」

 「う、あ、えぇっと。っ先生!」

 「自分の力でどうにかしろ」

 「……リディア様。お願いです。私のためを思って理由は聞かないでください」

 「えぇー」

 「いつまで油を売っているつもりだ。修行に戻るぞ」

 「う、うへー」










 こうして私は半分引きずられるようにして修行へと戻った。

 サラの部屋は案の定闇の精霊がうーじゃうじゃ。修行をさぼった罰だとかで2分でこの部屋の闇の精霊を浄化しろと指示されました。

 「今のお前ならできるはずだ」とか言われたけど、それは「今のお前なら(死ぬ気でやれば)できるはずだ」って意味ですからね。鬼ですね。鬼畜せっかち色黒バイオレンスに改名ですね。


 そんなわけで私はもうそれはひたすらに浄化しまくったよ。2分以内に浄化が終わらなければガブちゃんにどんなスパルタ教育をされるかわかったもんじゃありませんから。


 だから部屋に戻ってきたとき、サラの髪が8割がた黒色になっていたのには気づいていたはずなのに。

 それに対して不安に思ったはずなのに。

 修行が終わるころにはすっかり、そのことを忘れてしまっていたのだった。





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